第一話 退屈な日常
日差しの強い夏の暑い日だった。
太陽に手を翳して、隙間から空を覗き見る。
「あちぃ、、、、」
信号が赤に変わる。
今日登校すれば、もう夏休みになる。
帰宅部のおれは、今年も家でゲームやら漫画やらでグーダラしているのだろうと想いを馳せる。
退屈だけど楽しくもあるだろうその日々を想っていた。
「明日からは夏休みとなりますが、羽目を外しすぎないように」
チャイムが鳴り響いた。おれの高校二年の夏休みが始まった。
「・・・なんだ?」
まぶしくて、手で遮る。
帰宅しようとした折、中庭の噴水広場から光が反射する。
なんだろ?あれ?
帰宅部のおれは、この後予定などない。吸われるように近づいて行った。
長方形の黒い端末は痛いほどの熱量を伝えてきた。
オレを通して熱が分散していく。
よいっしょっと
「あれ、何も動かねぇ。壊れてんのか?」
おいおい。無駄足だったのかよ。
「いらね」
パンッ
コンクリートにぶつかり鈍い音を出す。
踵を返し帰ろうとしたのだが、、、、、
「今日ってそういえば昼から雨が降る予報だったよな・・・」
「まぁ持ってても問題ないよな」
気になりまた戻って、結局手にしてしまっていた。
「ただいまぁー」
両親は仕事柄海外を飛び回っている。
おれもついてくるか聞かれたが、「もう高校生にもなる。一人で大丈夫」とぶっきらぼうに返して今は一人暮らしをしている。
気楽なものだ。誰かの視線を気にする必要のないこの部屋は自分の好きなものを目一杯に飾れる。A〇だっていつだって見放題だ。
ピロンッ
誰だろ
LIMEを開くとそこにはおれの友達、敦久から「今週の日曜日、一緒に海に行かないか!」と来ていた。
もう夏休みモード全開なやつである。
おれと敦久は同じバイク趣味を通して仲良くなった。
コイツに乗って二人で東西南北、休日になると遠征するのだ。
「・・・水着去年の入るかな」
水着姿のお姉さんたちを想像しながらおれはクローゼットの中を漁るのだった。