酒の肴と鈍く光る原石
私はしがない宝石商をしている。少し前に子供を拾ったのだが、、、
「おぉ、これはこれは珍しく人に興味を示して孤児を拾ったと噂のわが友ではないか。君がそんなにも善人だったとはね」
真昼間から飲みまくっている飲んだくれのこの阿呆にちょっかいをかけられるくらいなら仕入れついでで挨拶など来るのではなかった。
発言の節々に嫌味を込めているこのクソ野郎は私に東の時の数え方を教えてくれた古くからの友だ。
普段から酒を飲みやつ出ないのだがさぞうまい肴を得たのだろう、、、先の発言で大まかに予測はできるが、、、
「拾ったが、なんだその人を不快にさせる笑みは」
俺がこいつの店に入った瞬間みるみる口角が上がりやがった。とことん不快だな顔だ、いっそぶん殴ってやありたいところだが仮にでも商売相手だ、多少大目に見て今後の取引は二割増しか三割増しで済ましてやることにしよう。
「すまんね、昔からの癖なんだ、なかなか直せるものでもなくてな。ところでお主のことだからどうせ拾ったことはうまくいってないのであろう?」
こんななりでもこいつは腕の立つ商人だ、人と品の目利きに関してはどこまでも冴えている
「そんなお主に偉大なる親友から言葉を授けよう」
「要らぬ、そんな飲んだくれの戯言に付き合っている時間はないのだ」
軽くあしらって出ていこうとする私を見てこいつは真剣な顔で私を引き留めた。
まぁ、、真剣な顔といってもしこたま飲んだ後の真っ赤なリンゴのような頬で言われてもちっとも説得力はないのだが
「お主も商人であろう、ならばよく観察し理解し見極めるのだ、品物を十分に理解できない状態で売ってみろ、買いたたかれて損をするのは目に見えておろう、そんなものは商人の恥だ、あとはお主の好きなようにしてみることだな。」
(この林檎のような頬をしててもまともなことをいうのだな、、、こやつは。)
(けれども私にはわからぬのだ、あの子供にどう接するのが最良なのか)
「お主は阿呆だな、動かずして何になる。それとも何かい?私の酒に付き合ってくれるのか?今日は良い酒の肴が入ってな、よく酒が進むのだよ」
(飲んだくれでどうしようもない奴だが少しは背中を押してくれる良い友だ、まぁ、肴を増やしてもっと飲みたいだけだろうが。)
「一つだけ聞いておこう、今日の肴は何だ?」
そう聞くと奴はにたりと口角を上げ指さした。
「お ま え」
「お前はとっとと酔いつぶれてしまえ」
そう言いながらも私は外に出帰路に就いた。
私の口角が少し上がっている気もするがきっと気のせいである。