運ってズルい!
どうやって圧勝したのか。
それがヒドいんですよ、奥さん、聞いてくださいな。
俺に配られたカードは「スペードの3~J・K、ハートのK、クラブの7、ダイヤの9」だったんだ。
1種類の柄を無くすのがセオリーなので、「ハートのK、クラブの7、ダイヤの9」を交換に出した。
そしたら、「クラブの2、スペードのQ・A」を渡された!
これで手札は「スペードの3~A、クラブの2」になったんだよ!
で、クラブの2を持っている俺がスタートなのでそれを出す。
そうすると右隣の人が「クラブのA」を出して、引き取った。
次に何を出すかと思ったら、「スペードの2」ですよ!
確信したね。「あっ、何を出しても勝つわ」ってね。
だって、もう俺以外スペードを持ってる人が居ないんですよ?
つまりここからは、全て俺が引き取る事になる訳で。
そうすると、自動的にシュートザムーンが決まるんです。
で、俺は0点で、他の3人は仲良く26点になりました。
こんなのが後3回続いたんだぜ?
ひどいよね? 作戦とか戦略とか関係無しなんだもん!
多分、最速記録を更新したと思うね。
結果、俺が1位で0点。残りの3人が104点という事になりました。
こういう場合はどうなるんですか? とディーラーに聞くと、
「1位以外が全員100点に到達した場合、1位の総取りとなる。その場合は1位との得点差×2000円。」
という規則が当てはまるそうだ。
なので、104×2000=20万8000円を3人から貰いました。
1ゲームだけで61万4000円のプラスになっちゃいました!
運ってズルいよね!
ナグラさんの時計代が稼げれば良いかな~と思ってたけど、12倍くらい稼いじゃったよ!
対面の女性は「だから帝王と同じテーブルはイヤだったのに~!」と泣いている……。
左側の男性は何も言わず、呆けた顔で空を見ながら涙を流している……。
右側の男性はテーブルに突っ伏して、オロロ~ンと泣いている。くしゃみで呼び出す大魔王か!
勝負の世界だけど、さすがに悪い事をした気になってきたので、さっさと店を出た。
家に帰ると、全員興味があったようでハーツ大会になった。
キジマさんはルールは知ってたけど、プレイ経験は無いそうだ。
当たり前のように、俺はディーラーだったよ……。
1度も参加させてもらえなかった……。
家でやるハーツは、3位と4位が夕飯の支度をするという可愛い賭けだったよ。
1回目は練習で、2回目が本番。
結果、カンダさん85点・キジマさん28点・コタニさん96点・ナグラさん102点となった。
キジマさんの『技術』の『悪巧み』が作用してる気がするけどなぁ……。
ナグラさんは『料理』を持ってないので、コタニさんに習うらしい。
若いんだからすぐに習得出来ると思うよ。
さて、夕食も終わり、これからについて皆と話し合いをする事にした。
「俺、従魔を増やしたいんだけど、何か良さそうなモンスター知ってる?」
「ミノタウロスはどうっスか?!」
「悪くないけどさぁ……。強すぎない? 行くのも大変そうだしさ」
「ドラゴンのダンジョンのドラゴンはどうでしょう? 途中まで行ってましたんで道は判りますよ?」
「うん。ドラゴンを従魔って夢があるけど、それも強すぎないか?」
「そうですね……。どんな従魔が希望ですか? それで決めたら良いんじゃないでしょうか?」
「良い考えだね! でも希望か~」
「現在の俺達のレベルで行けるダンジョンで考えたらどうです?」
「カンダさん、ナイスアイデア! それで考えよう!」
「私達のレベルで行けるダンジョンって何処っスか?」
「所子の町の近くにあるダンジョンなら可能だと思いますよ?」
「丁度良かった! タルーンさんに用事があるから、ついでに聞いてみるよ!」
その場ですぐにタルーンさんにメールを送った。
文面は「現在時刻20時。2時間後の22時に『コネクト』で門を繋いでそちらに行きます」という物。
もし王都に到着してなくても、2時間もあれば門を出してもバレない所に『門のシール』を設置してくれるだろう。
う~ん、こういう時、双方向の連絡手段が欲しいよね!
22時になったので、門を繋いでタルーンさんの所に行った。
門をくぐるとタルーンさんが目の前に居て焦った!
「福田さん、大変です!!」
えっ? 何かトラブル?!




