悪巧み
「えっ?! マジでっ?!」
「はい。何とかなると思ってますけど」
「どどどどどどどうやって?」
「福田さんの技術や魔法を活用すれば良いのですよ」
キジマさんが話した内容はこれだ。
最初に、ガーが勇者を1人誘い出す。
1人で来た所で、俺が『技術』で作成した『罠』で転ばせる。
転んだ先には『コネクト』で門を作っておき、それを通らせる。
通ったら門を閉じる。これで確保完了。
って仕組みだ。
門まで罠に組み込むとは! キジマさん、恐ろしい子!!
確かにこの方法なら、ケガをしたとしても転んだ時くらいなものだろう。
さらにキジマさんは、作戦の問題点まで話した。
「問題もあります。
まず、勇者の居る所まで行かなくてはなりません。
次に、いなくなった現場に『門のシール』を残してくる事になります。
最後に、問答無用で連れて来られた勇者が、話を聞くでしょうか?」
ふむふむ、よく考えているなぁ。
カンダさんと違い、頭脳派だね!
「勇者の居る所に行くのは難しくないと思う。間違い無くどこかのダンジョンに居るだろう」
「そうですね。多分そうでしょう」
「『門のシール』の事は、考えがある。まだ実験してないから不明だけどさ。」
「それはどういう?」
「俺『技術』で『サマナー』を持ってる。従魔を呼び出せるでしょ?
従魔が『門のシール』を持った状態で、従魔を呼び出したら持ってこないかな?」
「良い考えですね! 実験が必要ですが、成功すればかなり良い手ですよ!」
キジマさんから賞賛を頂いた。
頭脳派の人から褒められたので、結構良い方法だと自画自賛だ!
「最後の説得だけど。
勇者には悪いけど、ちょっとコチラも騙そうかなと思ってる」
「騙す、ですか?」
「そう。勇者を連れてきたのではなく、向こうが勝手に入ってきたって方向にする」
これだけしか話してないのに、キジマさんはピンときたようだ。
「なるほど。それなら話を聞くでしょうね。なかなか悪い手を考えましたね」
「いや、キジマさんには負けるよ」
「フフフフフ」
「ハハハハハ」
何か代官様と桔梗屋みたいになってしまった……。
横をチラリと見ると、カンダさんとコタニさんが引いている。
しょうがないじゃないか! それだけ難しいミッションなんだから!
作戦は決まったので、後は実験をするだけだ。
俺はトムさんに『門のシール』を貼ったミスリルの板を渡して、全員で外に出る。
エレベーターのある小屋の前まで移動し、『サマナー』を使ってトムさんを呼び出してみる。
初めて使ってみたが、この『サマナー』、魔法に近い性質がある。
実際、MPが400も減った。まあ減ったという事は呼び出しが成功したという事だけども。
現れたトムさんは、左手にちゃんとミスリル板を持っていた。
トムさん曰く、呼び出す相手の「レベル×2」だけMPを消費するそうな。
とにかく成功だ! これで勝てる!
この後、「登場人物まとめ」を投稿します。




