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初空間魔法

配置に着いた時に『この勝負で勝てますように!』と祈っておく。

これ、大事。

魔法を使って勝つとはいえ、何があるか判らない。

しかも初めて使う魔法だ。失敗もありうる。

運に頼っておかなくちゃ危険です。


「ではこれが最後の勝負です。スタート!」


タルーンさんの掛け声で勝負は始まった!

俺は目の前の柱に手を当てて、すばやく『シール』と魔法を唱える!

空間魔法の『シール』は、壁や天井に張り付く事の出来る魔法だ。

どのように作用するのか知らないけど、使ってみたかったんだ!


膝を当ててみる。おぉ! くっついた!!

そのまま、ハイハイをするような格好で、柱を登っていく。

感覚は柱が床になった感じ。地面に引っ張られるような感じは無い。これなら落ちる事は無いだろう。

そのまま天井まで行き、天井に仰向けで寝る。俺からすれば、床に寝て天井を見てる感覚だ。

この店は天井が高いので、上を向かなければ見つからないだろう。

案の定イケメンさんは、俺の居た場所まで来てキョロキョロしている。見失ったのだろう。


イケメンさんが丁度俺の真下に来た時に、『シール』を解除する。

すると重力が戻り、俺はイケメンさんめがけて落下!

やべっ! 着地を考えて無かった!!

俺はそのまま、イケメンさんにボディプレスを与えたのであった……。


「福田様が先に触れたので、福田様の勝利です!」


勝利の代償は意外に大きかった……。腹が痛い……。

イケメンさんの頭が丁度俺の腹に直撃したんだよ……。

イケメンさんは首を押さえて転がってるけど。


さて、勝つのは勝ったが、どうせまた「無効だ!」と騒ぐのだろう。

魔法を使うのは卑怯だ、とか。

先んじて手を打つ必要があるなぁ。

どうしよう? と考えていると、タルーンさんが何かを持ってきてイケメンさんに着けた。腕輪?


「福田様、先ほどの禁止事項をもう一度おっしゃってください」


そう言いながら水晶玉を俺に渡してくる。


「えっと、『ダンジョンに出入り禁止』。これで良いですか? うおっ! 水晶玉が光ってますよ?!」

「はい、これは『契約の水晶玉』という物です。魔力で繋がっている腕輪と一対の物ですね。

 主に商人が大契約をする時に使います。光れば契約完了です。

 この水晶玉に向かって話した契約を、腕輪をしている者が守らなくてはなりません」

「守らない場合は?」

「腕輪が縮まります」

「……つまり?」

「手首が無くなりますね。血止めが間に合わなければ死ぬでしょう」


怖っ!! そこまでする気はなかったのに!!


「……契約破棄をする場合は?」

「この水晶玉を割れば、効力は無くなります」

「なるほど」

「また無効とか言い出しそうなので、有効だと判るように契約をしました。

 私が立会いな以上は、これ以上はゴネさせません!!」


さすが商人。契約にはうるさいようだ。


右手首に腕輪を着けられたイケメンさんは、話を聞いていたのか青白い顔をしている。

可哀相に……。


「でもコレって、どうやって判別するの?」


おい、アサイさんよ、追撃するような発言は止めなさいよ!


「腕輪が本人の脳波とシンクロしているのですよ。

 今回の場合、頭でダンジョンに行こうと考えてそれを行動に移した場合、発動するでしょう。

 本当は首輪で犯罪者に着けるモノなのですが、腕輪にさせてもらいました」

「いいわね、ソレ。いくらなの?」


おいおい一文無しよ、どうやって買う気だ? いや買わせね~よ?!


「すみません。これは売り物ではありませんし、売ってはいけないと国で決まっているのです」


そりゃそうだろ。こんな孫悟空の『緊箍児きんこじ』のような物、売っちゃダメだろ!

そもそも誰に使う気だよ!


恐怖な話を聞いたイケメンさんは、泣きながら転がるように店を出て行きました……。

これって、俺が悪いのかなぁ?

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