ダンジョン
これがダンジョンか~。
言っていいかな?
ショボい。
もっとさぁ、入り口に人が居て入場規制してるとかさ、怪しげな雰囲気が漂ってるとかさ、あるじゃん!
こんな、子供が遊びで入って蝙蝠に驚いて逃げる、みたいな洞窟はダンジョンじゃないだろ?
「え~と、ナミちゃん。ダンジョンはまだかな?」
「えっ? これだよ?」
「……やっぱりコレなのか~」
「そうだよ! 早く行こうよ!」
「あれっ? 俺、見るだけって言わなかった?」
「見ても面白くないでしょ?! 入らないと!!」
「まぁたしかに面白くないけどさ。ま、1階くらいは行ってもいいか」
「でしょ! さあ行こう!」
「えっ? ナミちゃんも行くの?」
「子供は大人が一緒なら2階までは行ってもいいの!」
「そ、そうなんだ……」
ごめん。俺、大人だけど、レベル1なんだ……。
レベル10くらいの大人を想定してる考え方だよね、それ。
考えてる内に、ナミちゃんは走ってダンジョンに行ってしまった!
慌てて昨日当てた装備を出して、追いかける!
ダンジョンの内部は、想像通り鍾乳洞だった。
冒険者が置いたのか、壁にたいまつが等間隔であり意外に中は明るい。
進むほど幅は広くなっていき、今は3mくらいある。
「ナミちゃん、ちょっといいかな?」
「ん~? 何~?」
「ダンジョン内にはモンスターがいるって話だけど、どんなのがいるのかな?」
「1階には、スライムしかいないよ~。2階には狼がいるって聞いた事ある! まだ見た事無いの!」
そういう「見たい!」みたいな発言は止めて欲しい。
俺の運が働いて出てきちゃうから。
とりあえず、1階にはスライムしかいないようだし、それでも倒してレベル上げするかな~。
って、レベル1で倒せるのかな……ドキドキする!
そんな事を考えるから、はい、出ました、スライムさんです。
天井から落ちてきました。
雫のような形はしてません。赤色でゼリービーンズのような形してます。
ドラ○エではなく、ハイド○イドのスライムのようだ。
えっ? 知らない? ググれ!
ナミちゃんを俺の後ろに来させよう。
ナミちゃんは分かっているのか、慣れた様子で後ろに回り込んだ。
一般的には盾にされたとも言う……。
まぁ相手は子供だし、しょうがない。
で、どうすればいいんだろ?
ゲームなら、「→攻撃 逃げる」とかだけど、攻撃って? 叩く? 刺す?
よく分からないので、とりあえず刺してみる事に。
逃げないので簡単に刺せた。
で、剣を抜いたら、ビチャっと破裂した。
あれだ、水の入った水風船に針を刺した感じ。
これで勝ったのか?
ピロロン! レベルアップ!!
脳内に変な音と共にアナウンスが流れた。
この声はアサイさん?!
これが加護の力?! ってショボいわ!!
「哲司兄ちゃん、すご~い!」
ナミちゃんが褒めてくれた。俺ってすごいらしい!
「あっ、アイテム拾わないと!」
「アイテム?」
「そうだよ! モンスターを倒すと、モンスターはいなくなってアイテムが出るの!」
へ~。たしかにスライムが居た所には既に赤いシミは無く、代わりに何かが落ちている。
死体は無くなってドロップアイテムが出るのか。
まんまゲームだよな。
アイテムはナミちゃんが拾ってきてくれた。
「これが落ちてたよ~。でもスライム倒して出るアイテムじゃないみたいだよ?」
「そうなの? スライムを倒すと何が出るの?」
「えっとねぇ~……丸い石!!」
「そ、そうなんだ……。」
丸い石か。…………さっぱり判らない!!
で、今ナミちゃんが持って来たのは何かの木の枝みたいな物だった。
あっ! さっきゲームっぽいって思ったけど、だとすると「丸い石」が通常ドロップで「木の枝」がレアドロップなのかも?!
どっちにしてもショボそうなドロップアイテムだけどな!!
とにかく、1撃で倒せるなら問題無いだろう。スライム狩りといこうじゃないか!
結果、2階への下り階段に到達するまでに20匹倒してレベル3になった。
ドロップアイテムは全て木の枝だったよ。
今日は昼くらいにもう1話投稿します。




