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勇者

「順を追って説明したいと思います。

 まずは2日前の事ですが、三途の川で犯罪が発覚しました」

「犯罪?! 何があったんですか? アサイさんの横領ですか?!」

「えっ? 違いますよ? 死者の1人を勝手に転生させた者が居たのです」

「うわっ、結構な問題ですね!」

「はい。用意周到なヤツで、小火ぼや騒ぎを起こしてその間に転移の部屋に進入しました。

 調べて判ったのですが、女性が1人送られたようです」

「でも、そんな事して何か得があるんですか?」

「はい。裏でオークションと繋がってる事が捜査で判りました。

 不正なオークションを裏で行っていました。いわば人身売買です……」

「……最悪ですね」

「幸い、不正オークションをしていた者も全員逮捕されております。

 大量のMPで売っていたようですね。管理者にはオークションに出品される品を横流ししてました。

 問題は、購入者です。それはこのスフィアの世界の、ある国の王だと判りました」

「王?! 大問題だ……」

「はい。どうもその王はダンジョンコアを効率良く集める為に、強い人間を欲しがったらしいのです。

 そこで三途の川の権利を使い、『技術』を付与し勇者と騙して送りこみました」

「えっ?! じゃあ本人は……」

「召喚されたという体で送り込まれ、騙されてると気づかないまま、この地で勇者として働いてます……」


確かにラノベとかの召喚って誘拐だな~思ってたけどさ、本当の犯罪があったなんて……。

しかも組織で行ってたなんて、ヤバい話だわ!


「この件は閻魔様もかなりお怒りで。上に進言してスフィアを消すとまで言ってました……。

 さすがに所員全員で止めましたけど。」


……知らない間に死はそこまで近づいていたようだ。

なんと恐ろしい事でしょう!


「そ・それで、自分が協力する事って何ですか?」

「ここまで話して何となく想像出来ると思いますが、勇者の確保をお願いしたいのです」


やはり、それか。

そうじゃないかなとは思った。


「その人は無理矢理働かされているのですか?」

「いえ、三途の川で騙され、連れて行かれた国で王に騙されてます。

 本人は世の中を良くしようと、自ら動いて働いてます」

「……そんな人を、説得して確保しろと?」

「そうです。かなり面倒な事だと思います」


ヤバい。超面倒な依頼だ。

無理矢理だったなら助ける方法はいくらでもある。

騙されてるけど、自ら考えて動いてる人間を説得するのは難しい。

ある意味洗脳だもんな。

怪しい宗教に入ってる人を辞めさせるようなものと言えば、難しさが判るだろうか?


「あの~、イイクラさん自身は行かれないのですか?」

「あまり違う世界に長居してはいけないのですよ」

「アサイさんは長居してますけど?」

「……ダメ人間の事は忘れてください」

「……では、そんな厳しい依頼を、どうして俺に?」

「はい。1つ目に、同じ三途の川から来たという事。

 2つ目に、同じ地球出身で同じ日本人という事。

 3つ目に、閻魔様が福田さんを知っていて信用出来るからと仰っていた事。

 4つ目に、その国と何も関わりが無い事。

 5つ目に、高速移動が出来る術をお持ちの事。

 まだありますが、このように最適なのが判りますので」


言われてみれば納得だ。

同じ日本人なら、まだ話しやすいだろう。

ただ、日本人という点が問題でもある。

ラノベ・マンガ・アニメ等で、異世界の話は山の様にある。

それを知ってる可能性は高いだろう。

そういう人が勇者なんて呼ばれてるんだぞ? 喜んで働いてる気がするわ。


「どうですか? 協力していただけないでしょうか?」


う~ん、かな~り面倒だけど、知ってしまったからには気になってしまうし、イイクラさんからの頼みだしなぁ。


「判りました。協力しましょう」

「ありがとうございます!!

 それで報酬なのですが、3つ御座います。

 1つ目は『門のシール』を10枚差し上げます。これは成功報酬ではないので先にお渡し致します。

 2つ目は成功報酬となるのですが、好きな『技術』を3つ差し上げます。

 新規に増やすも良し、お持ちの『技術』をAにするも良し。ご自由にどうぞ。

 3つ目は……」

「3つ目は?」

「こちらも成功報酬となりますが、『閻魔様の加護』が付きます!」

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