最終問題!
ウエダさんの奥さんの名前。これが最終問題。
たしかナミちゃんは「お母さん」と呼んでいた。参考にならない。
ウエダさんはどうだ? たしか……「奥さん」と呼んでたな。
まさか「オク」って名前じゃないよな?
当然「オーク」な訳も無いし、って怒られるわ!
皆に聞いてもやっぱり知らないって言うし。
そりゃそうだ。俺より付き合いが短いんだもんな。
女性陣は知ってそうだけど、やっぱり「奥さん」と呼んでたんだってさ。
この問題、知る方法は一つだけある。
『コネクト』でウエダさんの家まで行き、聞いて帰って来るだけ。
ただ、それは許可されるのだろうか?
「あの~、調べに行っても良いですかね?」
「この場に居る人に聞くのはOKですが、移動するのはOUTです」
チッ、ダメか。『メール』で聞いても返事が聞けないしな。
ここまで来てもらうか? いや、無理だ。
ウエダさんの能力では、ココに来るまでに死んでしまうだろう。
いや、運を使って突破してきてもらうか?
そんなに待ってくれないだろうな……。
「くそー! 全然判らない! ヒントが欲しい!」
「……ちょっと考えたんですけど……」
「何? キジマさん。ヒント? 答え?」
「いえ、気になる事がありまして。このクイズ、最初に『本人確認クイズ』って言いましたよね?」
「あぁ、確かそんな事言ってた気がするけど」
「と言う事は、本人と確認する為のクイズと言うか質問ですよね?」
「そうだね。基本的に俺が関わった事が質問されてるね」
「だとすると……福田さんはウエダさんの奥さんの名前を知ってますか?」
「だから知らないって! 聞いた事も無いよ!」
「そうですよね。もしかしてそれが答えなんじゃないですか?」
「えっ?!」
「だって本人が知らない事なんですよ? 知っていれば本人では無い事になりませんか?
正解は『知らない』だと思います」
そう言われればそんな気もする。
だって俺が、福田哲司本人なんだもん。知らない事は答えれない。
バクチになるけど、それを言ってみよう!
俺はインターホンに向けて答えを言う。
「答えは『知らない』だ!」
「……正解です!! 一度も聞いてませんもんね~。知らなくて当然です。知ってたら変態です」
正解したが、何か腹立つ……。
「本人の確認が出来ましたので、今開けますね~」
ゴゴゴゴという音と共に観音開きの扉が……開かずに下がっていった。
上下するのかよ! じゃあ絶対に開けれないわ!
だから扉に引っ掛かりが無いのか……。
おっと、ツッコんでる場合じゃない!
クイズでテンション下がったけど、よく考えればこの先にはボスが居るのだ!
いきなり襲ってきてもおかしくはない。
ゲームじゃないんだ、こちらの準備が整うまで待ってくれる敵なんかいない。
心を落ち着かせて、いつでも戦える準備をする。
カンキジコンビやコタニさんも、すでに戦闘態勢だ。
扉が下がりきると、奥10mほどの辺りに、上半身が人間で下半身が馬の男の人(?)が立っていた。
神話とかで出てくるヤツだ。確か名前はケンタウロス。
背中には弓を背負い、腰(?)には帯剣している。左腕には小さい盾を付けている。
裸だが、体には筋肉が付いており、細マッチョといった感じだ。
「ヤバい……。ケンタウロスだ……」
「どうしたカンダさん。ヤバいって何?」
「ケンタウロスはレベルが最低100のボスです……。
正確な弓の攻撃と素早い機動性で非常に強いモンスターです……。
しかもヤツは腰に帯剣しています。剣も使えるとなると、多分レベルは200以上……」
レベル200!! かなりヤバい!!
『コネクト』を使って逃げるか?!
ケンタウロスはゆっくりとした動作で、両手を合わせた。
次の瞬間、パンという音と共に、紙吹雪と紙テープ……?
「ダンジョン踏破、おめでと~う!!」
クラッカーでお祝いかよ!!




