拾われた原石
暁七つ・・・虎の刻、といったか
古い知人が教えてくれた東の国に伝わる自国の数え方だ。
私はその刻にその子を拾った。
私は宝石商をしている。自分で仕入れ加工し貴族やその宝石を扱ってくれる店へとへ卸す。
今日の明け方ごろいつものつてから逸品が入ったと知らせを受け受け取りに来た。
宝石は美しい。誰かが有象無象の石といったが、その有象無象を求めるために一つ国が滅んだらしい、、、
ただの石にそれほどまでに価値がある。
国や土地の文化によればそのただの石が信仰の対象になる、国の信仰を欲すれば血が流れ宝石は汚れを伴ってしまう。
私は、、、私は、血など流さない石が欲しいのだ。
今回の仕入れも今までの裏のツテによってできた仕入れなのだ。わざと王国のスラム街を受け渡しの場所としたのも証拠を隠すためだ。
私は意気揚々とスラム街へ歩みを進める、新しい宝石がもうすぐ手に入るのだ、これをだれが喜ばずにいられよう。どのように加工するのか想像するだけで笑みがこぼれて仕方がない
(あぁ、、早く見たい、触りたい)
そんなことを考えながら歩みを進めていた時、私はあるものから目が離せなくなった。
孤児だ、、、
スラム街には当たり前のように溢れかえる有象無象の中の一つの光景、なのに体が言うことを聞かないかのように私は動けなくなっていた、それほどまでに魅かれていた、私の前には一人の孤児がいる。
どこにでもいるようなただの孤児、しかし彼の瞳はこんな路地裏のスラム街などには到底似つかわしくない色をしていた、どこまでも見通しているような深く透き通った瞳に私は語りかけてしまった。
「なぁ、きみはどうしてここにいるのだ?」
普段は絶対こんなことなどしない、、、私は他人を機にかけるのが嫌いだ、人に興味を持つことができない、ただ、この子だけはなぜか違った。
声をかけられた少年はひどく戸惑っていた、当たり前だ、自分たちのことを機に求めていないと思っていた大人からいきなり声をかけられたのだ。
「君、私と来ないか?」
人の人生など触れるものなどではないと思っていた、ましてや誰かに手を貸すことなど