41話:虚無の襲来
ー山岳辺境都市アル・プラドー
ここでは今日も変わらぬ探索者たちの一日が始まるはずだった。
デュイーン。
空に黒い亀裂が奔る、そこから黒い靄を纏った、生物たちが滴り落ちるように次々と湧き出してきた。
「あん?なんだあれ?」
「待てよ?あれ皇帝が布告してた虚無ってやつじゃねえか?」
「手の空いてる探索者は、街の人間を協会支部に避難させるんだ!急げ!」
「ぐあっ、なんだこの黒靄、攻撃が通らねえ!」
虚無への対策方法をよく知らない探索者たちは、苦戦を強いられていた。
「皆さん!虚無へは持続的な魔力を当て続けなければ攻撃が通りません!魔導兵装を使っている方は白兵戦に切り替えてください!」
「あ、フィーナさん!アル・プラドに戻ってきてたんですね!」
「はい、虚無は人口の多いところに現れますから!私が中心になって皆さんを守ります!」
ー西山港ー
東方の玄関口である西山港でも虚無は襲来していた。
「これがご先祖様が戦った虚無か、レイノスの野郎に返してもらったカルド・ゲイザーを担ぎ出すにはおあつらえ向きだぜ」
「リュウガのおっさん、カッコつけてないで早く倒してくれよ!あたしは船は動かせるけど虚無と戦う力は持ってないんだから!」
「流石のカンナ船長も、虚無には尻込みするか!ハハッまあ敵は任せてお嬢ちゃんは海刃丸で救助活動に励むんだな!」
ゴウッとリュウガが魔剣を振るい虚無の尖兵を倒していく。
だがそこに今までの虚無とは大きさが段違いの存在が空から降臨した。
「こりゃ、流石に無理じゃねえか……」
リュウガが絶望を感じたその時。
パァン!
巨大な虚無が弾け散った。
「バ、化け蟹様……」
「ウミニ オチタ デカイ ヤツハ オレニ マカセロ」
化け蟹様の念話が西山港全体に響き渡った。
ー聖都ー
聖光兼教会の聖都にも虚無の魔の手は迫っていた。
「我々聖剣士は虚無との闘いの為にこれまで研鑽してきたのだ!怯むな!押し返せ!」
元筆頭聖剣士ザインの指揮の下、聖都の聖剣士たちは虚無に怯むことなく、押し返していた。
「聖剣技は確かに虚無に有効だ、だがこの出現ペース、我々聖剣士をもってしてもどれだけ耐えることができるだろうか……」
剣士の体力は有限、だが虚無は亀裂がある限り無限に出てくるいづれ限界が来るだろう。
ー淵平城ー
大陸を離れた東方の首都、淵平城も虚無の襲来を免れることはなかった。
「魔剣ならいくらでも作れる!全力で戦ってくれ!」
高速錬成を会得した大地剣士であり、鍛冶師のディランは、東方の魔剣士たちに魔剣を錬成しながら、虚無に抗っていた。
「く、大地剣は、虚無への有効度が低い、他の剣士に魔剣を作る事でしか、俺は貢献できない、里の皆は大丈夫だろうか……」
東方自体は魔剣廃棄法の影響を逃れていたので魔剣士が多く虚無への対抗が素早く行われていた。
ー大地の里ー
大地剣士たちの隠れ里も虚無に襲われていた。
「ぬう、錬成剣をぶつけるだけでは虚無の靄を突破できん!」
里長のディノスをはじめ大地剣士たちは苦戦を強いられていた。
「ぐわっ!里長!このままでは!」
大地剣士たちの防衛線が破られそうになったその時、氷の壁が次々と虚無の尖兵を押し返した。
「ディノスさん!助けに来たわよ!」
「ティアの嬢ちゃん!ここでいいのか?」
「独立商業都市には東方の剣士達がいるけどここは大地剣士だけでしょ?、相性を考えたらここに来るのが正解なのよっ!」
大地剣からヒントを得た氷刃錬成で虚無の動きを止めながら、狙いすました突きで一体ずつ仕留めていく。
「とはいっても、私一人だとそこまでもたないけどね!まったくユーマの奴はなにをしてるのかしら!」
ー山岳辺境都市アル・プラドー
「フィーナさん!もうもちません!」
「もう少し、もう少しだけ頑張ってください。必ず助けが来ますから!」
アル・プラドの虚無の侵攻は熾烈を極め、最早探索協会支部の入り口前まで押し込まれていた。
(ユーマ……!)
フィーナはアンブレイカブルを握りしめ、一人の剣士の姿が来ることを願っていた。
シュゥゥン……。
ズシャーーーーーーー!!
突然亀裂に虹色の一閃が奔り、跡形もなく消し去った。
その余波で地上に強い風が吹きつける。
空には虹色の光を放つ剣を携えた剣士が佇んでいた。
「ユーマ!!」
フィーナが呼ぶ声にユーマは一度だけ振り返り、そして虚無を一瞬で消し去り、アル・プラドの空から消えた。
「あれが、ユニオンブレイカーなんですね」
その後各地の亀裂をユーマは消し去り、帝都の大亀裂へと向かった。
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