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イケメン

「久しぶりです、タルーンさん。今日は武具の修理をお願いしにきました」

「お久しぶりです、チハラさん。了解しました、修理ですね」


おおっと、名前と外見が一致しない人だな。俺の勝手な偏見だけど。

しかも丁寧な口調と大人っぽい仕草、20代のさわやかイケメンか……俺の嫌いなタイプだな。


丁度コタニさんの武器を見ている時に来たので、コタニさんと目が合ったようだ。


「これは可愛いお嬢さんだ。私はチハラと申します」

「はぁ、私はコタニです」

「どうでしょうか。この後お茶でも。良い店を知っていますよ」

「いえ、皆と来ているので遠慮します」


ナンパだ! ナンパだ!! 初めて見たよ!!

そして口癖の「っス」が出ないコタニさん、あっさりと断ったよ! 若干引いてるようにも見える。


「あちらの女性と一緒なのかな? お二人でもかまいませんよ?」

「いえ、遠慮します」


キジマさんと二人で来たと思ったのかな? くじけないな~。

そしてまたあっさりと断るコタニさん。


「おや、こちらの美しい女性もご一緒なのですか? 是非とも奢らせて欲しいですね」

「遠慮します」


アサイさんも発見したようだ。それでも誘うのか~、勇者だなぁ。

それでも断るコタニさん。

そして美しいと言われてニヤニヤしてるアサイさん。この人チョロいな。


「まあ、そう言わずに。女性に人気の高いスイーツのお店なんですよ。どうです? ご一緒に?」

「遠慮します。皆仲間ですが、私はこの人の護衛なので」


勇者は凄いなぁ。くじけないのね。

そして俺に飛び火してきた! 男が居ると言わないと引かないと思ったんだろうけどさぁ……。


「ほう、護衛ですか。男性が護衛される立場とは情けない……」


あっ、俺をディスって来た。そういうのはマイナスにしかならないと思うんですけどねぇ。

想像通り、コタニさんはさらに引いている。

俺に言ってるようだし、一応話をしておくか。


「はい、俺の護衛をしてもらってますよ? 情けないですか?」

「女性とは男性が守るものだよ」

「では貴方は女性の兵士や冒険者を認めないのですね?」

「何故だい?そんな事は言ってないよ?」

「兵士は国を守るのと同時に市民も守るでしょ? 男の市民は守ってはいけないと?

 冒険者は男性の商人や旅人から護衛の依頼があるでしょう? 依頼を受けたのに商人や旅人が護衛を守るのですか?」

「女性の兵士は、主に王族や貴族の女性の護衛が任務だよ!」 

「それ以外は実力があっても認めないと?」

「そんな事は言ってないじゃないか!」

「では、例えばレベル100の女性冒険者が、レベル15の駆け出し冒険者の護衛をしてはいけないと?」

「それは別の話だ! ベテランが初心者の面倒を見るのは当たり前だ!」

「ベテランは女性とは見ないという事ですか?」

「それはへりくつだ! 君はコタニさんよりも年上に見える! 今の例えには当てはまらないだろ?!」

「確かに年上です。ではタルーンさんが若い女性の護衛を雇ってはダメだという事ですか? どうです、タルーンさん?」

「いえ、お願いする事はよくありますね。むしろ女性の護衛はありがたいですね」


タルーンさんが近くに居たので、巻き込んであげた。

タルーンさんのレベルは知らないけど、体型とか見るとキジマさんより低いんじゃないかな?

それに俺の持論だが、同じ強さなら女性の方を雇う。

カンキジコンビ見てるとそう思う。だって男の方が脳筋が多いじゃないか!

慎重に行きたいのに『ガンガン行こうぜ!』ってなりそうだもん。

商人の場合、仕入れるのに自分の男性目線に加えて護衛の女性目線があればありがたいと思う。

しかもこの世界には魔法がある。女性でも十分戦えるだろう。

まぁ、魔法無しでも俺はキジマさんに勝てないけどさ。


「タ・タルーンさんまで……。と・とにかく、君のような者が女性に守られているのが情けないという事だ!」

「俺は一応冒険者ですけど、、、商人だったら? 貴族や王族だったら? 一般市民だったら?」

「う・うるさい! 冒険者なんだから問題無い!」

「それは結果論でしょ? 男尊女卑してる貴方の方が情けないですよ?」

「そんな事はしていない!」

「え~無意識ですか? もっと悪いじゃないですか……」

「失礼な! こうなったら冒険者らしく勝負して決着をつけようじゃないか!」


出た出た、口では負けるからって実力勝負にしようとするヤツ。

既に店内に居る女性は全員引いてるぞ?


「判りました。では、お断りします」

「よし、外に出ろ! ……あれ? 断る……だ……と?」

「はい、お断りします」


バカバカしい。思いっきり断ってやったわ。

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