とうほうたけとりものがたり
とうほうたけとりものがたり
昔々、ある所に、竹取の嫗というおばあさんがいました。
「ルナ! 竹をとりに行ってくるわ!」
「そう。暗くなる前にちゃんと帰ってくるのよ。サニー」
竹取の嫗には、サニーミルクという通り名があり、竹取の嫗の妻であるただの嫗には、ルナチャイルドという通り名がありました。
サニーミルクが野山に行くと、根本が光っている竹が一本ありました。
「なんだあれ?」
サニーミルクは、その竹を切ってみることにしました。
「よく分からないからとりあえずとりゃぁーー!」
すると、竹の中から九センチ程の小さな女の子が出てきました。
「す、すごい! まるで星の青玉かのような美しさだわ!」
「いきなりなによ」
ルナチャイルドと二人暮らしでは、何か一人足りないと思っていたサニーミルクは、その女の子を持って帰ることにしました。
名前が無いと不便だと思い、サニーミルクはその女の子にかぐや姫と名付けると同時に、スターサファイアという通り名もつけてあげました。
そして家に帰ったサニーミルクは、すぐにルナチャイルドに報告します。
「ルナ! 『三人目』を見つけたわ! これでわたしたちは完全体よ!」
「スターサファイアこと、かぐや姫です」
「ようやく……見つけたのね。長かったわ」
サニーミルクとルナチャイルドは、スターサファイアを仲間として大切に育てることにしました。
三年程経ったある日の事です。
「そろそろ頃合かしら。スター、『お嫁さん』になる時よ」
ルナチャイルドが言いました。
「いたる所に婿募集のポスターを貼ってきたわ!」
外出していたサニーミルクが丁度帰ってきて、叫びました。
「心の準備はできてるわ。いつでもいいよ」
と、スターサファイアが言った瞬間、
「私の嫁! はやく出て来て欲しいんですけどww」
「……蓬莱山様、そのだぶりゅーがいっぱい入った言葉遣いを直して下さいよ」
「えwwこのウサギww何ww言ってんのwwww」
外から巷で話題になっている王女、蓬莱山皇子と、その友人であり落語家でもある、優曇華院イナバの話し声が聞こえてきました。
さらに三人の若者が集まったようです。
「まだかしら」
「早く出てこーい」
「はっ……! 歩いてたら無意識にここに……!」
三人の若者は八意皇子、因幡御主人、古明地小石麻呂でした。皆貴族なので、とても偉いのです。
「来たわ来たわ……!」
障子に穴をあけて外を見たサニーミルクは、スターサファイアに合図を送ります。
スターサファイアは外に出て、五人の若者に向かって言い放ちます。
「仏の御石の鉢と蓬莱の玉の枝と火ネズミのカワゴロモとツバメの子安貝と竜がもってるすごい玉を持ってきてくれたら、結婚してあげる」
スターサファイアが無理難題を出題すると、五人の若者は驚いてしまいました。
「ちょwwわwwたwwしwwそwwれwwもwwっwwてwwるwwんwwでwwすwwけwwどww」
「いやはやこれは奇遇奇遇。私も丁度持っていますよその鉢とやらを」
「明日新薬開発に使をうと思っていた子安貝が、私の右ポケットに入っているわ」
「私が今着てる服がカワゴロモですが、何か?」
「……はっ! 無意識のうちにキレイな玉を拾っていたわ……!」
若者達はなんと事前にそれらを持っていたのです。
いたずらのつもりで始めた事で、結婚する気は全く無かったスターサファイアは言葉を失ってしまいます。
「え……いや……私、星に還らなきゃ」
何とか言い訳をして、今日はここで帰ってもらおうとすると、空から人が降りてきました。
「月から来たパチュリー・ノーレッゲホッよ。月の子、私と一緒に月に帰りましょう」
「え? いきなり何?」
スターサファイアは突然の出来事の連続に、混乱してしまいます。
すると、家の中からルナチャイルドが出て、言いました。
「月の子は私よ!」
「そう。じゃあこの子は何?」
「私はスターサファイアです。星の青玉です」
「成る程ね。でも月と星は違うようで同じ物。二人共連れて行くわ」
月の使者は、二人を連れて昇天してしまいました。
「意wwww味wwww不wwww」
「蓬莱山様、私にはその言葉遣いの方が意味不明です」
「ふふ。良い暇つぶしだったわ」
「チッ。火に入れると妙に発光するこの衣、無駄になった」
「……はっ! 無意識のうちに姫がいなくなってる……!」
蓬莱山皇子、優曇華院イナバ、八意皇子、因幡御主人、古明地小石麻呂は、諦めて帰りました。
残されたのはサニーミルクのみです。
「……一人になっちゃったよ。参ったね」
キャスト
竹取の嫗 :サニーミルク
嫗 :ルナチャイルド
かぐや姫 :スターサファイア
蓬莱山皇子:蓬莱山輝夜
落語家 :鈴仙・優曇華院・イナバ
八意皇子 :八意永琳
因幡御主人;因幡てゐ
小石麻呂 :古明地こいし
気まぐれ更新です。ゆるして。