魔法石
人ごみを抜けて、やっと魔法具店に到着した。
魔女の館……なんて事は無く、普通の雑貨屋って感じ。
中に入ると、30代くらいの女性が出てきた。店長さんのようだ。
「いらっしゃいませ~。何かお探しかい?」
「この二人には腕時計を。俺は魔法石が欲しいかな?」
「は~い。チヨちゃ~ん、ちょっとお客さんの相手して~!」
店長さんは店員さんを呼んだのかな?
そう思ってると小学生くらいの少女が来た。この子がチヨちゃんか。
若い、いや若すぎる店員だな。
「私の娘なのよ。このお姉さん達が腕時計を見たいってさ。案内してあげてね。」
「うん! 判った! こっちだよ!」
チヨちゃんに連れられて、キジマさんとアサイさんは時計を見に行った。
「で、お兄さんは魔法石だっけ?」
「そうです」
「火? 水? 何?」
「えっと……魔力を貯めておける魔法石ってあります?」
「ああ、無の魔法石ね。って事は、お兄さんは魔法が使えるのね! 若いのに凄いね!!」
「そうですか? それにそんなに年齢は違わないと思いますよ?」
「えっ? 綺麗だって? いや~そんな事言われると照れるねぇ」
……そんな事行った覚えが無いんだが。
ま、ここは変な事は言わない方が良いだろう。
「それで、その、無の魔法石でしたっけ? ありますか?」
「あるよ~。何個欲しいんだい?」
「出来ればあるだけ欲しいですけど。いくらですかね?」
「まぁ! その年で魔法が使えてお金持ちかい! 礼儀正しいみたいだし、これだけの女の子を連れてるのも納得だね!」
この店長さん、良い人なんだろうけどさ、話がすぐ逸れるよね……。
「それは良いとして、1個いくらですか?」
「重さで違うんだけど、うちにあるのはどれも1個1kgにしてある。1個1万円だよ」
「で、何個あります?」
「うちに在庫してるのは200個かな?」
「200ですか。じゃあ全部買います。良いですかね?」
「全部?! 全部で200万だよ?! それに200kgだよ?! 持てないだろう?!」
「マいやアイテムボックスに入れるから大丈夫ですよ」
「アイテムボックスまで使えるのかい! 凄いね~お兄さん!! さすが私の見込んだ男だ!!」
いつ見込まれたのだろうか? いいから早く売って欲しい。
俺はさっさと200万円をマジックボックスから出して渡す。
「はい、200万円です。じゃあ早速入れるんで、どこに行けば良いですか?」
「うぉう! せっかちだねぇ。それじゃ女性に嫌われるよ。いやお兄さんなら嫌われないか! ハハハ!」
「ど・こ・に、いけば良いですか?」
「あわてんぼうだねぇ。こっちに置いてあるから。着いてきて」
やっと目的の場所に案内してもらえた……。
無の魔法石は、はっきり言って黒い石。鉱物なんだろうか?
せっせとマジックボックスに収納する。
「1kgの魔法石で、魔力を200貯める事が出来るからね」
そうなのか。じゃあこれで4万は貯められる事になる。
……オークションに参加するには少ないな。
どこかに行く度に買い集める必要がありそうだ。
全部入れ終わったので、店長さんと一緒に店に戻る。
どうやら腕時計も選び終わってるようだ。
「時計2つでいくらですか?」
「お兄さんが払うのかい?! 女性に腕時計を贈るなんて、キザだねぇ!!」
「そういうのはいいので、いくらですか?」
「……30万かな。もう、少しはノッてちょうだいよ~!」
「そういうのはまた今度お願いします。では30万です」
「はい確かに! おりがとうね~」
「また入荷したら、タルーンさんに連絡してください。お願いします」
「了~解! 沢山仕入れるようにするよ」
「ありがとうございます! じゃあまた来ます!」
こうして魔法具店を後にした。
これで大体の目的は果たしたはずだ。
時刻は昼前。昼飯はどこかで食べるとして、その後どうしようか?




