全員決定!
「何で『医術』にしたの?」
「あの~、私の過去を知ってますよね」
「うん」
「私、17歳で死んだんですけど、15歳から入院してたんですよ」
「うん」
「生き返ってこの世界に来て、勇者として今は攻撃特化になってますけど、人を助けようとしてるお医者さんに憧れてました。
色々な『技術』があって悩んだんですけど、やっぱり人を助けたいなと思いまして」
元だけど、さすがは勇者だね。
元より反対する気は無いし、応援してあげたいな。
「そうか。じゃあ頑張ってね。応援するし、出来る事があれば手伝うから」
「ありがとうございます!」
良い子だねぇ。
そんな話をしていると、皆が起きて集まった。
さて、全員の希望を聞こうかね。
勿論、真っ先に俺の安眠の邪魔をしたカンダさんは一番最後だ!
まずはキジマさんの要望を聞く。
「最後まで『隠蔽』と迷ったのですが、結局『暗器』にしました!」
暗器ですか?!
ちょっとリストを拝借して確認する。
「『暗器』隠し持った小さい武器での攻撃」
おっと! なかなかヤバそうな技術だ!
キジマさんはどこへ向かおうというのだろうか……?
深くは聞かないようにしよう。
次はコタニさんの要望。
「『索敵』か『投擲』か『捕手術』で悩んでるっス! どれが良いと思うっスか?!」
えっと、リストによると?
『索敵』敵を探す技術。探すというよりも敵の気配を察知する。
『投擲』武器を投げるのに使用。
『捕手術』相手を殺害せずに捕縛する技術。
と書いてある。
う~ん、コタニさんはどちらかと言うと魔法使いな感じだ。
『短剣術』と『逃げ足』を持っているので、接近されても何とかなりそうだよね。
となれば、遠距離戦を考えて『投擲』が良さそう。
「えっと、『索敵』は俺が持ってるから、『投擲』が良いんじゃないかな?」
「そうっスか……じゃあそうするっス!!」
「えっ? それで良いの?」
「問題ないっス!!」
ま・まあ本人が言うならそれで決まりだ。
投げる用のナイフとか買わないとね。
さて、カンダさんのを聞こうか。
カンダさんは『剣技』『盾技』『短剣術』『ナイフ術』『瞬歩』を持っている。
何を選ぶのだろうか?
「で、カンダさんは何にしたの?」
「リストを見てて思ったんですけど、複合な物が多いですよね?」
「複合な物?」
「例えば『体捌き』って技術がありますけど、これは『無手での戦闘で使える技。』とあります。
でも、これを得た人は多分、『関節技』や『投げ技』も会得してると思うんですよ。
実際俺も、『短剣術』を覚えたと同時に『ナイフ術』を覚えましたし」
あぁ、なるほど。
プロレスラーを想像すれば判りやすいかな?
捕まえる・投げる・関節を極める・殴る、これくらい出来るよね。
どれか一つを極めてるプロレスラーっていないだろう。
「言ってる事は判ったよ。で?」
「そうなると、複合じゃない技術を覚えるのが良いんじゃないかと考えました」
「なるほどね。で、何にしたの?」
「この先覚えそうな物や仲間が持ってる物も削除して、残ったのが『威圧』です!」
『威圧』とな?!
「『威圧』相手をビビらせたり、ヘイトを集めたりする技術。」
とリストには書いてあった。
ヘイトってアレだろ? えっと、「敵を自分に集める」みたいな事だよね?
RPGではタンクとかって役職の人が使うヤツだよね。
大きい盾が必要じゃないのかな?
まあ、カンダさんは脳筋だし、丁度良いのかも。あれっ?
「そういえばさぁ、『必中』が欲しいって言ってなかったっけ?」
「そうなんですけど、リストに載ってませんでしたのでダメなのかな~と。
まぁ福田さんが覚えているので、習おうと考えてます」
「あっ、そうなの……」
俺が見た時は載ってたのよ?
そう思って見たけど、確かに無かった。
下にあるページ数を見ると9ページになってたので、10ページ目に載ってたのかもしれない。
確かそこには『特別な技術』と書かれた項目があったはず。
マジックボックスに入れてたから、1枚だけ無くなるハズは無い!
……もしかして『特別な技術』はダメとイイクラさんが判断して、マジックボックスから紙を抜いた?!
そんな事出来るのか?! いや、見せてはいけないようなのばかり載ってたけどさ……。
技術を貰う時に連絡するから、その時に聞いてみよう。
続けて『技術』の一覧を掲載します。
読まなくても大丈夫です。




