42話:虚無を滅ぼす極光
辿り着いた帝都は、虚無の襲来をうけあちこちから火の手が上がっていた。
だが、準備が整っていたのか思いのほか混乱はしておらず、兵士たちは落ち着いて対応をしていた。
「やっときましたか、ユーマ。フフ、眩しいですね」
兵士たちの陣頭指揮をしながら、空を翔けるユーマの姿をレイノスは見送っていた。
帝都全体はそこまで壊れていなかったが王宮だけは崩壊し、地下の大亀裂が露出していた。
「ゼロ、いるのか?」
銀の光が何度も閃き、多くの虚無が斬られる。
「俺に話している暇があったら亀裂を塞げ、こう見えて結構消耗している」
そう言いながらまたゼロの姿は銀の光になった。
「そうだよな、それが俺の仕事だ」
俺はユニオンブレイカーの出力を慎重に増幅し、大亀裂に叩きつけた。
ドオォ!
ヒュンヒュンヒュンヒュン。
不気味な風切り音が鳴り、亀裂は破壊されなかった。
「なんだ?」
大亀裂から闇が人型にくり抜かれたような存在が現出する。
ヒュンヒュンヒュン。
「風切り音はこいつの鳴き声なのか?」
俺は戸惑いながらもユニオンブレイカーで人型の闇に切りつける。
ギィン!
人型の闇は腕を剣に変化させてユニオンブレイカーを受け止めた。
「ヒュンヒュンヒュン」
まるで人型の闇は笑っているようだった。
「こいつ、こっちの剣技の真似をしてるのか?」
人型の闇は俺と同じ構えをしていた。
一合、二合、三合……
闇と俺の剣撃は全く同じ軌道を描きぶつかり合う。
高速演算を使って予測しても、時剣術で加減速しても全く同じ結果に……いや相手の方が少しずつ速くなっている!
一撃、二撃、三撃、少しずつユニオンフレームを削り取っていく。
そこの白銀の一閃が奔る。
「何をやっている、そいつはお前の動きを模倣しているだけに過ぎん、奴が対応できない一撃で奴の核を打ち抜くんだ!」
次の瞬間ゼロは闇に切り伏せられた。
「ガハッ!」
「ゼロッ!」
「まだ死んでいないから早くやつを斃せ!」
俺は氷剣技の突きの構えをとる、風の渓谷でシュルツの幻影をかき消した時のことを思い出す。
闇の核を突けとゼロは言った、奴の核はどこだ……胸部、心臓か!
俺は極限まで集中力を高め剣の切っ先に全ての魔力を込める。
「ヒュンヒュンヒュンヒュン」
闇も俺と全く同じ構えを取り、心臓を狙っているようだった。
目を見開き、渾身の一撃を俺は放つ!
闇の一撃と俺の一撃が交差……しなかった。
闇の一撃はすり抜け、そして俺の一撃は闇の核を貫いた。
「ヒュ・ヒュ・ヒュン……」
闇はいまいち自身の状態を理解できないようだった。
「そもそも実体の薄いお前にはよくわからなかったんだろうな。風の剣の理は」
闇は崩れ去りそれと同じくして大亀裂も崩れ去っていった。
「仕留められたようだな」
「口から血を流しながらだとかっこついてないぞ」
「皇帝にそんな口が叩けるのはお前だけだ。これからどうする?」
「どうするって虚無であちこち被害が出たから復興作業に決まってるだろ」
「その後だ、お前はその力をどうする?」
「ユニオンソードも、ユニオンフレームも虚無が居なくなった時代には、無用の長物だと思う。だから帝国の金庫かなんかに保管しといてくれ」
「別にお前以外使えないんだから、お前が持っていてもいいと思うが……まあその時が来たら預かろう」
「助かる」
「さあ、勝利を伝えに行くぞ、虚無の残りもいるかもしれないしな」
俺はゼロと共に帝都に戻り、兵士たちやレイノスに大亀裂消滅の報告をした。
兵士たちは次々と勝鬨をあげ、帝都中が勝利のムードに包まれた。
虚無との戦いはここで終わったのだ、極光の剣士によって。
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