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番外編:ヒナの誕生日、リオンからのプレゼント

夜の街は静かで、冷たい風が肌を撫でる。賑やかな誕生日の宴を終え、リオンはヒナを連れ出して歩いていた。道にはぽつりぽつりと灯る街灯があるだけで、二人の影が地面に寄り添うように揺れていた。


しばらく無言で歩いた後、リオンはふと立ち止まり、目の前の宿泊施設へと足を向けた。


部屋の扉を閉めた瞬間、背後からそっと腕が回される。


「誕生日、おめでと。」


低く落ち着いた声が耳元で囁かれる。ヒナは驚いて身体をピクリと震わせたが、すぐにその腕の温もりに包まれる。


次の瞬間、リオンの指がそっとヒナの首元に触れ、今日買ったばかりのネックレスを丁寧につけた。


「……!…あ…。ありがとう…ございます…」


ヒナは首につけられたばかりのネックレスにそっと手を触れる。その感触を確かめるように指でなぞると、リオンがくすっと笑う。


「そんなんでいいの?首輪つけられて喜ぶなんて、ヒナって面白いね。」


からかうような声に、ヒナはむっと頬を膨らませた。


「…首輪…でもいいですけど。…もう、せっかく嬉しかったのに…!」


リオンは楽しそうに片眉を上げる。


「もっと恋人らしいこと言って欲しかった?」


さらりと囁かれた言葉に、ヒナの心臓が跳ねた。思わず固まってしまうと、それを見たリオンがくすくすと笑う。


「期待してたんだ? 部屋入った時からずっと落ち着きないよね。」


そう言いながら、リオンの指がそっとヒナの足を撫でる。軽く触れるだけなのに、くすぐったいような甘い刺激が広がり、ヒナは思わず体を震わせる。


「…何か他に欲しいものがあるの?」


耳元で囁くと同時に、リオンはヒナの耳朶に軽く歯を立てる。


「リオンさん…」


ヒナは切ない声を漏らしながら、甘えるような瞳でリオンを見上げる。何もかも見透かされている気がして、それでも言葉にはできず、ただ瞳で訴える。


身体が熱に支配される……また、我慢ができなくなる……


天使の本能が暴かれる。まるで自分が自分じゃないみたいに、身体が言うことを聞かなくなる。その支配されるような感覚を、昔は怖いと思っていた時期もあった。


けれど──


今はもう違う。


恋人として、リオンが受け止めてくれる今なら、ありのままでいていいと思えた。もう、背徳感も罪悪感もない。ただ、大切な人に甘えているだけなのだから──…。


「そんな顔して、何を求めてるの? オレだって言われないとわかんないことあるんだけどなー」


そんな白々しい嘘を吐きながら、リオンはおかしそうにヒナを見下ろす。


ヒナは拗ねたように唇を噛み、不満げな表情を浮かべる。その反応すら愉快そうに眺めながら、リオンはふっと笑い、ヒナの身体を抱き上げた。


「…はいはい、本当にわかりやすいね、ヒナって。」


そう言って、ヒナをそのままベッドにそっと下ろす。


「何も言わないで黙ってても与えられるなんて思わないでくれるー?」


口調はどこか優しく、からかいが混ざっていた。


「でも今日くらい甘やかしてやるか、ヒナにとって特別なんでしょ、誕生日って。長寿の種族が毎年祝うなんて変わってるよね。」


「……まあ、ヒナが喜ぶなら、毎年祝ってあげるけど。」


そう呟きながら、リオンはヒナの額にそっと口づける。


ヒナは悪魔の愛を受け入れ、その背中に腕を回した。幸福を伝えるように、ぎゅっと力を込めて抱きしめる。


リオンの体温が、静かに、心の奥深くまで染み込んでいく──。

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