陽の差す電車
掲載日:2025/11/08
電車に乗って、ふと前を見るとと、こたつでぬくぬくしている猫かのように穏やかな顔をしたお婆さんがいた。腕の中には薔薇の入った大層立派な花束を抱え、身なりはとても上等でいいところの人に見える。
ここで私はいくつかの選択肢を得る。
一つ、お婆さんに話しかけてみようか。
一つ、違う号車に移ろうか。
一つ、しばらく花束を眺めていようか。
、、、。
まあ、少し気分が悪いと良いの狭間を過ごしているのである。
幸せそうな人を見ると、いいね、幸せで。という気持ちとうざ、他のところでやってほしい。が同居するのはなぜだろうか。別に自分が不幸の渦中にいるとか、今日が特段に厄日だとか、人よりずっと幸せである自覚があるとか、そう言うわけではない。人並みに幸せで、人並みに不幸だろう。
考えていても仕方がない。話しかけてみるとしよう。
「この花束、すごい綺麗ですね。何かでもらったんですか?」
急に話しかけられて驚いたのかもしれないが、お婆さんは少し間を置いて口を開いてくれた。
「いやいや。孫が結婚式でね、、、今式場に向かっているとこなのさ。」
最寄りまで数駅、お婆さんに幸せを分けてもらった。
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