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「さて…。」
次の日、伊織はいつもより1時間ほど早く目を覚ました。
荷物バックを開き、今日の洋服を選び出す。
ジーパンに白のTシャツ、その上に黒の薄手のパーカーを羽織った。
秋だから少し肌寒気もするが、まぁ大丈夫だろう。
台所へ行くと2人はもう起きていた。
「おはようございます。」
「おはよう、伊織。その格好よぉ似合ってるなぁ。」
美喜男さんはしみじみと言う。
「あらぁ本当、似おとるで伊織君。」
「久子さんからかわないでください。」
あえて『君』を強調する久子に伊織は口を尖らせる。
「さぁ、朝食にしよか。」
机の上に並べらた和食に目を移す。
美味しそうだ。
実際に美味しいのが。
「張り切って作ったさかい、遠慮なく食べてな。」
「いただきます。」
味噌汁に口をつける。
ああ、この味付け好きだなぁ。
どんどん箸が進み、伊織は20分後にご飯。綺麗に平らげた。
その後、出かける為の準備をしていた。
「伊織、そろそろ行こか。」
久子が呼ぶ声を聞き、支度を整え玄関へ行く。
並べられた靴に足を通し外へと出た。
が、2人の姿はない。
久子さん、と呼ぶが返事はない。
おかしいなと思い家の中へ戻ろうとした時、伊織はビクリと肩を揺らした。
「ニャー。」
猫がいた。
黒い猫が一匹いた。
その目はギラギラと不気味な光りを放っている。