番外編:ヒナのお誕生日祝い、エリンからのプレゼント
番外編:エリンとヒナ、誕生日の夜
──シャワーを浴び、湯気の残る肌をタオルで拭きながら、ヒナはそわそわと自室へ戻った。
扉を閉めても、心臓の高鳴りは収まらない。
(ご主人様……)
思わず指先を唇に添える。頬が熱い。
誕生日の夜、みんなで楽しく過ごした後、エリンに誘われる形で彼の部屋へ向かった。
『疲れて眠くなってしまったら、待たずに寝てていいよ。ヒナが起きていたら、お祝いの続きをしようか──』
そんな風に微笑まれてしまって、胸が締めつけられた。
(……そんなこと言われたら、眠れるわけないのに)
ベッドに腰掛けたまま、何度もエリンの言葉を思い出す。
そして数十分後。
浴室を使い終えたエリンが部屋に戻ってきた。
「待たせちゃったかな?」
「……い、いえ!」
顔を上げることもできないまま、ヒナはエリンの隣へ小さく座る。
どんな顔をしたらいいのか分からない。
そんなヒナを、エリンは穏やかに見つめていた。
「ヒナ、こっち向いて」
優しく呼ばれて、そっと視線を上げる。
エリンの瞳が、夜のランプの灯りを映しながら柔らかに揺れていた。
彼はナイトテーブルの引き出しを開け、小さな箱を取り出す。
蓋を開けると、そこには繊細なデザインのピンキーリングが静かに輝いていた。
「ヒナ、誕生日おめでとう。何か君に贈りたくて、これを選んだんだ」
そう言いながら、少し照れたように笑うエリン。
「……ご主人様……!いいんですか? こんな素敵なもの……」
「もちろん。もし気に入ってくれたなら、つけてくれる?」
そっと差し出された指輪。
ヒナが震える手で受け取ろうとすると、エリンが代わりに指輪を手に取り、ヒナの右手の小指へと優しくはめてくれた。
ぴたりと指に馴染むその感触に、胸がいっぱいになる。
(……夢みたい……)
まじまじとピンキーリングを見つめるヒナの頬に、エリンの手がそっと添えられた。
「ヒナ……」
そのまま、温かな腕が背中に回る。
驚いたのも束の間、エリンのぬくもりに包まれて、ヒナは身を委ねた。
「……君に出会えて、本当に良かった。ありがとう。ずっと僕のそばにいてくれて」
「……ご主人様……」
「これからも、恋人として……君の側にいさせてほしい」
耳元で囁かれた甘い言葉に、胸の奥が震える。
息をのんで、じっとエリンを見つめた。
「好きだよ、ヒナ」
「……っ」
「もう家族としてだけじゃない。君を……愛してる」
優しく、けれど誓うように。
エリンはヒナの頬をそっと包み込み、唇を重ねた。
触れるだけのキスが、夜の静寂の中で温かく溶けていく。
(……ボクも、ご主人様が好き……愛してる……)
言葉にならなくても、そっと指を絡め、もう一度キスを受け入れた。
この幸せが、どうか永遠に続きますように──と願いながら。




