ナグラさん、決定!
とりあえず、現在の自分の持っている技術を開示してもらった。
ナグラさんは、前回聞いたので知ってるけど15個。
カンダさんは、『剣技』『盾技』『短剣術』『ナイフ術』『瞬歩』の5つ。
キジマさんは、『剣技』『短剣術』『ナイフ術』『悪巧み』『料理』の5つ。
コタニさんは、『短剣術』『逃げ足』『料理』の3つ。
ちなみに俺は、『剣技』『盾技』『足捌き(あしさばき)』『索敵』『必中』『罠』『サマナー』『料理』の8つ。
やはり経験して覚える物なので、コタニさんが少ない。
俺やナグラさんが異常なのだ。
こうやって書き出してみると、何が足りないかがよく判るね。
カンダさんは攻撃特化してる。武器を使わない攻撃を覚えるか、防御を覚えたら良いんじゃないか?
キジマさんはバランスが良いんじゃない? 『悪巧み』があるのには驚いたけどさ……。
コタニさんはどうなんだろう? 今後、どうしたいかで決めるしかないよね。
ナグラさんも攻撃特化なので、防御か戦闘以外の事を覚えるべきじゃない?
こんなアドバイスをしたけども、皆は考えるのを止めない。
まぁ1つだけだもんな。年単位で努力して覚える事が一瞬だもん。
そりゃあ、必死にもなるってもんだ。
でもさ、もう20時だよ? イイクラさんが来たのが昼過ぎで1時間くらい居たかな?
で、それからずっと考えてる。
いい加減、夕食にしようよ!!
頑張って訴えたのだが、『料理』の技術を持っている2人は動こうとしない……。
しょうがない、あきらめよう。
俺はマジックボックスの中から、「こってりラーメン」を出して1人で食べた。
こんな暴力的な匂いをさせる物を食べてるのにも関わらず、誰もコッチに反応しない。
どれだけ必死なんだよ……。
食べ終わってヒマになったので、何故そんなに決まらないのかと思い観察してみた。
例えば、カンダさんの場合、、、
・攻撃特化してるから防御を覚えようか?
・武器を持ってるから、武器を使った防御が良いな。
・まてよ、現状では武器を持って無ければ、俺弱いぞ?
・武器無しで戦えるのを覚えるか!
・まてまて、それではさらに攻撃特化になるんじゃないか?
・最初に戻る
このループをずっとしている……。
そりゃあ決まらないハズだわ……。
俺は小さい声で「おやすみ」とだけ言って、自分の部屋に戻って寝た。
翌朝、翌朝と言ってもまだ日が登ったばかりの時間帯だが。
寝ている俺の部屋に全員が飛び込んできて、叩き起こされた。
「福田さん! 福田さん! 起きて下さい! 決まりましたよ!!」
「何ノンキに寝てるっスか?!」
「早く起きて下さい!!」
「うひゃあ、楽しみ~!!」
カンダさん、コタニさん、キジマさん、ナグラさんの順で好き勝手言ってきてる。
時刻は5時前。徹夜したのか、この人達……。
決まったなら寝れば良いのに!
俺は寝ぼけ眼で適当に答えた。
「うんうん。決まったのか。良かったね。じゃあ皆寝ようか」
「何言ってるんだ! 聞いてくれよ!」
とうとうカンダさんから敬語が消えた。
別に良いんだけど、睡眠妨害は許せない。
「いやいや、後で聞くから! 今聞いたって、すぐに貰える訳じゃ無いから!!」
「それでも聞いて欲しいっス!!」
誰もが徹夜明けの変なテンションになってるっぽい。
非常に勘弁して欲しい。
結局俺はガーを呼び出して、全員を追い出してもらった。
皆はブツクサ言いながら、自分の部屋に戻ったと後でガーから聞いた。
そのまま俺は二度寝して、起きたのは10時頃だった。
そして、13時まで誰も起きて来なかったよ……。
ナグラさんが最初に起きてリビングに来た。
「おはようございます。ふぁ~~。むにゃむにゃ。あっ! 福田さん!」
「おはよう。もう13時だけどね」
「時間なんか良いんです! 聞いてください!」
「判った判った、聞くよ」
「私、『医術』に決めました!!」
また、意表を突いた物にしたなぁ。




