トムさん
「私、ケンタウロスのトムと言います。よろしくね!」
「トムさんですか。よろしくお願いします」
「お仲間さんも紹介してくださいね」
「ああ、はい。こちらがカンダさんです。で、恋人のキジマさん。こっちがコタニさんです」
「カンダさんね。よろしく~」
何だろう、トムさんは何か違和感がある。
人間じゃないって違和感じゃないよ?
そういう事じゃなくて、、、例えば今3人紹介したのに認識したのはカンダさんだけ。
はっきり言おう。アッチの人なんじゃないか?
ちょっと色々聞いておいた方が良さそうだ。ソッチの話だけでなくダンジョンの話もね。
「トムさんはダンジョンのボスなんですよね?」
「そうだよ~。えっ? 変? これでもレベル200なんだけどな~」
強い!! 200ってどうやったらなれるの?!
最強目指すとか生意気言いました!! すみません!!
ここは下手に出て怒らせないようにしないとな。
「それでですね……何で自分の名前を知ってたのでしょうか? 自分、何かしましたっけ?」
「そうじゃないのよ~。その事についてはちょっと秘密があってね~」
「ひ・秘密ですか?!」
「そう。まあ君にとってはたいした秘密じゃないんだけどね?」
「それはどういう……?」
「その前に。ここで話してるのもアレだから、私の部屋に行きましょう! 皆さん付いてきてね~」
本音を言えば、付いて行きたくない。今すぐに帰りたい。
だが相手はレベル200のケンタウロス。逃げれるとは思えない。
それに俺の個人情報を知られている。逃げても意味は無いだろう。
ここは覚悟を決めて付いていくしかない。
皆を見ると、誰もが覚悟した顔をしていた。
トムさんに付いて洞窟の奥に進むと、とても広い場所に来た。
そこは2階のように草原で、上には太陽も出ている。
近くには川が流れてるし、気温も春のようにポカポカ。
ここがダンジョンの10階じゃなければ、いつまでも居たくなるような環境だ。
その中にポツンと家が建っている。
あれがトムさんの家なんだろう。
家と言うよりもログハウスといった感じだけど。
丸太で作られていて、凄くオシャレなログハウスだ。う~ん、住んでみたい!
促されるままに中に入るが、中もまたオシャレ!
木で作られたテーブルとイス、窓からはキチンと手入れされている畑が見える。
なんだこれ! 凄く羨ましい!!
「座って座って! 今、お茶を淹れるわね!」
「あぁ、お構いなく」
出してくれたのは、まさかの日本茶!
すごく久々だよ! というよりもコッチの世界で飲めるとは思わなかった!
お菓子も出してくれたが、これが和菓子じゃないですか!
ここは日本? どうなってんの?
すっかり和んでしまった……。
「さっき連絡しておいたから、もうすぐ迎えが来ると思うわ」
「迎え、ですか?」
「そう。福田君はその人に付いて行ってね。他の皆さんは残念だけど、福田君が戻るまでココに居てね」
「福田さんは戻ってくるんですね?」
「当然よ! 別の人と話をしに行くだけなんだから!
逆に戻ってこないなら、コッチから行ってやるわ!」
何故だか判らないが、俺の安全は保障されてるようだ。
しかし、誰が居るのだろうか?
俺を良く知る人で、こんな所を管理(?)してるような人?
……うん、全然思いつかない。想像すら出来ないよ。
大体、何で俺だけで他の人はダメなのか。
そうやって考えてるとノックの音がした。
どうやら迎えの人が来たらしい。
「おまたせしました。福田さんをお迎えに上がりました」
「ちょっと~遅いわよ! ちゃんと連れて行ってね! じゃあ福田君、その人に付いて行ってね~」
「わ・判りました」
迎えに来た人は驚きのスーツ姿の男性だった!
ナニコレ! 何が始まるの?!
今週は忙しくて、なかなか投稿が進まないかも…。




