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二人きりの登校

 追及しようと俺は親父を追いかけたが、書斎に引きこもってしまった。カギまで掛けやがって……。


 くそう、今度絶対に理由を聞いてやる。


 今日のところは部屋へ戻った。



 着替えて日常生活のルーチンを進めていく。

 飯、風呂、それからゲームを少々。


 けれど、今日はゲームに身が入らなかった。



「……関さん、なにしてるんだろ」



 さっきまであんな身近に存在していた関さんの笑顔。こうして離れ離れになると寂しさを覚えた俺。……って、これでは恋する乙女のようではないかッ。


 くそう……。

 早く明日になれ。



 * * *



 睡魔に襲われたのはいつだろう。

 覚えていない。

 俺は気づけば夢の中を彷徨(さまよ)っていた。



 それは一瞬の夢だった。



 起き上がると、もう朝になっていた。



「……寝落ちしてしまったか」



 ムクッと起き上がり、俺は制服に着替えていく。今日も学校だ。

 朝支度をテキパキと進めていく。手慣れたものさ。


 親父はというと――くそっ、もういないのか!?



「純、お父さんならもういないわよ」

「……やっぱり逃げ回ってるのか」



 今俺に親父の情報をくれたのは姉ちゃんだ。


 有馬(ありま) 茜音(あかね)


 大学生で彼氏なし。

 モテそうな可愛い容姿をしていると思うのだが、これが不思議と恋愛と無縁のようだ。


「そうか。見つけたらロープで縛っておいてくれよ、姉ちゃん」

「うん、そうしておいてあげる。ていうか、許嫁ってホント?」

「もう情報が漏洩しているのかよ!?」

「お父さんが言いふらしてるよ」


「クソ親父!!」


 俺は家を飛び出て探し回ったが、当然見つかるはずもなく……。くそう、一発チョップでブン殴らないと気が済まんぞ。


 そんな怒りが収まらない中、声を掛けられた。



「――有馬くん」

「へ……」



 振り向くと、そこには関さんがいた。

 い、いつの間にいたんだ……。



「おはよ。偶然だね~」

「関さん、この道だったんだ?」

「うん、いつも通る道だよ。一緒に学校行こっか」


 花のような笑顔で誘ってくれる関さん。断る理由なんてない。というか、ラッキーすぎるタイミングだ。


「俺もこれから学校へ行こうと思っていたんだ。一緒に行こうか」

「やったっ。じゃあ、いろいろ話しながらね」


 猫のこととか、普段どんなテレビやネットを見ているのか話した。どうやら、関さんは猫のお世話や猫の動画を見たりするのが趣味らしい。なんて可愛らしいんだ。


 本当に猫が好きなんだな。


 そんなこんなで学校に到着。



 しかし、ここで俺は注目を浴びまくっていることに気づいた。



 そりゃ、そうだよなぁ……。

 超絶美少女の関さんと二人で登校とか、この学校にしたら大事件だ。



 男も女も“ざわざわ”していやがる。なんなら、先生も目を白黒させていた。



 そんな中。

 ある人物が目の前にやってきた。



「おい、マジかよ。関さん、これはどういうことだ」



 男だ。容姿の整った……いわゆるイケメンの部類に入る同級生が現れたのだ。……なんだ、コイツは。



「あなた、誰?」

「……っ!?」


 ソイツはズッコケた。

 なんだ、名前も憶えられていないじゃないか。


「俺は……月島(つきしま) (しょう)。誰よりも関さんを愛している男だ。ファンクラブも0001番なんだぜ」


 なんだぜ……って自慢されてもな。

 てか、ファンクラブも存在したのかよ。

 知らなかったぞ。


「ごめんなさい、あなたに興味ないから」


 申し訳なさそうに謝る関さん。

 うわ、一刀両断だ。


 月島という男はハートブレイクしていたが、めげずに俺の方へクレームを入れてきた。


「おい、貴様! お前はなんで関さんの隣を歩いている! おかしいだろ!」



 うわ、こっちに来た。

 出来れば関わりたくないし、面倒事は勘弁して欲しいのだがな。



「おかしいって言われてもね。俺と関さんは付き合っているっていうか、そんな感じなんだ」


「――――なァッ!!?」



 あ、月島のヤツ、固まっちゃった。

 よほどショックだったのかカチコチだ。


 さて、教室へ行くか。

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