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付いてくると言い張る真人さんを宥め何とか京都へと着く。
手には心配だからと真人さんの手書きの地図が握られている。
やっぱり自分は幸せだ。
地図を頼りに宇治駅に近い久子さんと美喜男さんの家を目指す。
彼らは久美さんの両親である。
久美さん同様、私を本当の孫と思って接してくれる。
「この道をまっすぐか…。」
家まであと少しになったとき、目の前に黒い影が映った。
「え?」
振り返ると、一匹のくれ猫がいた。
「あ…ぁぁ。」
自然と足が震える。
伊織は猫が苦手だ。
久美さんは自分の記憶の手がかりだと言っていたが正直よく分からない。
だが、今は苦手だけではない。
体のそこから沸き上がる言い様のない恐怖があった。
ーーミ……ターーー
ーーーア………ノム…メーーー
何かが聞こえる?
その間にも黒猫と伊織との距離は徐々に小さくなる。
猫が口をゆっくり開いた。