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とうほうももたのう

思いつきで書いてしまいました。

とうほうももたのう


 昔々ある所に、お婆さんとお婆さんがいました。


「お婆さんなんて……。紫の方が適役でしょ」


「まあまあそう固い事言うなって! 私には霊夢しかいないんだぜ」


 紅白で目出度いお婆さんと白黒で西洋かぶれのお婆さんは、とっても仲が良かったのでした。


「ああもうこんな時間? 洗濯しなきゃ」


「じゃあ私は芝刈りに行って来るな」


 そうしてお婆さんは山へ芝刈りに、お婆さんは川へ洗濯に出かけました。


「……魔理沙の服って真っ黒よね。汚れなんて分からないし、洗わなくても良いんじゃないかしら?」


 お婆さんが悪だくみをしていると、川の上流から大きな桃がどんぶらこ、とんぶらこと流れてやって来ました。


「しょ、食材!!」


 お婆さんは脇目も振らずに川に飛び込み、その桃をかつぎ上げました。一歩間違えれば命が危ないのに、生きる力とは素晴らしいものですね。


「これで……一週間はもつかしら? いや、魔理沙に内緒にしておけば二週間?」


 お婆さんが更なる悪だくみをしていると、遠くの方で爆発が起こりました。ちなみに、白黒のお婆さんの座右の銘は、「芝刈りはパワーだぜ」だそうです。


「うふふ」


 紅白のお婆さんは上機嫌で家に帰りました。


「早くしないと魔理沙にばれちゃう」


 お婆さんは桃を一人占めするために足を速めようとするのですが、桃が重過ぎるせいか中々速度が上がりません。


「お! でっかい桃じゃないか! 運ぶの手伝ってやるから一緒に食べようぜ」


「くっ……! ここまでか……」


 とうとう紅白のお婆さんは、白黒のお婆さんに見付かってしまうのでした。

 二人で運ぶことにより、すぐに家に着いたのですが、紅白のお婆さんはやり切れない気持ちでいっぱいです。さっきまでの上機嫌は、すでに失われてしまったのです。


「美味そうな桃だなあ! よし私が切ってやる!」


 そう言うと白黒のお婆さんは、包丁を持ってきて桃を真っ二つにしようと構えます。


「ちょっと待ちなさいよ! これで三週間持たせるんだから! こう、外側の部分からちまちまと……切りなさいよね!」


 すかさず紅白のお婆さんが止めに入り、口論になりました。すると……


「うっさーいっ! 私が気持ち良く寝てる所を邪魔するなー!」


 なんと、桃の中から二本の角が生えた赤ん坊が飛び出して来たのです。


「わ、私の桃の中から……」


「スイカが生まれた……」


 それから、お婆さんとお婆さんはその子供に「ももたのう」と名付けて育てました。

 みるみるうちに大きくなった(気がする)ももたのうは、ある日お婆さんとお婆さんに言いました。


「何で萃香じゃなくてももたのうって名前を付けたのか分からないし大体ももたのうって何かが違くない? って気がするしももたのうの役って某天人の方が合ってると思ったんだけどそれは置いといて、近頃鬼が出没するそうなので退治して参ります」


「鬼はあんたでしょ」


「私には霊夢も鬼に見えるけどな」


「うっさいわね。ももたのう、鬼退治は良いけどちゃんと金品を奮い取って来るのよ」


 お婆さんはももたのうを激励しました。激励しただけでした。


「え、あれ? きび団子頂戴よ」


「無いわよそんな物。あんたがお金を持ってくればいくらでも作ってあげるけどね」


「魔理沙婆ちゃん、私も霊夢婆ちゃんが鬼に見えてきた。特に腋の部分が」


「そうだろう。霊夢は立派な鬼だ。特に腋の部分が」


「……さっさと行きなさいよ。あんたが私を幸せにしてくれたら鬼じゃなくなるわよ」


 そうしてももたのうは、生まれた時から持っていた、酒が無限に湧いてくるという瓢箪だけを隠し持って旅立ちました。


「うっきー。きび団子をくれたらゲホッゲホッゲホッグヴァッ!!」


 ももたのうは、家から少し歩いた所にある森で、何だか紫色のお猿さんに声を掛けられました。喘息持ちなのでしょうか、とても苦しそうです。


「大丈夫? これ飲んで落ち着きな」


 ももたのうは隠し持っていた瓢箪を取り出し、お酒を紫のお猿さんに飲ませてあげました。


「ちょっ、これお酒グパァ!」


 紫のお猿さんは、お酒をもらってとても喜びました。


「……」


「お猿さん、落ち着いた?」


「……少し待って、きもちゎるぃゎ」


「お猿さん、落ち着いた?」


「……ぃゃ、だから」


「お猿さん、落ち着いた?」


「……病人にお酒飲ませるって」


「お猿さん、落ち着いた?」


「……はぃ。落ち着きました」


「それは良かった。じゃあ鬼ヶ島に行こう」


「……はぃ」


 喜んだおパチュリーさんはお礼に旅に同行してくれると言うので、ももたのうは心良く受け入れました。


「わんわん! きび団子くれたら仲間になってあげますおー」


 さらに奥に進むと、今度は真っ白な犬が現れました。


「この瓢箪の中にきび団子が入ってるから、飲みな」


「それさっき私に飲ませたお酒じゃない」


 お猿さんが余計な事を言ったのですが、犬にはその言葉が理解出来る程の頭が無かったので、ももたのうから貰ったお酒を一気飲みしてしまいました。


「ぁりがとうこじゃいまふ。ゎたしもたびについて行きまふ」


 ももたのうの施しに感激した椛犬は、鬼退治に着いて行く事になりました。


「ぎゃおーたーべちゃーうぞー」


 もっと奥に進むと、コウモリのような形をしたキジに襲われました。


「あ、レミィ」


「あ、パチェ。久しぶり」


 こうしてキジも、鬼退治に同行することになりました。




「ついに鬼ヶ島に着いたぞ! 皆、準備は良いか?」


「ちょっと待って、また喘息がゲホッゲホッゲホッ!」


「私か? 私は酔ってなどいないぞ。さて、今日の獲物は※△○×□」


「夜になったな。夜は私のものォォォッ! 誰も私を止められん! WREEYYYY!!!」


 皆準備は万端なようです。鬼ヶ島に乗り込む時がやってきました。


「突撃ーー!!」


 ももたのうが勢いよく扉を開けると、一匹の鬼が仁王立ちをしていました。


「あ、萃香じゃん。どうした?」


「おぅ勇儀。鬼退治に来た」


「鬼? 鬼って、そこにいる吸血『鬼』かい?」


「WREYYYY」


「うん。そうじゃない? あと、お金貸して欲しいんだけど」


「それまた突然。何か困った事でも?」


「これとは別の鬼にたかられててね、大金が必要なんだ」


「たかられてるぅ!? 一体誰だ、そんな奴は」


「……博麗霊夢」


「……あ、そうか。これ、通帳だから。二千万位入ってるから。頑張れ」


「ありがとう勇儀! 心の友よ!」


「鬼退治もしなきゃアレだろう? さっさと済ませよう」


「そうだね」


「WREEYYYYぃたっ!!」


 そうしてももたのうと突然出てきた助っ人は、キジに化けていた鬼を倒しました。




「お! ももたのうが帰って来たようだぜ!」


「ちゃんとお金稼いだのかしら」


 長い旅を終えたももたのうは、猿と犬と気を失った鬼を引き連れて帰って来ました。助っ人さんはいないようです。


「お婆ちゃん! ただいま戻ったよ!」


「よし、良い子だな。流石私の子だ」


「猿と犬が増えてるじゃない。家でそんなの飼えないわよ」


「大丈夫! はいこれ通帳!」


「な、に、二千万円! ぇぇと、一ヶ月の出費が平均5,620円でもしももたのうがペットを飼ったら出費は二倍の11,240円。二千万円を11,240で割ったら約1779でそれをまた12で割ったら約148……。148年分!? 十分だわ! 十分過ぎるわ!」


「一ヶ月五千円って、私達ってよっぽどせっぱ詰まってたんだな」


「動物飼って良いの!? ありがとう霊夢婆ちゃん!」


「……私って、必要なかった気がするゲホッゲホッ!」


「……私か? 酔ってないと言っているだろう。さて、今日の晩御飯は◇▲$∫?」


 こうしてももたのうは、幸せに暮らしましたとさ。めでたしめでたし。




 

気分転換です。

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