不動産
ふざけた事を謝ること1時間、ようやく許してもらった。
その時ツバキさんが丁度やってきた。
「サガワが見えました。下にお越しください……って立てないのですか?」
「ちょっとありまして……気にしないで下さい。今降ります……15分ほど待ってください……」
さすがに足が痺れて立てないとは言いにくい。
まさかもう昼になってるとはね……。
サガワさんにそう伝えてもらったが、どうやら待てないようでスイートルームまでやってきた。
「動けないそうで! 大丈夫ですかな?!」
「大丈夫ですよ。もうすぐ回復します」
「椅子が悪いのか? ベッドが悪い? 配備した人間は……」
おおっと何かヤバそうな事を口にしてるぞ?!
ツバキさんの顔色も悪くなってきた!
「これは自分でやった事なんで! 自業自得と言いますか……。とにかくホテルとは関係無い事ですよ!」
「そうですか? 部屋はどうでしょうか?」
「問題無いで……いや凄く快適ですよ!」
言葉は選ぼう。問題無いって言うと普通という意味にも聞こえる。
とにかく褒める方向で行った方が安全だろう。
「それよりも、今回アポを取ってもらったのは、ちょっと相談がありまして……」
「何でしょうか? 何でも仰ってください」
「この町に家を持ちたいなと思いまして。不動産を紹介してもらえないかな~と。
あっ! 勿論この部屋が嫌だからって訳じゃ無いですよ!!」
「なんと! では、買われなくてもずっとこの部屋に住まれたら良いでは無いですか!」
やっぱりそう来るか……。もしかしたらって思ってたんだよね。
一応言い訳は考えてある。ヨイショも忘れずにね。
「いえ、昔から一軒家に憧れてまして。買うならサガワさんもいるこの町かなと考えまして」
「うぅむ、そうですか。……それなら仕方ありませんな。
では、私が紹介しましょう! 私、不動産業もやっておりますので!」
「そうなんですか! じゃあ頼もうかな?」
「任せてください! どのような物件をお探しですか? 3階建てでしょうか?」
貴族の家かよっ!
そんな執事とかメイドがいなきゃダメな家は必要無いよ!
「いえいえ、普通の家で十分ですよ!」
「そうですか? では部屋数や欲しい設備で考えましょう」
「そうですね。そうしましょうか」
「ではまずは部屋数はどれくらい必要ですか?」
「えっと……俺・カンダさん・キジマさん・コタニさんで4部屋ですかね」
「来客用に客間が必要だと思いますので、5部屋は要りますね」
「あっ、そっか! では5部屋で。他にはリビング・キッチン・トイレ・風呂かな?」
「男女一緒なら脱衣場も必要ですね」
「なるほど! それは気づきませんでした!」
「その他には物置用に1部屋あった方が良いでしょう。
冒険者なのですから、鍛錬用に庭もあった方が良いですね。洗濯物も干せますし」
「なるほどなるほど……あれっ? そうなると結構な大きさになる気がしますけど……?」
「そうですね。6部屋・リビング・キッチン・トイレ・風呂・脱衣場・庭、だと……2階建てになりますね」
簡単に考えてたけど、こうやって専門の人にまとめてもらうと、結構な大きさの家が必要って判るな。
買うとか言ったけど、絶対にお金が足りないわ。賃貸しかないなぁ。
でも賃貸だと、秘密の保持が難しそうだ……。
現在の全財産は1800万くらい。
家具とかも買う事を考えて500万くらいは残すとして、1300万で買えるのか?!
「それで、条件に合う家だと、どれくらいになりそうですかね……?」
「そうですねぇ。カジノの町で買うなら、土地代合わせて5000万といった所でしょうか?」
はいアウトー! 全然足りません!
こりゃ貯めてからまたお願いするか、賃貸だな。
そう考えていると、サガワさんから提案が出た。
「予算はいくらでお考えですか?」
「物知らずですみません……。1300万しかお金が使えないんですよ……」
「……1つだけ、福田様の案件の家を手に入れる方法が御座います。挑戦されますか?」
挑戦?! 挑戦って何?!




