始まりの行進曲
※推理だけど、まだ推理してません。
「次のニュースです。先日、木倉市木曜町のアパートの一室で遺体が発見されました。遺体は同アパートに住んでいる大学生一瀬 由衣さん19歳で、リビングに倒れているところを同アパートの管理人が発見したもようです。争った形跡はなく、遺体には包丁の様なもので刺されたとみられる複数の刺傷があり、死因はそれによる失血死だとみられています。犯人は未だ見つかっておらず……」
現在、8月7日木曜日午前7時14分。目覚まし時計を乱暴に止め、まだ眠い体をなんとか起こしてリビングに向かう。ぼーっとしている頭のままリモコンを手に取って電源ボタンを押す。
そんな日のことだ。
起きてすぐつけたテレビをものの数分で消してしまった。頭の中を占拠していたはずの眠気はとっくに吹き飛んで行ってしまっている。まったく嫌な話を聞いた。木暮市木曜町はちょうど私が住んでいるこの街なのだが、夏休み真っ只中なこんな時期に自分の住む街で殺人事件が起きてしまうなんて運が悪いにもほどがある。今日は友達と遊ぶ約束をしていたというのに殺人事件なんてものが起きてしまうなんて……外に出ず、家で静かにしていた方がいいのはわかっている。それでも2カ月もこの日を待ちわびていたんだ。少しくらい良いじゃないか。そんなふうに悩んでいると突然どこからかトルコ行進曲が流れてきた。
一瞬、思考が止まる。行進曲はどうやら私のスマホから流れてきているらしい。そういえば昔、あまりに暇で着信音をトルコ行進曲に変えたような気がする。随分前のことだったのと電話がめったに来ないことが相まってすっかり忘れていた。スマホを見てみると友達の葵ちゃんからのようなので、ひとまず出てみることにした。
三山 葵。私のとても仲の良い友人で、サラッとしたロングヘアに赤縁のメガネが印象的だ。今日遊ぶつもりだった友達の中の一人だ。スマホからは早速「おはよう!」とあいかわらずの元気そうな声が飛び出してきた。「おはよう。電話なんて珍しいね、どしたの?」間髪入れずに「テレビ見た?こんな町でも殺人事件って起こるんだね。それでさ、ゆっちゃんはどうする?今日、遊ぶ?」と早口で返される。ゆっちゃんというのはもちろん私の愛称だ。
二畑 優。それが私の名前で、普通な名前だなと思いつつも、意外と呼びやすかったりあだ名が作りやすいと評判なので少しだけ気に入っていたりする。さて、そんなことより今は通話中だ。「どうしよっか。できれば遊びたいんだけど…決定は葵ちゃんに任せるよ。」小さな声で「よっしゃ」と言ったあと「じゃあ遊ぼう!」と大きな声で返された。鼓膜が破れるかと思うほどの大声だった。しばらくの間沈黙が流れる。「急に静かになったけど大丈夫?なんかあった?」あなたのせいなんですよ。という言葉は飲み込んで「まだ親が寝てるから声は控えめでよろしく。」と伝えてみる。葵ちゃんは「ごめん!気をつけるね」と変わったのか分からない大きさの声で謝られたので取り敢えず諦めることにした。「それじゃあ、四津に伝えてくるね」「よろしく!また後でね」と言って葵ちゃんは電話を切った。とんでもなく大きな嵐が通り過ぎたようだ。後は四津を賛成させる事ができれば今日は遊べることになる。何としてでも遊ぶと言わせなければ。
四津 朔…については後でもいいか。さて、電話をと画面を付けた瞬間、トルコ行進曲が流れ出した。画面には大きく四津の字が浮かんでいる。あまりのタイミングの良さになんとなく負けた気がして一度切ってからかけ直してやった。ワーワー言っている四津の声をすべて無視して今日は遊びますと伝えて速攻で切る。少しやりすぎた気もするが、あのタイミングは狙っているとしか思えない。つまりは向こうの自業自得だ。そう言い聞かせながら時計を見る。約束の時間は10時なのでまだまだ時間がありそうだ。ひとまず朝ごはんを食べて、支度をしてその後は…やらないといけないことは沢山あるが、とりあえず夏休みの宿題をしようと思い自室へと向かったのだった。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
あまりミステリーっぽく無いかもしれません。この話は身内で作った脱出ゲームを元に作った話なので…一応推理してるので…まだしてないけど。
続きをお待ち下さい。
それより、ニュースってどうやって書けばいいんですか?




