パーティー
どうもこの階は食材の宝庫のようだ。
他に出てきたのは、「殺人蜂」という蜂。大きいスズメバチだった。
見かけは怖いが、まっすぐに向かってくるのでファイアーアローの的だった。
こいつは「ハチノコ」をドロップした。栄養満点だね!
俺が倒すと「蜂蜜」が瓶入りで出てきた。謎だ……。
だが、蜂蜜はありがたいので、瓶の事は考えないようにしよう。
キジマさん以外で楽しく狩らせてもらったよ。
ちなみにレベルは最大10らしいので、レベル上げには役に立たなかった。
当然食材をドロップしない敵もいた。
それはスケルトンとゴブリンだ。
食材無しなら用が無いのだが、1回だけスケルトンを出してみた。
スケルトンはこのダンジョンで死んだ人が元になってるらしい。
死んだ時のレベル÷2で登場するそうなのだが、筋肉が無いせいかトロい。
こいつの困った点は2つ。
死んだ人間の『技術』が使える事と、バラバラにしてもすぐに戻る事。
『剣技』を持っているスケルトンは非常に厄介だった。
バラバラにした時に骨を盗り、砕いてしまうと復活しなかったので終盤は楽に戦えた。
強いヤツはいなかったようで、レベルは上がらなかった。
ゴブリンはRPGでおなじみのヤツだ。
だが、ここのゴブリンは強いらしい。
カンダさんから最初に遭遇したら逃げると言われたくらいだ。
レベルは25~30くらいらしい。
もう少しレベルを上げてから挑戦したい相手だね。
後ろ髪を引かれながらも、8階に進む事にした。
階段を発見してしまったからだ。
だが、ここでカンダさんから朗報が!
8階も森で、7階と同じ敵がパワーアップして登場するらしい!
心配して損したぜ! 食材祭りだ! ヒャッハー!!
ってハジけようと思ってたけど、大事な事を思い出しました。
今日はオークションって言ってたよね……。
現在の時刻は15時。うん、そろそろ帰る事を考えないとね。
『9階へ行く階段が敵に会わずに見つかるといいな』と考えながら進む事にした。
1時間くらい歩いたら、遺跡のような建物を発見した。
入ってみると中に9階へ降りる階段があった。
石造りの建物なのだが色々と壊れていて、階段近くにも壊れた壁の残骸が転がっている。
丁度良いので、ここに『門のシール』を貼ったミスリル板を設置した。
カンダさんと2人でなんとか持ち上がるような石材の下に隠したので、誰かに見つかる事は無いだろう。
ここならすぐに9階に行けるし、8階で食材集めをしても良い。
とりあえず『コネクト』を使って、ウエダさんの家に帰る事にした。
現在時刻は16時半。
アサイさんが帰ってきて無いので、まだオークションはしないんだろうな。
どっかの王様とかも参加するって話だし、きっと深夜にやるんじゃないかな?
それよりも、今からは取って来た食材でバーベキューだ!!
「ウエダさん! 帰ったよ!」
「おう、帰ったか。どうだった?」
「これからバーベキューパーティーをします!!」
「何だよいきなり宣言なんかして?! そうした?」
「7階で美味しい食材を大量にGETしたんだよ! 外で焼いて食おうぜ!」
「そういう事かよ! よし! そうと決まれば今日はもう閉店だな!!」
「そうしてくれ! 早速準備しようぜ!!」
カンダさんはウエダさんから聞いて、バーベキュー用のグリルや鉄板を物置から出した。
コタニさんやキジマさんは、奥さんを手伝って食材の準備だ。
ナミちゃんも帰ってきていて、ポチと一緒に炭を買いに行った。
俺は食材を出したり、炭に火を付けたりと忙しい。
こういう事してると、グリルや鉄板は勿論、外用のテーブルや椅子が欲しくなるよね。
今度どこかで買う事にしよう。忘れずにメモしとかなきゃ。
準備が万端整い、さあ始めるか! って時になってアサイさんが帰ってきた。
「何?! 今日はパーティーなの?! 私へのサプライズ?!」
「違います。何の手伝いもしてない貴方は白飯だけ食べててください」
「なんでよ! 教えてくれたら手伝ったわよ!!」
「だってどこに居るか判らないんだもん」
「『メール』で知らせてくれたら良いでしょ!!」
おぉっ! そんなの有ったね。
と言うか、今までアサイさんの事なんか忘れてたよ……。
しょうがない、許してやるか……。
カニの足を網の上で豪快に焼く!
頃合を見てひっくり返して、また焼く!
焼けたカニの足は、洗ったミスリルの剣で切る! (これが一番良く切れるんだよ)
そのまま何も付けずに食べる!
美味い!! 松葉ガニとタラバガニを足して、さらに2倍したような美味さだ!!
次はこれに軽く塩を振って食べる! これも良し!!
醤油も良し!! ドロップ品のカニミソを付けても良し!!
なんという贅沢だ!!
誰もが夢中になって食べた結果、あれだけ大量にあったカニは見る間に無くなってしまった……。
また盗りに、いや取りに行かなくては!!!




