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とうほうさんどりにゃん

さんどりにゃんとは、サンドリヨンのことです。

サンドリヨンとは、シンデレラのことです。


あ、この小説は東方projectの二次創作でして、キャラ崩壊やざんこくなシーンがあるかもしれません。

苦手な方は、お使いのメディアを初期化したり塩水につけてみたりと、各自対策をとってみましょう。

とうほうさんどりにゃん


 昔々、ある所に、それはそれは美しくやさしい少女がいました。

 

 少女が幼い頃、実の母親が死んでしまったので、今は新しいお母さんとその連れ子であった二人のお姉さんと一緒に住んでいます。


「ああシンデレラ。あなたは何て美味しそうな娘なの」


 新しいお母さんは、幽々子という名前で、とってもいじわるな人でした。


「シンデレラ、肩もんで頂戴」

「シンデレラ、じゃなくてちぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇん! 紫姉さまを甘やかすことは無いぞ! ぬわ! ちぇん! 服がほつれているじゃないか! 今直ぐ縫ってやる! あ、ちぇんにぴったりなアップリケがあるぞ! それを付けてあげよう!」


 二人のお姉さんは、紫と藍という名前なのですが、お母さんと同じくとってもいじわるな人でした。

 藍はシンデレラにお花やらペンギンさんやらのアップリケで継ぎはぎだらけの服を着させ、紫は自分の介護をシンデレラに強要していたのです。


「ちぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇん! おふろの時間だぞ! 一緒に入ろう!」

「藍さまぁ。橙はもう一人でお風呂に入れますよぉ」

「ちぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇん! 何て所で寝ているんだ! 風邪を引いてしまうぞ! さあ、私のもとにおいで」

「藍さまぁ。橙はちゃんと自分の布団で寝ていましたよぉ」


 シンデレラはお風呂に一人で入ることも許されず、寝床さえも自由に選ばせて貰えませんでした。


「ちぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇん! またかまどのそばで遊んでいたのか!? 頭に灰がいっぱいついてるじゃないか!」

「藍さまぁ。ごめんなさい」


 暖かく居心地の良いかまどの近くに居るおかげで、橙の頭にはいつも灰がついていました。そこで紫は「灰かぶり……シンデレラね」とあだ名をつけてしまいました。




 ある日、お城の王子様からシンデレラ達に、お嫁さん選びのパーティーへの招待状が送られて来ました。

「王子様と結婚すれば美味しい物いっぱい食べられるかしら」

「お母様、私が結婚すればお母様は何もしないでも食事にありつけますわよ」

「ちぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇん! おまえに結婚はまだ早い! 家でお留守番だ!」


 いじわるな三人は、もちろんシンデレラを連れて行く気はありませんでした。

 シンデレラ自身もまだそういうのは早いと思い、三人を見送りました。


 しかし、三人を見送った後に、シンデレラは気付いてしまったのです。


「ひ、ひとりでおるすばん……。橙はさびしいです……」


 ついにシンデレラは耐えきれなくなり、シクシクと泣いてしまいました。


「藍さまぁ、紫お姉さまぁ、お母さまぁ、遠い所に行ってしまったのですか……」


 シンデレラは自分もお城に行きたいと思い、外に出ました。しかしお城は遠く遠く離れた場所に建っています。シンデレラの足ではとても行ける距離ではありません。


「藍さまぁぁ、さ、さびしいです、うえぇぇぇぇぇぇん!」

「……ぇと、だ、大丈夫?」


 いつの間にか、シンデレラの目の前に大妖精が立っていました。


「何で泣いているの? わたしが力になるよ」

「ひっく、橙はお城に行きたいです……」

「お城かぁ。たしか今日はパーティーの日だよね」

「橙は藍さまに会いたいです……」

「ああ、何て素直でいい子なんだろう。わたしが魔法を使って助けてあげるよ」


 妖精はシンデレラの不憫な姿を見て心が痛み、シンデレラをお城に送ってやることにしました。


「まず、服……は可愛いね。チューリップとかうさぎとか色々ついてるね」

「藍さまがつけてくれたんですよ。えへへ」

「じゃああとはキレイな馬車が必要かな?」

「わあ、楽しみです!」

「……」

「……?」

「……」

「……え? 馬車は……?」

「……ごめんね橙ちゃん。私実は何の能力も持っていないの」

「……ひっく……」

「な、泣かないで! 誰かお城に連れて行ってくれるような人さがすから!」

「……あ」


 シンデレラが妖精のやさしさに感謝し、天に祈ろうと空を見上げました。するとシンデレラは何かを見つけたようで、空を指差しました。


「あ! ホウキで空を飛んでいる普通の人だ! 橙ちゃんちょっと待ってね。あの人を呼んでくる!」


 妖精が普通の人を連れてきます。


「お願いです。この不憫な子をどうかお城まで連れて行ってください」

「藍さまに会いたいです」

「分かった分かった。ただし条件がある。夜の十二時までに用事を済ませよ。私はその時間に帰るんだぜ」

「わかりました。橙は約束を守る子です」

 (その藍さまと一緒に帰ればいいんじゃないかなぁ……?)

「妖精さん、ありがとうございます!」

「え? うん、またね。あ、何もしてあげられなかったおわびに、このリボンをあげるね」


 最後に、妖精は橙に黄色いリボンを渡しました。




 シンデレラは普通の人にお城の大広間まで送り届けてもらいました。

 シンデレラが大広間に現れたとき、その余りのかわいさにホールの皆が見とれてしまいました。


「藍さまぁー! どこにいるのですかー!?」


 シンデレラが叫ぶと、それに気づいた王子様が、橙のもとに全力疾走してきました。


「ちぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇん! 何でおまえがここにいるんだ!?」

「藍さまぁ。会いたかったです……。その格好はどうしたのですか?」

「ああそうだ。実は私がこの国の王子なんだ」

「すごいです! 藍さま!」


 シンデレラを気に入った王子様は、二人で楽しい一時を過ごしました。

 しかし、楽しい時間というものは、あっという間に過ぎてしまいます。時刻はもう、十二時になるところでした。


「あ! いけない! 橙はお家に戻らないと藍さまに怒られてしまいます!」

「ちぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇん! 私はここにいるというのに! そのおバカさがまた可愛いいよ!」


 シンデレラは急いで城の外に出ます。


「お。時間通りだな。帰ろうぜ」

「はい! 今日はありがとうございました!」


 王子様が城の外に出てきた頃には、シンデレラはもういませんでした。


「ちぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇん! 私と一緒に帰れば良いじゃないか! おや、このリボンは……?」




 翌日、王子様は拾ったリボンの持ち主と結婚すると言って、町中の娘達を調べてまわりました。

 直接シンデレラのもとに行くことが出来ないのは、王子という職業は公務員なので、正しい手順を踏まなければならないからです。

 王子様は頃合いをみて、シンデレラの家を訪ねました。


「それぞれ順番にこのリボンをつけてみなさい。演出のためにちぇんは最後だよ」

「私が最初につけるわ」


 名乗り出たのは一家の母、幽々子でした。


「どう?」

「似合わない。次」

「それだけなの?」

「私はは、や、く、ちぇんと結ばれたいんだ。さっさと次へ」


 幽々子は駄目だったようです。幽々子は残念そうな顔で紫に渡しました。


「どうです?」

「似合わない。若作りしてるようにしか見えない」

「藍、あとで私の部屋に来なさい」


 王子様は、紫からリボンを取り上げ、言いました。


「あー残念だなーこの家も私が望む娘はいないのかーあれ!? よく見たらまだ一人残っているじゃないかー!」


 王子様はシンデレラを見つけ、リボンをつけてあげました。


「ちぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇん! すごく似合っているぞ! ちぇんがこのリボンの持ち主だったんだね!」

「藍さまぁ。これは妖精さんのものですよ」

「そんな事どうでもいい! ちぇん! 結婚しよう!」


 この光景を見たいじわるなお母さんとお姉さんは、「そんな馬鹿なー」と言い、あきれて座り込んでしまいました。

 偶然通りかかった、シンデレラをお城に送った普通の人は、「目出度いぜ!」と言ってキラキラした星を降らせてくれました。


 それからシンデレラは王子様と結婚して、いつまでも幸せに暮らしましたとさ。めでたし、めでたし。


キャスト

シンデレラ:ちぇん

王子様  :八雲 藍

お母様  :西行寺さん

お姉様1 :八雲 紫

お姉様2 :八雲 藍

妖精   :大妖精

普通の人 :霧雨 魔理沙

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