表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
161/949

最終局面

1時間後、勇者は泣きそうな顔で帰ってきた。

きっと誰に聞いてもバカにされ、真実を教えられたのだろう。

さすがに同情するわ。


「どうだった?」

「……。はい、皆さんが言ってたのが本当でした……。」

「だろ? で、どうするの?」

「私、どうしたら良いんでしょうか……」

「まぁ、単純に考えれば、そのデタラメを教えてた所には行かない方が良いね」

「何故ですか?」

「また騙されるからだよ」

「さすがに、もう騙されませんよ!」

「そうか? 『他の国は自分の国の失態を隠す為に、国民にウソの発表をしてるんだ!』って言われたらどうだ?」

「……」

「『他国だけど、人の為に続けてくれないか? それが人類の為なんだ!』とか言われても大丈夫か?」

「……」

「黙ってるって事は、そいつが言いそうと思ったからだろ? そして乗せられそうと思ったからだろ?

 だから接触しない方が良いんだよ。会うにしても、ちゃんとこの世界の常識を知ってからにした方が良い」

「じゃあ、どうすれば良いんですか?!」


はい、第3段です。

また騙されるから帰っちゃダメですよ~と認識させる。

さ、ここらでトドメとしましょうか。


「そもそもだ、どうやってダンジョンからココに来たんだ?」

「えっと、モンスターを追いかけてたら、躓いて転んだんです。そしたらココに居ました……」

「何で? どういう仕組み?」

「私に聞かれても判りませんよ!!」

「……同郷の所に来るなんて出来すぎな話だな」

「そうですね。私もそう思います」

「これは何かの力が働いてるのかも知れないな。例えばこの世界の神様とかさ」

「神様って……。さすがにそれは……」

「いや、そう言い切れるのか? 日本からこの世界に来るような不思議な事が起きてるんだぞ?」

「……そう言われれば……たしかにラノベとかでは神様が出てくるし……」


最終はラノベでありそうなシチュエーションに持ち込む事。

転生を経験したんだから、神様だってありうるかも? と考えさせる。

神様がした事なら、何か意味があるのでは? とまで考えてくれれば大成功!


とうとう勇者は考え込み始め、ブツブツと何かを言い出した。

どうやら成功のようだね。

後はイイクラさんが来るまで軟禁するだけだ。

いや、軟禁と判らないようにするよ?


「ま、大変だったろうし、これからの事もある。

 とりあえず、しばらくの間ココに泊めてあげるよ。幸い部屋も余ってるし。

 後、世界の常識を覚えられるように支援もしてあげる。俺は福田哲司。よろしくな」

「ブツブツ……えっ? あっ! そ・そうですね!

 すみませんが、よろしくお願いします。私、名倉良子ナグラリョウコです。

 世間知らずで申し訳ないです……」


こうして、勇者捕獲はひとまず大成功と言える結果となった。



時刻は既に夕方。

ナグラさんには2階の真ん中にある部屋を使ってもらう事にした。

窓の無い部屋なので物置にするつもりだったんだけど、今回は好都合。

逃げるなら俺の部屋の前を通るし、階段を下りればカンダさんの部屋がある。

部屋割りも終わったので、リビングで全員で食事する事にした。

今日は料理をするのも面倒なので、持ってた牛丼と豚丼を出した。


その後ナグラさんは、コタニさんとキジマさんに常識を教えてもらうそうだ。

夕食後1時間が勉強タイムになった。

俺は自分の部屋に戻って、イイクラさんに報告する事に。

タブレットのTを押してコールすると、すぐにイイクラさんが出た。


「どうもです」

「お疲れ様です。どうでしたか?」

「はい。なんとかうまく確保しました。今、自分の家に居ます」

「おおっ! 早速成功ですか!」

「はい。今、仲間がこの世界の常識を教えていますよ」

「了解です。ではこちらも動きますので、2日間は勇者を捕獲していて下さい。

 2日後に私がそちらに伺いますので」

「判りました。一応王が騙していた事は伝えたので、逃げないとは思いますが注意しておきます」

「ではお願いします」


こうしてテレビ電話は終了。

イイクラさんが動くって事は、王の逮捕に動くって事なんだろうな。

ん? 逮捕なんだろうか? 三途の川の人達でしょ? まさか生きたまま三途の川に連行……?

ま・まあ、2日の間に何かするのだろう。頑張れ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ