表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
鷹弘短篇集  作者: 鷹弘
8/15

『季語』

「夜鷹蕎麦」

 寒い寒いこんな日は、一人が淋しい誰かを慰めに行く。



 煌びやかな服に身を包み、少し濃いめの化粧で素顔を隠す。本来の名前は忘れ去り、『夜鷹』へと私は変貌する。


 日が暮れて、季節が終わりに近づくと人は寒さを覚える。身体だけじゃない、心にも寒い風が吹き込むのだ。


 そんな日には『夜鷹』をどうぞ。



 あなたの身体を癒します。あなたの心を癒します。……あなたに満足をご提供いたします。



 そんな謳い文句と貼り付けた笑顔を携えて、今日もあなたの元へと向かう。

 どんなに寒くても、あなたが喜ぶから、薄くて短くて露出の多い服を着る。

 どんなに汚くても、あなたが喜ぶから、薄くて短くても褒め続ける。

 どんなに下手でも、あなたが喜ぶから、薄くて短くて貧相なあなたのテクに酔いしれる。

 そうしてあなたは、満たされ温まり、財布は冷えて、それすら気にせず。明日を生きる。


 ……ならば、私のこの冷えはどうやったら癒えるだろう。


 ずっと探しているけれど、答えなんてどこにも無いのだ。だからその場しのぎで自分を騙して生きてきた。


 よろめく足に鞭を打ち、店の中に帰ってく。


 中では『夜鷹』がその場しのぎの温もりを抱え、啜り、喉に流し込んでいる。



【 あぁ、私も私を癒さなければ 】

一時しのぎの温もりを抱えて


夜鷹たちは 夜を羽ばたく

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ