見上げる空は一つ
一筋の流れ星が光っている。
段ボールの中で、一匹の子犬が吠えた。
子犬の鳴き声に、猫が答えた。
猫も、その流れ星を見上げた。
子犬の鳴き声に、カラスが答えた。
カラスは、流れ星と一緒に、空を飛んでみた。
子犬の鳴き声に、イルカが答えた。
イルカは、波しぶきを上げながら、流れ星に向かってジャンプした。
子犬は、うれしくなった。
みんなと心が一つになったことに。
もう一度、子犬は吠えた。
再び空に流れ星が光った。
みんなと一緒に眺める流れ星は、ひときわ、きれいに光っていた。
子犬の鳴き声に呼ばれて、小さな女の子が現れた。
「こっちにおいで。」
小さな女の子は、子犬の飼い主になった。
流れ星が引き合わせてくれた出会い。
吠える子犬と一緒に流れ星を見上げ、小さな女の子は笑顔で話しかける。
「今度は、どんなお願いをしたの?」
子犬の願いはただ一つ。
みんなと心が一つになりますように。
「叶うといいね。あなたのお願い。」
子犬は小さな女の子を見つめた。
「私のお願い?私はね、犬を飼いたいってお願いしたの。」
子犬はうれしくなって吠えました。
猫もカラスもイルカも、それぞれ答えてくれました。
「さあ、家に帰りましょう?名前を付けてあげるわ。」
子犬が空を見上げると、一筋の流れ星が光っていた。