引き返す
慌ててトイレから飛び出して皆の下へと行く。
全員で店を出てから説明すると、当たり前だが全員慌てた。
俺も含め、まだまだ先だと思ってたからね!
近くに喫茶店のような店があったので、そこに入って作戦会議を開く。
後で決めればいいやって考えてた事を決定する為に。
と言っても、主に色々決めるのは俺とキジマさんだけどね。
「さて、もう発見してしまいました。っていうか、めちゃくちゃ近くに居ました!」
「詳細は全く決めてなかったのに……どうしましょう?」
「近くに居る事実はどうしようもない。チャンスがすぐに来たと思うしかないよね」
「それにしても、その王には苛立ちますね……」
「そうっス! 最低っス!」
「俺もそう思うよ。だからこそ、早く勇者を助けたいよね」
「では詳細を決めましょう」
「そうしよう」
まずは作戦のおさらい。
最初に、ガーが勇者を1人誘い出す。
1人で来た所で、俺が『技術』で作成した『罠』で転ばせる。
転んだ先には『コネクト』で門を作っておき、それを通らせる。
通ったら門を閉じる。これで確保完了。
その後、ガーにシール付きミスリル板(転移板と命名した)を持ってもらい、サマナーで呼び出す。
「まず、誘い出す場所だけど、ドラゴンのダンジョン内で良いんじゃないかな?
現在も入ってるらしいから、追いつけば可能じゃない?
何時帰って来るか判らないし、コアを入手してからじゃ遅いし。」
「そうですね。それで行きましょう」
「じゃあ、次ね。門を使って連れて来るのは良いけど、何処に連れて来る?」
「逃げられないように、密閉された空間が良いでしょうね」
「貼った所にそんな所あったっけ?」
現在どこに貼ってるっけ?
忘れないように書いてるメモを見る。
・・・コネクト一覧・・・
1.所子のタルーンさんの敷地内の物置
2.タルーンさん所有の額縁の裏(移動中。後に王都の支店に置かれる予定)
3.『門のシール』と同じ大きさのミスリルの板(移動用)
4.馬車の中の時計の裏
5.サガワホテルのスイートルームの寝室のベッド(カジノの町の家に移してもらってるハズ)
6.ウエダさんの家の勝手口
7.ダンジョンの10階の、トムさんのログハウスの2階
「……タルーンさんの所の物置か、馬車の中か、カジノの町の家か、ウエダさん家か、トムさん家か」
「馬車は却下ですね。狭すぎます。他人の家も却下でしょう」
「そうなると、カジノの町の家の、俺のベッドしかないじゃないか!」
「そうですね。今から設置するのも時間が掛かりすぎます。それで行きましょう」
「マジか! 暴れられたら、俺の部屋がムチャクチャになるんじゃ?」
「その時は諦めてください」
ヒドイ!
でもそれが一番確実かもしれない……。
「それには、一度家を見に行かなきゃね」
「そういえば、まだ一度も見てませんね」
「ココからなら半日もあれば帰れるから、下見に行こうか」
「そうしましょう」
こうして、折角ココまで来たのにカジノの町に帰る事になった。
なんかラーメンを買いに来ただけみたいに見えるよね……。
カジノの町に戻った時には、既に夕方になっていた。
とりあえず、サガワさんのホテルに向かう。
今更ながら、サガワさんと連絡を取る方法を知らない事に気づいたよ。
そんなに会わないと思ってたからね。『メール』でも登録するかなぁ。
ホテルに到着すると、いつものようにツバキさんが飛んできた!
入り口をくぐる前にだ! 監視してるのかと思ってしまう速さだ!
「福田様! ようこそ!」
「あっ、どうも……。 あの~サガワさんと連絡つきますかね?」
「はい! 喜んで!」
どこの居酒屋だよ!




