王との会話
結局まだ何の話も聞けてない。
何の用で俺を呼んだんだ、この王様!
今はお茶請けを用意してるしさ!
全ての用意をし終えた王様は、やっと俺達の座るソファのテーブルを挟んだ先にあるソファに座った。
やっと話が出来そうだ。
「さて、まずは自己紹介をしようか。
私がニーベル国の国王のニーベル8世だ。よろしく頼む」
「自分は福田哲司です」
「ああ、君達の事は知っているよ。自己紹介しなくても大丈夫だよ」
「そうですか?」
「ああ。ついでに敬語も止めてくれるとありがたいな。ここにはうるさいヤツもおらん。
フランクに行こうじゃないか!」
いや、王様とフランクに話す気は無いぞ!
「それでですね、王様……」
「敬語は止めてくれよ~! 止めてくれないと会話しないぞ!」
子供か! 子供なのか?!
口ひげ生やした白髪交じりの頭した初老のオッサンのくせに!!
「……判ったよ。で、俺を呼んだ理由は何?」
「そうそう、それで良いんだよ。で、呼んだ理由だったかな?」
「そう。ここに居るタルーンさんまで巻き込んで、呼んだ理由を聞きたい」
「簡単な話さ。ICPO絡みと言えば判るだろ?」
「えっ?! マジで?!」
「マジだ。って事で、タルーン君は席を外してもらえるかな?」
タルーンさんは複雑な表情をして俺を見ている。
俺の事が心配なんだろう。
「タルーンさん。大丈夫です。問題は無い事が判りました。
後で喋れる事はお話しますので、ここは一旦、ね。」
「……判りました。では王様、私はどうしたら良いでしょうか?」
「そこの扉から出てくれ。外には兵が立っているので、その者に付いて行ってくれれば良い。
何、心配するな。控え室へ案内させるだけだ。こちらの話が終われば福田君とそこで合流できよう」
「判りました。では失礼します」
そう言ってタルーンさんは出て行った。
これで俺と王様しか、この部屋にはいない。
すると王様は立ち上がり、部屋の隅にあった水晶玉に手を置いた。
直後、巨大なシャボン玉のような物が部屋を包んだ!
「ああ、気にするな。これは遮音する結界だよ」
「そんなものがあるの?!」
「おう! なかなか手に入らないぞ? 良いだろう~!!」
ドヤ顔で自慢してきやがった。
少しイラっとしたが、今はそれ所ではない。
それに遮音してるなら、ありがたい。ICPOの事とか聞けそうだ。
「で、どういう経緯なの?」
「うむ。では最初から話をするとしよう」
「お願いします」
「最初に、各国の王がオークションに参加してる事は知ってるな?」
「ああ。聞いた事ある」
「では、最近ソレ絡みで犯罪があった事も知っておろう」
「ああ。解決に協力したし」
「それだよ。犯罪解決に協力した、これが重要。そして君はニーゲル国に居る。
ここまで言えば、何となく想像出来るだろ?」
「もしかして、何か通達が来た……?」
「その通り。イイクラなる者からタブレットに連絡が来た。
『貴方の国に事件解決に尽力する者がいます。その人の行動の邪魔をしないように。』
簡単に言うと、そんな内容だった。その2日後、今度は『事件は解決した』と連絡が来た。
それで会ってみたくなったのよ。だが、王の立場では出歩く訳にはいかない。
しょうがないので、呼び寄せる形になってしまった。許せ」
「そういう事か……」
確かに早期解決はしたけども、ヘタをすれば色々な国に行かなければならなかったかもしれない。
そういう場合、各国の王様の許可があればスムーズに移動出来る。
で、この王様は自国に解決した者が居ると知って、会いたくなったと。会いたいって何だよ?!
「で? 会ってどうするの?」
「今回の事は国だけの問題ではなく、この世界の命運がかかったような事だったのだ。
それを解決した者を放って置くなど、王のする事ではない!
そこで、何か褒美を取らせようと思ってな。貴族にでもなるか?」
そんな軽く、貴族になる? って聞くなよ!!
っていうか、貴族になるなんてラノベでの偏った知識しかないけど、どっちかと言うと罰ゲームだろ?!
絶~対にイヤだ!!




