所子出発
ついでに今の内に出来る事をやっておこうと思う。
「タルーンさん、『門のシール』と同じくらいの大きさの金属の板って無いですか?」
「多分あると思いますが?……ああ、ダンジョン用ですね?」
「そうです。木の板じゃあ簡単に壊れるかなと。
金属の板なら壊れないだろうし、隠す為に埋めたりしても大丈夫かな~と思いまして」
「判りました。探してきますので少々お待ちください」
10分ほどでタルーンさんは帰ってきた。
手にしてるのは……ミスリルの板?!
「それミスリルじゃないですか?!」
「はい。埋めたりするなら錆びないモノが良いと思いまして」
「いやいや、そうですけど、それ高くないですか?!」
「差し上げますよ。そう、先行投資という事ですね」
「そ・そうですか……じゃ・じゃあありがたく頂きます……」
ミスリルの板は『門のシール』よりもわずかに大きい。測って作ってきたのかな?
渡されたミスリルの板に、新しい『門のシール』を貼り付け『コネクト』を使う。
3の文字が浮き出て、これで移動用の門が完成した。
筆記用具を取り出して、忘れない内に書き留めておく。
~~~コネクト一覧~~~
1.所子のタルーンさんの敷地内の物置
2.タルーンさん所有の額縁の裏(後に王都の支店に置かれる予定)
3.『門のシール』と同じ大きさのミスリルの板(移動用)
ここでふと疑問に思った事がある。
「『門のシール』の前側にしか門って出ないんですかね?」
「そうじゃないでしょうか? シール側には何も書かれて無かったですから」
「障害物がある場合は避けるのでしょうか?」
「う~ん、どうでしょうか? 霧状でしたので、避けそうな気はしますが……」
「こういうのは検証するしかないか……」
「今、調べますか?」
「いえ、もうMPいや魔力が少ないですから。また後日調べて『メール』しますよ」
「そうですか。判りました。いや、なかなかの貴重な体験でした!」
「こちらこそありがとうございました。ではカジノの町に着いたら、連絡してからまた来ます!」
「お待ちしています」
店に戻ると、皆新しい武器を手に持っていた。
笑ってるので、どうやら満足いく品物だったようだ。
タルーンさんが合図すると、私兵の人がどこかに出かけていった。
しばらくすると、俺の馬車を連れてきてくれた。
細かい気配り、ありがとうございます。
タルーンさんに見送られながら、俺達は出発した。
これでこの町ともしばらくはお別れ。
まあすぐに『コネクト』で来る事にはなりそうだけどさ。
町を出て、しばらくしてから周囲を確認する。
今日はついて来る馬車はいないようだ。
一応コッソリしたいので御者をしているカンダさんに、他の馬車が来たら教えてとお願いしておく。
さて、馬車に『門のシール』を設置しよう。問題はどこに貼るかだ。
見える所は当然NG。少々の事ではバレない所が望ましい。
あの隠し金庫でも良いけど、気になる事がある。
『門のシール』を上向きに貼っても良いのか? という事だ。
貼ってダメというのは避けたい。
ミスリル板で実験すれば良いのだが、今日は残り270なので門を開いて200消費は何があるか判らないのでしたくない。
色々考えて、時計に貼れば良いじゃないかという結論に。
裏に貼ったらすぐバレるので、時計の裏蓋を外してそれに貼る。
これならシールの表面がこちら向きなので大丈夫だろう。
なんとか設置して時計を元に戻す。
おぉ! 全然判らないぞ!! 完璧だぜ!!
あっ、MPが戻る明日以降にすれば良かったかも……。




