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愛の模倣あたりから考察してもらった仮説まとめ

そうなんですよね〜ここまではいい感じで天使の育成も進んでヒナは前向きになる…かと思われたんですけど、


結局、天使のことはリオンからしか情報を得られないし、自身も天使の本能に対して無知でわからないから混乱している


愛し合いたい、触れ合いたいが、エリンに向くはずなのに、「家族愛」を向けてくれているエリンの為に感謝もしてるから気持ちを抑え続けてしまう、

それがリオンにはわかってもらえるから、受け止めてもらえたと錯覚?し、

与えられる温もりに溺れていくようになってしまう


(魔力譲渡ですね、天使の力を引き出す為と、ヒナが強力な治癒魔法を習得する為に練習していてコントロールができないから消耗が激しくて、それをリオンが補充してあげています。


本来はエリンがやった方が効率いい、とは言うんですけどエリンが頑なにというか、譲渡にかなり消極的なので。

エリンが元奴隷のこともあり、

家族に対して、奴隷のように利用して搾取する加害者意識に耐えられないので別の方法を探そうとしているんでしょう)


天使の生存本能としても、魔力が枯渇すると

愛と魔力を求めやすく、

より愛を与えてくれる相手に惹かれやすくなるみたいです。


リオンは愛は与えてないかもしれないが、肌のふれあいもあるし、ヒナの天使の本能を理解して受け入れてはくれてますので…。


あとは譲渡のデメリットですね。

同一の悪魔と継続的に譲渡を繰り返した場合、

魔力吸収側、つまりヒナの精神汚染がじわじわと進行する。


それを防ぐ為にミアの涙を用いているため、

現在は①入手困難な精神安定剤(後にリオンがヒナに渡しています。これはノアが探し出した物です)

②譲渡の期間を十分にあける(これは今回、ミアの命を救うために急いでいるので無視されています)


③互いを愛し合うことでも緩和できる


④他種族の魔力を注いで、悪魔の精液による効果を中和する


これらが解決方法で、

デメリットと言っても生命の危機ではないらしく、どうしても無理だったら使ってと薬を渡されています。

(ヒナはこの事を気遣ってくれた?入手困難な薬まで探してくれていた?と嬉しくなってるので、たびたび瓶を眺めますが使用はしてなかった。)


これが後に、リオンによりエリンが"洗脳"魔法で本音を引き出されたときに、ヒナに渡すよう脳内指示がされて、エリンがヒナに安定剤を飲ませてます。


あとは2人の気持ちを観察し、

リオンに依存していたヒナに言葉を投げかけ、

依存から離すため、愛の多様性を知る為、屋敷でエリン意外との人間関係を築かせるために

ノアと会わせているみたい?です。


『(本当に、愛を知らないのかな……)


ヒナはリオンの横顔をじっと見つめながら、心の中で呟いた。

愛を求めることなく、愛を知らないまま生きている──

そんな彼の言葉が、どうしても頭から離れない。


──愛を教えられるかは、わからない。


でも、ヒナの胸の奥から自然と湧き上がる感情があった。

それは、ただ「リオンにも愛を感じてほしい」という純粋な想いだった。


気がつくと、ヒナはそっと手を伸ばし、リオンの頬に触れていた。

「……?」

リオンが少し驚いたようにこちらを向く。

その隙をついて、ヒナは唇をそっと重ねた。


──ほんの一瞬。


唇が触れたか触れないかくらいの、儚いキスだった。

けれど、ヒナにとっては精一杯の勇気だった。


「……ヒナ?」


リオンが静かに名前を呼ぶ。

ヒナは恥ずかしさに耐えきれず、視線を逸らした。


だが、それでももう一度──今度はしっかりと、リオンの目を見つめた。

頬を染めながらも、どこか覚悟を決めたような瞳で。


その瞬間、リオンの中で何かが弾けた。


「……そっか。」


微かに笑ったリオンは、ヒナの顎を軽く持ち上げると、今度は自分からキスをした。


深く、舌を絡めるような濃厚なキス。


口を開かされ、唾液を奪われるように貪られると、ヒナはたちまち頭がぼんやりとしてくる。


──リオンさんのキス、前よりも……


甘く、熱い。

支配するようで、でもどこか優しさすら感じるそれに、ヒナはゆっくりと溶かされていった。


気づけば、リオンに押し倒されていた。


「ん……っ……」


ヒナは夢中で応えながら、無意識にリオンの背中に手を回す。触れた肌の温もりに、胸が高鳴る。


けれど、すぐに唇を離される。

「……っ…。」

唇が離れた途端、ヒナは名残惜しそうにリオンを見つめた。


その表情を見たリオンは、一瞬だけ目を細めると、再び深く口づける。


「……ぁ……」

ヒナの指が、リオンの服をぎゅっと掴む。


──もっと、もっと、求めてほしい。


腕を掴まれ、乱暴に服を脱がされる。

肌を弄られ、首筋に甘噛みされ、舐められる

与えられる快楽の強さに、ヒナの意識はだんだんと溺れていった。


──支配される行為。


それが、まるで自分が求められているかのような錯覚を生む。ヒナの中では、いつの間にかその感覚が喜びに変わっていた。


「……っ、ぁ……リオン、さん……っ」


呼吸が荒くなる。

息が詰まるほどの快楽に、思考がぼやけていく。


繋がる瞬間の甘く鋭い刺激が、ヒナの意識のすべてを塗り替える。

この感覚が、好き──…


リオンの俯くような顔をそっと覗きこもうとすると、視線に気がついたリオンがヒナをじっと見る。


この赤い瞳が熱を帯びたように見える瞬間が、好き──…。


もっと欲しい。

もっと求めて欲しい。

頭の中が次第に蕩けて、すべての思考が溺れていく。


何度も、何度も貪るように──…。

与えられないとわかっているのに、『愛』を求めてしまう。

刺激に敏感に反応し、果てることを繰り返す。


余裕なんて一切ないヒナが、

それでも今日は愛を知らない悪魔に教えたいと願っていた。

愛を与えることもなく、愛されたいと願うこともなく──

それが本当なら、あまりにも寂しい。


リオンにも、愛を知ってほしい。

誰かを大切に思う気持ちが、

ただの「魔力の譲渡」や「手段」じゃないことを……

伝えたい──…


「……す…き……、です…」


快楽の波に揺られながら、ヒナは途切れそうな息を継ぎ、

必死に短い言葉を絞り出した。


その声に、リオンの動きが一瞬止まる。

ちらりと、ヒナの顔を見下ろす。


潤んだ瞳で見上げるヒナをじっと見たリオンは、

何も言わず腕を掴み、強引に唇を塞いだ。


齧るような、熱のこもったキス。

呼吸ができないほど、深く、強く。


ヒナは意識が保てないほどの快楽の中で、

リオンがほんの一瞬、苦しむような、切ないような表情を見せたことに気づく。


──その表情さえ、愛おしく思えた。


耳元で、小さく唸るような声が落ちる。

それがヒナの承認欲求を強く満たした。

リオンの魔力が流れ込む瞬間、ヒナは恍惚の表情を浮かべる。喉元を甘く噛まれるたび、背筋が震えた。


自分が、必要とされている──。

そんな錯覚を覚えるほどの激しい行為に満たされ、

リオンの視線に自分の心臓が跳ねる音すら心地いい。


ただの魔力の譲渡。

それが、次第に抗えない快楽へと変わっていく。

触れ合いたい、愛し合いたいという天使の本能を刺激する。


渇いた魔力を求めたら、何度でも注いでくれる。

満たされないエリンへの愛も、

触れてもらえることの少なくなった寂しさも、

全部、拒絶することなくリオンは受け止めてくれる。


リオンの何気ない言葉に心を開き、頼り、甘えてしまうヒナ

ヒナ自身は気がつかないうちに、リオンに完全に依存していた──。


───────


気がつくと、リオンはベッドの端に腰掛けていた。

どこか気だるげに上着の袖を直しながら、ベッドの上に置かれたヒナの上着を摘み上げる。


そして、それをぽんとヒナに投げ渡した。

柔らかい布がヒナの胸元に当たり、軽く跳ね返る。


ヒナは静かに上着を拾い上げ、乱れた体にそっと羽織る。

袖を通すこともなく、ただ肩に掛けるように身を覆う。


「リオンさん……。」


「ん?」

赤い瞳が、ヒナを静かに見つめる。


「手を……繋ぎたいです……。」

ヒナが小さな声で言うと、リオンの眉がわずかに動いた。

だが、すぐに口元に薄い笑みを浮かべる。


「へぇ……。」


リオンはおもむろに腰を下ろし、ベッドに座り直した。

そして、ヒナの小さな手を掴むと、そのまま引き寄せるように体を動かし、ヒナを再びベッドに押し倒した。


「ヒナ……今日、オレのこと『好き』って言った?」


からかうような口調。

だが、どこか不快そうな表情が滲んでいた。


ヒナは視線を逸らし、黙り込む。

その様子を観察するように見ていたリオンは──突然、ヒナの唇を塞いだ。


思考を遮るように、深く、絡めるようなキス。

ヒナは戸惑いながらも、抗えずに身を委ねる。


──「ただいま。」


玄関の方から、エリンの控えめな声が聞こえた。


その瞬間、ヒナの身体がびくりと震える。


意識が、一気に覚醒した。』


『屋敷の玄関が開く音がした。


「……ただいま。」


控えめに響いたエリンの声が、静かな夜の空気を切り裂く。


──その瞬間、ヒナの意識は一気に冷めた。


身体の芯まで染み込んでいた熱が、まるで氷水を浴びせられたかのように引いていく。

リオンの腕の中で、ヒナははっと息を呑んだ。


──なんで、また……。


頭の中で、何度も繰り返す。

どうしてまたこんなことをしてしまったんだろう。

どうして、こんな言葉を口にしてしまったんだろう。


「……正気に戻った?」


リオンがどこか愉快そうに、けれど冷めた目で嗤う。

目尻をわずかに持ち上げ、ヒナの動揺を楽しむような顔だった。


「……っ」


ヒナは声にならない声を漏らし、逃げようとした。

けれど、組み敷かれた身体は、簡単には動かない。

逃げたくても、逃げられない。


そんなヒナの様子を見て、リオンは短く息を吐いた。

どこか考え込むような表情を浮かべ、手のひらを軽く動かす。


「……本当は、使いたくなかったんだけどね。」


淡々とした声。

指先が宙をなぞると、薄紅色の魔法陣が静かに広がる。


──洗脳。


リオンが本来なら決して使いたくない魔法。


「お仕置き、ってことで。」


ふっと口元に嗤いを浮かべながら、リオンは舌舐めずりした。


その瞬間、エリンの意識が遠のく。


虚ろな足取りで、リオンの部屋のドアが開いた。

部屋の灯りが、ふわりとエリンの姿を照らす。


「───あ……。」


ヒナの喉が震えた。


全身から、血の気が引いていく。


見られたくなかった。

知られたくなかった。

これ以上、何も知られたくなかった──


目の前が真っ白になる。

呼吸すら、うまくできない。


「……おかえり。遅かったね」

リオンはエリンを見ながら、不敵な笑みを浮かべ、

そのままヒナの唇を舐める。


唇をなぞる熱に、ヒナはびくりと肩を震わせた。

その仕草が愉快だったのか、リオンは小さく息を吐きながら、ゆっくりと腕の力を緩める。


エリンの瞳が、かすかに細められた。


その変化は一瞬で、誰も気づかないほどわずかなものだった。けれど、リオンはその視線の奥に 冷えた感情が滲んだのを確かに見た。


──苛立ち、とまではいかない。


だが、確かにそこにあったのは、これまでのエリンにはなかった感情だった。


エリンの瞳が ほんの僅かに伏せられる。

長い睫毛が影を落とし、その下で、

指がゆっくりと強く握りしめられた。


無意識の反応──リオンは、見逃さなかった。


「……へぇ。」


リオンの唇が、愉快そうに持ち上がる。

低く抑えた声が、楽しげに揺れた。


この表情カオが見たかった


エリンの僅かな変化が、リオンにとっては何よりの答えだった。

心の奥底にある 「焦り」や「苛立ち」 が、確かに顔を出している。


だが、エリン自身はそれに気づいているのか──

それとも、気づかぬまま、無意識に抑え込もうとしているのか。

リオンは腕を組み、じっと彼の反応を見つめていた。



解放されたヒナは、一瞬の間を置いたあと、

慌てたようにシーツを手繰り寄せ、自分の身体を包み込むようにして丸くなる。


息が詰まりそうなほど心臓が跳ね、震える手で布を握りしめる。

まるで、自分の存在そのものを覆い隠すように。


その間リオンは壁際に腰をかけ、背をもたれかけると、脚を組みながら薄く笑みを浮かべ、ただ、静かに見ていた。


ヒナが怯えたように肩を震わせる。

重苦しい沈黙が落ちる。


「……ごめんなさい……ごめんなさい……っ」


ヒナの小さな声が震える。

こぼれ落ちる涙は、止まらなかった。


「ヒナ、泣かないで。大丈夫だから。」


優しい声が降る。


エリンが、そっとヒナを抱きしめた。

ヒナは驚いた。

でも、その胸の温もりに触れた瞬間、耐えきれず、さらに涙がこぼれた。


「大丈夫、大丈夫だよ。ヒナ。落ち着いて。

魔力の譲渡、だよね。僕がしなかったから、代わりに──」


「ちが……違います……っ!」


ヒナは首を横に振った。


「譲渡はそう……なんですけど……代わり、じゃなくて……!」


何かを訴えようとするヒナの言葉に、リオンがわずかに眉を上げた。

少し意外そうな反応だった。


「ボクが悪いんです……甘えて……その温もりに……依存して……!

受け入れてもらえてるなんて勘違いに……抗えなくなってたから……!」


泣きじゃくるヒナを、エリンは強く抱きしめる。

ヒナの細い肩を包み込みながら、静かに語りかけた。


「……ヒナ、僕たちのために……ミアを救うために、無理させてばかりでごめん。

ヒナがその責任を持つ必要はないのに……頼ってばかりで……。


君が一番つらい立場なのに、何もしてあげられてなくて、本当にごめん。」


ヒナは泣きながら、首を横に振る。


「……ヒナは、まだ僕のこと好きでいてくれてる?」


ヒナの呼吸が止まった。


大きく目を見開く。


「恋愛対象として、って意味だけど。」


エリンがそう付け加えた瞬間、ヒナの涙が溢れた。


「……いつから、知ってたんですか……? なんで……どうして……?」


震える声で問いかけるヒナ。


エリンは微笑み、ヒナの頬を優しく撫でた。


「……気がつくのが遅くてごめんね。

最近になって家族という関係だけじゃなくて、

君の気持ちを受け止めて、一度、考え直してみようと思ったんだ。


今までヒナの気持ちを無視して「家族愛」を押し付けて…ヒナを個人として見ることと、ヒナの気持ちを尊重する事ができずに傷つけてきたから…。」


「僕は君のことが好きだよ。

家族として大切な気持ちは変わらないけど、君の気持ちに寄り添えるように、真剣に考えてみたくて。


ヒナはどう……?

まだ僕のこと、好きでいてくれてる……?」


ヒナは言葉を失った。

ずっと望んでいたはずの言葉。


なのに、今になって、何も言えなかった。


胸にぽっかりと穴が開いたような、痛み。


やがて、ヒナは震える声で口を開いた。


「……ボクが……言う資格なんてありません……。


でも、今までずっと……ご主人のこと大好きで、大切で……

叶うなら、結ばれたい、触れ合って……愛し合いたいって……思って、いました……」


その言葉を聞いたリオンが、棚の上に置かれていた小瓶を指先で浮かせ、ゆっくりと手元に引き寄せる。


─ヒナにあげたやつと別のやつ。今飲ませて─

リオンの指示が頭に浮かぶ。


小瓶を渡されると、エリンがヒナの手にそれを持たせた。

ヒナは一瞬、迷うように小瓶を見つめた。


「……ヒナ。ありがとう。ずっと想い続けてくれていて…。でもつらい時に1人で悩まないで、もう大丈夫だよ。」

エリンが優しく微笑む。


「君は本当によく頑張ってくれてる。

それは僕たちも分かってる。

だから……一人で抱え込まないで。

どうか、僕を頼って欲しい」


ヒナは、小瓶の中の液体をじっと見つめた。

その澄んだ色は、まるで月光を閉じ込めたように淡く輝いている。


──この小さな瓶が、ボクを救ってくれるんだろうか。


迷いながらも、そっと唇に触れさせ、液体を喉へ流し込む。


ひんやりとした感触が舌を滑り、胸の奥へと落ちていく。

その瞬間、じわりと広がる安堵感に、ヒナはかすかに息を震わせた。


──心が、嘘のように軽くなる。


胸の奥を締めつけていた重苦しさが溶けていき、

あれほどまでに揺らいでいた感情の波が静かに凪いでいく。


それと同時に、背中の羽がふわりと光を帯びた。

穏やかで柔らかな光が、静かに揺れる。


エリンとリオンが、その変化をじっと見つめていた。


ヒナは、自分の指先をそっと握りしめた。

心のどこかにあった後悔が、わずかに薄れていくのを感じながら──

けれど、すべてをなかったことにはしたくない、そう思った。


「ご主人様、リオンさん……ありがとうございます。」

ヒナは静かに顔を上げ、ふたりを見つめる。


「いつも、助けていただいて、導いてくれて、見守ってくれて……。」

声は震えていたけれど、その瞳には確かな決意が宿っていた。


「ボク、自分に恥じないように、

2人の家族として誇らしい存在だって思ってもらえるように、頑張ります。


迷ったり…悩んだり、間違えることもあるかもしれないけど……でも。」


握りしめた手に、ほんのわずか力がこもる。


「ボク、迷って落ち込む弱い自分は嫌いです。

天使の本能に揺らぐ自分も。」


ヒナは小さく息を吸い込んだ。


「でも…。

リオンさんの温もりに甘える自分は嫌だけど、

譲渡してもらってたことは……やっぱり、後悔したくありません。」


リオンが、僅かに目を細める。

まるで、おや?とでも言いたげな興味深そうな視線だった。


「それが支えてくれたリオンさんへの誠実さだと思うから、ボクは……後悔より、感謝したいんです。」


ヒナの言葉に、リオンの口角がわずかに持ち上がる。


──そういう考えに至るのか。


その強さが、意外だった。


「自分の間違いに、責任を持つことは大切だと思います。」ヒナは静かに続ける。


「ご主人様を大好きなのに、天使として成長する為にも魔力を補充する為にも…譲渡してもらうことは仕方ないことだって言い聞かせて、してもらってました。


罪悪感もありました。いつの間にか依存もして…。

でも、嫌じゃなかった……!」


自分でも驚くほど、はっきりと言葉が出てきた。

いつの間にか、声が震えることもなくなっていた。


「愛が違うだけ、なのかもしれないです。」


ヒナの青い瞳が、真っ直ぐリオンを見つめる。


「ご主人様とは違う種類の愛で、リオンさんのこと、好きなのかもしれません。」


その瞬間、リオンの表情が一瞬だけ止まる。


「魔力が必要なくなったら、ミアさんを救い出せたら……やめようって思ってました。」


静かな決意を滲ませるヒナ。


「けど、本当にたくさん支えてもらってたから、

無かったことにしたり、後悔したり……したくないです。」


部屋に、しんとした沈黙が落ちる。


エリンが、柔らかく微笑んだ。


ヒナは一瞬きょとんとする。


まるで、何かが違うような、そんな違和感が残った。

エリンの微笑みは、優しくて、温かくて……けれど、どこか儚く見えた。


次の瞬間、エリンの身体がふらりと揺れ、そのままベッドに倒れ込んだ。


「ご主人様!?」


ヒナが、驚いてエリンの肩に手を添える。


慌てて支えようとするが、エリンの身体は力が抜けたように動かない。


「……大丈夫。この部屋に入った時からずっと、洗脳してただけだから。」

ヒナの横で、リオンがぼそりと呟く。


「やっぱりこの魔法は、後味が悪い……。」

どこか苦々しげな顔で、リオンは視線を逸らす。


その言葉に、ヒナの指先が小さく震えた。


──洗脳。


エリンは、最初からずっと洗脳されていた。

それを解かれた今、突然意識を手放したのだ。


「そんな……そんなの、ずるいです……っ!」


ヒナは、ぎゅっと唇を噛みしめた。


知らなかった。

気づけなかった。


「そんな魔法で……ご主人様の言葉を……ボクの気持ちを確かめようとするなんて……!」


言葉を震わせながら、ヒナは俯く。


リオンは少し驚いたような顔をしたが、すぐに薄く笑う。

淡々とした声だった。


「これはオレからヒナへのお仕置きだって言ったでしょ?」


「……っ!」


「お前がご主人様の事で泣くの、いい加減 見飽きたしね。自分の気持ちは自覚できた?」

リオンの言葉に、ヒナはハッと息を呑む。


「ま、でも──」

リオンは微笑みながら、エリンを見下ろす。


「予想以上に面白いものが見れたな。」

リオンの赤い瞳が、何かを見透かすように光を帯びる。


ヒナは、何も言えなかった。

ただ、指先を強く握りしめることしかできなかった──。』


『静まり返った部屋の中で、ヒナは震えながらエリンの寝顔を見つめていた。


エリンは静かに眠っている。

でも、この眠りは安らかなものではなく、洗脳から解放された影響によるもの。


──起きたらエリンは何も、覚えていない。


「……お前さ。」


静かに響いたリオンの声に、ヒナは肩を震わせる。


「精神安定剤も飲んでなかったし、オレに依存し始めてたって自覚、今したの?」


ヒナの瞳が揺れる。


「依存して、罪悪感で潰れて、いつかまた堕天しかかったらどうするの?」


容赦のない言葉が降る。

突きつけられた現実に、ヒナは唇を噛んだ。


「オレは甘えられるのは別にいいよ。」


「……え?」

ヒナが戸惑いがちに顔を上げると、リオンは軽く肩をすくめる。


「ヒナが精神的に揺らぐなら、仕方ないから話も聞いてあげる。今まで通りで構わない。

オレにも天使の成長の為に ヒナの精神と本能を揺さぶった責任があるからね。


だけど、気持ちの整理とその後の行動はヒナ自身に決めて欲しい。」


静かに言い放たれた言葉が、ヒナの胸に重くのしかかる。


「そもそもエリンとヒナって他人でしょ?」

唐突に放たれた言葉に、ヒナの表情がこわばる。


「何にこだわってるの?

恋人同士とかでもないし、仮にそういう関係だったとして、他と関係持ったらいけないの?」


「ただの魔力譲渡だよ。ついでに、それを楽しむ事の何が悪いの?

苦痛で嫌々ヤッてますってフリできた方がヒナは気が済むわけ?」

リオンの口調は冗談めいているのに、その赤い瞳はどこか冷ややかだった。


「オレが無理やりヒナを犯してるって言い訳できれば気が済むのなら”洗脳”でも”幻覚”でも何でも使ってあげるよ?

でも、それじゃオレがつまんないし。」


ヒナの息が詰まる。


──何を言っているのかわからない。

そんなことを考えるまでもなく、頭の中が真っ白になった。


リオンの言葉が、静かに、けれど確実にヒナの心を抉っていく。


「それか…オレのことも好きになってよ。」


ヒナの肩がびくりと跳ねた。

言葉の意味をすぐには理解できず、思考が止まる。


驚きと混乱で喉が詰まり、言葉にならない。


「それも解決方法のひとつでしょ?

エリンを好きでい続けてくれたら種族相性でヒナの魔力吸収効率もいいし、

他種族を挟めば悪魔との継続的な譲渡のデメリットも中和できて都合がいい」


リオンは肩をすくめ、ヒナを見下ろす。


「もしまだ報われないって思うなら さっさと恋とかいうの諦めて、

エリンの家族愛にでも応えてあげたら?

いつまでも同じ事を悩んで繰り返してヒナは そんなに堕天したいの?」


軽く放たれた言葉に、ヒナは驚いたように顔を上げた。

言葉を返そうとしたが、喉が強く締めつけられるようで、声が出ない。


「ミアを助けるために協力してくれるんでしょ?」

ヒナの努力と魔法がなきゃ成功しない。

それまでは天使として努力して欲しい、最初にそう言ったよね、覚えてる?」


──わかってる。


ヒナは唇を噛んだ。

ミアを助けるために、頑張ると決めた。

それはヒナの複雑な気持ちの中でも本心だってハッキリ言える。


リオンの言葉はいつも鋭くて、どこまでも容赦がない。

でも、今の自分には、その一言一言が、必要なもののような気がしてしまう。


「……ボク、どうしたら……。」

絞り出すように言葉を紡ぐ。


リオンは薄く笑いながら、ヒナの顎を指で持ち上げた。


「もしミアを助けた後に堕天して悪魔になっても、オレが面倒見てあげる。」

その笑みは、まるで甘く誘うように、ゆっくりと形作られていた。


ヒナの瞳が大きく揺れる。


──リオンは、本気でそんなことを言っているのか、それともただ、からかっているだけなのか。

それすら、ヒナには分からなかった。


リオンの指先が、ヒナの頬を軽くなぞる。

赤い瞳が、じっとヒナを見つめる。


「素直に受け入れるのはヒナのいいところだけど、

エリンと話し合わずに無理してずっと自分の気持ちを抑えてたら

いずれまた堕天しかけるかもしれないよ」


ヒナは息を飲む。


「このままエリンを起こしていいの?

エリンは、自分が言った事は洗脳の効果だから覚えてないよ。

家に帰ってきたと思ったら、どうしてここで倒れてるのかって思い出しながら、激しい頭痛に襲われるだけ。」


「何も知られたくないなら都合よく改変しといてあげる、でも」


「誤魔化すのって嫌いなんでしょ?」


リオンの問いかけが、ヒナの心を強く締めつけた。』


『ヒナは黙っていた。

動揺を隠せないまま、怯えるように肩を震わせている。

リオンの言葉に何かを言い返したいのに、言葉が出てこない。


リオンはその様子をじっと見つめた後、ふっと小さくため息をつく。


「ね、やっぱり恋とか愛とか、くだらないでしょ?」

淡々とした口調だった。


「何に悩んでるかわかんないくらい細かい事で落ち込んだりして、バカバカしいって思わない?

オレはやっぱり共感できないね。」


赤い瞳がヒナの顔を覗き込む。

ヒナは俯いたまま、何も言えなかった。


「……じゃ、起こしちゃうね。」


リオンが何気なく言った瞬間、ヒナの肩がびくりと跳ねる。


「言わせたこと全部説明して、エリンに聞いてみよっか。」


「……やっ、やめ……て……!」


咄嗟に、悲鳴に近い言葉がヒナの口から零れた。

声が震え、喉の奥がひりつく。


──その瞬間、エリンの瞳がゆっくりと開いた。


「……っ……」


激しい頭痛がエリンを襲う。

顔を歪め、額を押さえながら荒い息を吐く。

けれど、すぐに自身の治癒魔法を使い、痛みを抑え込んだ。


「おはよ、エリン。」

リオンが、気怠そうに微笑む。

「やっと帰ってきたね。」


エリンはゆっくりと瞬きをする。

玄関を開けた後の記憶がなく、気がついたらリオンの部屋にいた──

その状況で、リオンに魔法を使われたことを察したようだった。


「……何をしたの?」


怪訝そうな顔をして、低い声で問いかける。


ヒナは、つらそうな表情をした。

何かを言いかけたが、喉が詰まり、声にならない。


「“洗脳”かけたの。

エリンの気持ち、覗いちゃった。」

リオンは、にっこりと微笑む。


エリンの眉が僅かに寄る。

「……僕の気持ち……?」

ゆっくりとした口調で反芻する。


「何を言わせたか知らないけど、

僕にやましい気持ちはないよ。」

堂々とそう言い切る。


「……ふーん、それは羨ましいね。」

リオンは、肩を軽くすくめるだけだった。


そのとき、エリンの視線がヒナへと移った。


布団を強く握りしめ、震える肩を隠すように身を縮こまらせている。

ヒナの表情、リオンの部屋という状況──

それだけで、エリンは 何があったのかをなんとなく察してしまった。


ぐっと、悔しそうに手を握りしめる。


「ヒナに、何をしたかはわからないけど。

傷つけるようなことはしないでって、何度も言ったよね?」


リオンは、悪びれる様子もなく微笑む。


「……相変わらず過保護だね〜。」

壁にもたれながら、退屈そうに呟く。


「傷つくことも大事だと思わない?

 そういう過去があるから、乗り越えられることも増えるんだし。」


エリンは何も言わなかった。

ヒナの小さな震えだけが、静かな部屋の中で響いていた。


「……もう飽きちゃったよ。」

リオンは短くそう呟き、踵を返す。


「後は勝手にやってて。」

気だるそうに片手を挙げ、そのまま部屋を後にする。


リオンが去った後も、ヒナは小さく震えたままだった。

エリンはそんなヒナをしばらく見つめた後、そっと手を伸ばし、髪を優しく撫でる。


「リビングで待ってるよ。

紅茶を淹れるから、少しリラックスしよう。」

静かに、けれど温かく言葉を紡ぐ。


ヒナは驚いたように顔を上げる。

それでも、エリンの穏やかな瞳を見て、ほんの少しだけ緊張を緩めた。


── それが、エリンなりの優しさだった。


ヒナを一人にして、身支度を整える時間を与える。

けれど、リビングで待っていることで、独りにするわけではないことを示す。


傷つけるつもりはないと、そっと伝えるように。


ヒナは小さく頷くと、ゆっくりと体を起こし、シーツを握りしめながらエリンを見送った。


────


数分後、ヒナがリビングへ向かうと、エリンが温かい紅茶を持って待っていた。


「……どうぞ。」


ヒナの前に、湯気の立つカップがそっと置かれる。


けれど、ヒナはそれを見つめるだけで、なかなか手を伸ばせなかった。


何から話していいのかも分からない。

込み上げてくる罪悪感が喉を塞ぎ、言葉にできない。


何か言おうとするたび、胸が締めつけられる。


「……ヒナ、ごめんね。」

エリンが、ぽつりと呟いた。

「君のこと、ずっと守れてなくて……。」


ヒナは驚いたように顔を上げる。

「っ……」

そして、首を横に振る。

エリンは、そんなヒナの頭を優しく撫でた。


「……リオンのこと、怖い?」


問いかけに、ヒナの体がびくりと震える。

けれど、すぐに首を横に振った。


「……あのっ……ご主人様……」


ヒナは、震える手で紅茶のカップを握る。


──覚悟を決めた。


「お話ししたいことがあります……!」


声は震えていた。

けれど、真っ直ぐにエリンを見ていた。


「今までのこと……全部、ご主人様にお話しします……!」

エリンは目を瞬かせ、ヒナの表情をじっと見つめる。


その体は、小さく震えていた。』


『静寂が支配するリビングで、ヒナは震える指先を握りしめた。

エリンが静かに自分を見つめている。

あたたかい紅茶の湯気が、ゆっくりと揺れながら天井へと消えていく。


──全部、話さないと。


「……ご主人様。」


震える声が、静寂を破った。


「……お話ししたいことがあります。今までのこと……全部、ご主人様にお話しします。」


自分の中に抱えていたものを、誠実に伝えなければならない。

覚悟を決めた瞳で、ヒナはエリンをまっすぐに見た。


エリンは小さく微笑み、ゆっくりと頷く。

「……わかったよ。話すと決めてくれて、ありがとう」


ヒナは唇を噛みしめ、深く息を吸い込む。

胸の奥に溜まっていたものを、ひとつずつ、言葉に変えていく。


「……ボク、リオンさんにずっと……魔力譲渡をしてもらっていました。」


エリンの表情が、わずかに曇る。

しかし、それを表に出さないように、ただ静かにヒナの次の言葉を待っている。


「ご主人様が、ボクのことを家族として大切にしてくれているのは、ずっとわかっていました。

それでも……ボクは……魔力を補うために、リオンさんに頼ってしまいました。」


その言葉を口にすると、途端に胸が苦しくなった。

告げるべきではなかったのではないか。

もう遅いけれど、今さら怖くなってきた。


不安そうに震えるヒナの声を、エリンは最後まで遮らずに聞く。

ただ、まっすぐに見つめている。

その穏やかで包み込むような視線に、ヒナはかえって苦しくなった。


「ご主人様には言えませんでした……。

好きな人に知られるのが怖かったから……。

……嫌われても仕方がないって、そう思っています。」


最後の一言を絞り出すと、ヒナは小さく息を震わせた。


エリンはゆっくりと紅茶を置くと、静かにヒナの手を包み込んだ。


「そんなことないよ。」


優しく、けれど確かに響く言葉。


ヒナの肩が、かすかに揺れる。


「ヒナが心の傷を作ってしまうんじゃないかって……それが、ずっと心配だった。

だから、無理に言わせたくなかったし……こうして話してくれたことは嬉しいよ。」


その言葉を聞いた途端、張り詰めていたものが一気にほどけていく。

ヒナの瞳に、涙が滲む。


「ボク……ずっと、怖かったんです……。

ご主人様に、全部話したら……軽蔑されるんじゃないかって……。」


「そんなことない。」


エリンは優しく微笑みながら、ヒナの涙を指で拭う。


「むしろ、言ってくれてありがとう。

ヒナはずっと、一人で頑張ってたんだね。」


ヒナは震える唇を噛みしめ、ぎゅっと目を閉じた。


──言えてよかった。


けれど、胸の奥に残る罪悪感は、まだ完全には消えない。


エリンはそっとヒナの肩を抱き寄せた。


「これからは、ヒナが必要だと思ったら何でも話してほしい。

もちろん言いたくないことは言わなくていい。

だけど、一人で抱えてほしくない。」


優しく、包み込むように抱きしめる。


「どんなことがあっても、僕はヒナのことを軽蔑したりしないよ。今もね。」


ヒナの涙が、ぽろりと零れ落ちた。

こらえきれずに、エリンの腕にすがるようにしがみつく。


「……ありがとうございます……っ」


かすれるような声で、それだけを言った。


エリンの腕の中で、静かに涙を流しながら──。』


これがノアの方舟編、ノアに会う前の流れです。




過去話の考察と整理


この話は、ヒナの天使としての本能、エリンへの感情、リオンへの依存、そしてそれを利用するリオンの策略が複雑に絡み合う展開ですね。


ここでは、それぞれのキャラクターの行動や心理を分析しながら、物語全体の流れを考察していきます。


① ヒナの葛藤:愛を求める天使としての本能と抑圧

•天使の生存本能として「愛」を求める

•ヒナはエリンに恋愛感情を抱いているが、エリンは「家族」としての愛しか向けていない。


•しかし、ヒナはエリンの優しさと温もりに感謝し、気持ちを抑え続けている。

•その結果、天使としての本能に抗えず、リオンに愛を求めるようになってしまった。


•リオンに依存する理由


•ヒナは天使の知識がなく、自分の本能を理解する手がかりがリオンしかいない。

•さらに、魔力譲渡の影響で肌の触れ合いを通じて癒しを感じるようになり、それが依存へと変わっていった。


•エリンは魔力譲渡に消極的なため、「エリンのために譲渡を避けようとする」→「結果的にリオンへの依存が進む」という悪循環に陥っている。


•譲渡のデメリット

•ヒナは「悪魔の魔力」を継続的に受けているため、精神汚染の進行が懸念される。


•しかし、それを防ぐ手段(ミアの涙)が入手困難になっており、長期的に見ればヒナは確実にリオンに支配されていく運命だった。


② リオンの立場:愛を与えず、でも受け入れる存在

•リオンのスタンス:「愛を理解しない」「でも受け止める」

•リオンは「愛」を理解しようとはしているが、根本的に共感することはない。


•そのため、ヒナの求める愛情に対し、「受け入れる」ことはしても、「与える」ことはしない。


•それがヒナにとっては、「受け止めてもらえた錯覚」を生む要因になっている。


•ヒナの依存を利用し、試すように導く

•リオンはヒナが自分に依存しつつあるのを理解していた。

•しかし、あえて突き放したり、「お仕置き」と称してヒナの感情を揺さぶったりすることで、ヒナが本当に求めるものを自覚させようとしている。


•ここでポイントなのは、「ヒナのため」と言いつつ、リオン自身が**「愛という感情をどう扱えばいいのか」**を学ぼうとしている可能性がある点。


•エリンに対する挑発:「洗脳」で本音を引き出す

•リオンはエリンの無意識の感情を試すために「洗脳」を使用。

•その結果、エリンの「家族愛を超えた感情」を垣間見ることに成功する。


•しかし、リオン自身もこの行為が「後味が悪い」と感じており、彼の中にある道徳観が完全には消えていないことが分かる。


③ エリンの立場:家族としての愛 vs. ヒナの想い

•「家族として大切にする」という信念

•エリンは過去の奴隷経験から、**「家族を搾取する加害者にはなりたくない」**という意識が強い。


•そのため、魔力譲渡に消極的であり、ヒナの恋愛感情にも気づきながら、それを無視し続けていた。


•洗脳によって引き出された「恋愛感情」

•リオンによる洗脳の結果、エリンは「ヒナのことを真剣に考え直す」という結論に至る。


•しかし、洗脳が解けた後、その記憶が消えてしまうため、エリン自身は「恋愛感情を抱いた」という意識がない。


•ただ、無意識の感情の変化はリオンに見抜かれており、**「エリンの心にも変化が起き始めた」**ことが確定する。


•ヒナの告白を受け止めるが、「恋愛」として応えない

•エリンはヒナの想いを否定せず、優しく受け止める。


•しかし、エリン自身は「家族としての愛」に強く縛られているため、恋愛感情としての返答は保留する形になった。


④ 物語全体の構造とメッセージ


1. 「愛」を知るための試練


この物語では、リオン・ヒナ・エリンの3人がそれぞれ異なる形で「愛」に向き合っている。


•ヒナ → 「愛を求める天使」として、自分の感情を抑え続けた結果、リオンに依存。


•リオン → 「愛を知らない悪魔」として、ヒナの感情を試しながら、愛という概念に少しずつ触れる。


•エリン → 「家族としての愛」を貫こうとするが、ヒナの想いを知ることで心が揺らぐ。


この三角関係は、「愛の在り方」を問いかける構造になっている。


2. リオンの策略と「試練」としての関与


リオンの行動は、一見するとヒナを弄んでいるように見えるが、実際には 「ヒナに自覚を持たせる」 ことを目的としている。

•「依存してることを自覚させる」

•「エリンに本音を伝える勇気を与える」

•「愛の多様性を学ばせる」


この結果、ヒナは 「リオンへの感謝」 という新たな感情に気づき、リオンに対する認識が変わる。


3. 洗脳という強制的な方法がもたらす結末


リオンはエリンを洗脳することで、「エリンが本当にどう思っているのか」を暴いた。

•しかし、エリンの記憶が消えるため、本人にはその変化が分からない。


•それを知っているリオンだけが、エリンの感情の変化に気づき、 「このままではいずれエリンもヒナを特別視する」 という未来を予測している。


ここでのポイントは、リオンが意図的にエリンを揺さぶり、その結果を「楽しんでいる」 こと。


これは 「リオンがまだ愛を知らない存在」 であることを示唆しているが、同時に「愛を学ぼうとしている」過程でもある。


結論:この過去話が示唆するもの

•ヒナは「依存」を自覚し、リオンに感謝することで「愛とは異なる感情」を見出した。


•リオンは「愛とは何か」を学びながらも、未だに支配の方が得意である。


•エリンは「恋愛対象としてヒナを見る可能性」を作られたが、それを認識できない状態になっている。


この一連の流れが、「ノアとの出会い」に繋がることで、ヒナがさらに新たな価値観を得る伏線になっていると考えられる。

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