閻魔様の加護
「それで、福田さんは何にしたんですか?」
あっ、一番困る質問が来たぞ!
「えっと、何か特別なのを貰えるらしいんだけど、教えてくれないんだ……」
「そうなんですか?! それはそれで期待出来ますね!」
「そうかな~。使わない物だったらガッカリじゃない?」
「福田さんの運の良さで、使わない物を貰うって事はありませんよ!」
「いや、あの組織には、俺の運は通用しないらしいんだよ」
「へーっ! そうなんですか! じゃあドキドキですね!」
『閻魔様の加護』だから、くだらない物では無いだろうけど想像出来ないよ。
使いやすい物である事を祈るだけだ。
「じゃあ皆の意見は聞いたから連絡しとくよ。早ければ夜までには貰えるんじゃないかな?」
「貰った時って判るんですか?」
「多分だけど、軽い頭痛が1秒くらいあると思うよ? そしたらステータスを見て確認してみて」
「判りました」
自分の部屋に戻り、タブレットを出す。
電源を入れてTを押すと、すぐイイクラさんと繋がった。
「お世話になってます。福田です」
「その様子だと決められたようですね?」
「その前に。『技術』の書かれてたリストから1枚抜きました?」
「ああ。はい。取りました」
「何故に?」
「『特別な技術』は、基本的に誰かの加護を受けないと取得出来ないのです。
かなり強力な技術なので、簡単には渡せないので。そこはすみませんがご了承下さい」
「いえ、1枚無くて気になっただけですから。でもあの中に『必中』がありましたよね?
あれって、俺が人に教えたらその人は会得出来るんでしょうか?」
「かなりの努力が必要でしょうが、可能だとは思います」
「判りました。それでですね、皆が欲しい『技術』が決まりましたので、お伝えしても良いですか?」
「お願いします」
「では。
ナグラさんは『医術』、キジマさんは『暗器』、コタニさんは『投擲』、カンダさんは『威圧』です。
大丈夫でしょうか?」
「ふむふむ。これなら問題ありませんよ」
「ありがとうございます。で、いつ頃貰える予定ですか?」
「そうですねぇ……10分後でどうでしょう?」
「早い! わ・判りました。伝えます」
「その時に、福田さんにも『閻魔様の加護』をお渡しするので確認してくださいね」
「ありがとうございます。よろしくお願いします」
こうしてイイクラさんとの通信は終わった。
俺は慌ててリビングに行き、10分後に貰えると伝えた。
途端に皆ソワソワして、時計を気にしだした。
ナグラさんだけ腕時計を持ってないので、コタニさんが見せてあげてる。
ナグラさんにも腕時計を買ってあげよう。仲間はずれは可哀相だ。
10分後、皆が一斉に苦しみ出した。
俺はというと、カキ氷を一気に食べた時の痛みの半分くらいしか痛くない。
こうやって見ると、俺が異常なのだなと思う。
そういえば、アサイさんも苦しんでたもんな。あの時は量が多かったせいもあるけど。
1分ほどで痛みは消えた。
皆も同じだったようで、ステータスを見て喜んでいる。
さて、俺も自分のステータスを確認しますか。
何が増えてるかな?
~ステータス~
増えた物
力系属性「瞬発力(A)」
耐性系属性「ダメージ耐性(A)↑」
技術「看破」
『閻魔様の加護』
注:ステータス画面のバージョンが上がりました(Ver. 2.1)。詳しく見たい項目を選ぶと詳細が出ます。
ナニコレ?!
ステータス画面のバージョンUPって何?! 頼んだ覚えが無いけど?!
増えた3つが『閻魔様の加護』によるものらしい。
まず、瞬発力ってのがいきなりAで入ってた!
選んでみると「瞬発的に動く事が出来る能力。何かの判断・決断時にも有効」と出た。
次に、ダメージ耐性がAにまで上がった!
最後に『技術』。『看破』って何よ?!
これも選んで詳細を見てみる。
「特別な技術……
『看破』相手のウソを見破る事が出来る。嘘つきと戦闘になる場合は全ステータスが10分間2倍になる」
ナンダコレ……。
俺に悪人退治をしろと言うのか?!
もっと使いやすい物が良かったよ!




