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小部屋の秘密

は? ダンジョンコア? 何でこんな所に?


「本当にこれがダンジョンコア?」

「間違いないです! なんせ2回も見てますから!」


そうだった。ナグラさんは勇者時代にダンジョンコアを見て触ってるのだ。

ならば間違い無いだろうけど、何でこんな所にあるの?

教えて、キジマさん!


「これは……私にも判りません」

「実は今居るコレが新しいダンジョンって可能性は?」

「こんな近くにダンジョンは出来ません。最低でも馬車で2日くらいの距離は離れるハズです」

「じゃあこれは何でしょうね?」


この会話を聞いて、俺は何となくだがピンと来た。

ラノベを読んでいたナグラさんも閃いたらしく、俺の方を見て頷いている。

それは俺が話せって事なのね?


「推測だけど聞いてくれ。多分これは所子のダンジョンのダンジョンコアだと思う」

「えっ? 何でこんな所にあるんスか?」

「そうです。ダンジョンのボスを倒した事で出来る、通路の先にある部屋にあるはずです」


賢明な人なら既に察してるだろう。

そう! ラノベでダンジョンを管理する系の話で出てくる「避難させた本物のコア」だよ!

ボスの先にあるコアはニセモノってヤツ。取られてもダンジョンは崩壊しない。

でもコアはダンジョン内に設置しなくてはならない、という制約があったりして隔離出来なかったりする。

転生したダンジョンの管理人がよくやる手だよね!

ナグラさんもその手の話を読んでいたのだろうから、すぐに判ったんだと思う。


俺はその事を、ラノベで知ったという辺りは誤魔化して説明した。

するとコタニさんは納得したようだが、キジマさんは無理だった。

冒険者として生きてきたからしょうがないかも。


「では頑張ってボスを倒しても無意味じゃないですか!」

「ソレは冒険者側の考えだね。逆の立場で考えてみてよ。

 コアを守りたい。その為に強いボスをコアの前の部屋に置いた。

 でもボスを倒しそうな冒険者がやってきた。さあどうする?」

「……ボスを強化すれば!」

「来たのがトムさんだったら? レベル200だよ?」

「……ボスの部屋にたどり着けないようにすれば!」

「それは多分ダンジョンの制約でNGだと思う。ダンジョンからコアを出すのもNG」

「……コアを隠します……」

「そう。ダンジョン内のバレない所に移す。これが最良の手だろうね。

 ボスの先にコアがあると信じてるから、誰も探さないだろうしね。

 そして、このダンジョンで隠されたコアが、多分コレだと思うよ」


多分だが、この小山自体をダンジョンにしてるんだと思う。

で、表層にはモンスターを配置しない。

そうする事によって、ダンジョンは穴の中という認識にさせる。

次に大森林側に小さい入り口を作る。大森林には人が入らないし、小さくする事で発見されにくくなる。

中にファントムが居たのは、獣が入ってきた時に追い払う為だろうな。

そのファントムのせいで俺達に見つかった訳だけどさ。


「それで、このダンジョンコアですが、持って帰ります?」

「いやいや、ナグラさん。もう勇者の仕事はしなくていいんだよ?」

「そういう意味で言ったんじゃないですよ! だって高く売れるんでしょ?」

「そうなんだけどね。俺は放置しようと思ってる。それどころか、利用しようと考えてるよ?」

「「「利用する?」」」

「いつからこの部屋があるのか判らないけどさ、無くなる事は無いと思うんだ。」

「そうですね。ダンジョン内が広がる事はあっても狭くなるというのは聞いた事がありません」

「そして、今現在も誰にも見つかっていない。だからこの部屋に『門のシール』を貼ろうと思う!」

「なるほど! 何時でもダンジョンに来れるようにっスね!」

「そういう事! 近くのタルーンさんの家にも設置してるけどさ、入ってないのに出てくのを繰り返してると怪しいじゃん?」

「ここなら出入りしても見つかりませんね!」

「そう。それに見つからないようにダンジョンの管理者がすぐに隠すと思うからバレない!」


人がバレないように隠す部屋に、俺がバレては困る物を設置する。

完璧な作戦じゃないか!


「でも、入れないようにされたらどうするんですか?」

「だからこの部屋に『門のシール』を貼るんだよ。

 出入り出来ないようにされたら『コネクト』で門を繋いで進入して、コアを盗ってやるさ!」

「うわっ! エゲつない……」


こらこらナグラさん、俺を非道な人みたいに言わない。

利害が一致してるでしょ? 俺も『門のシール』が見つかったら困るから、この部屋を守るよ? 多分。


という事で、コアが乗ってる台座に『門のシール』を貼って、ダンジョンを出た。

頑張ってくれ、ダンジョンを管理してる人!

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