『闇』
小さい頃の 邪気の無い遊び
ポツン。
それは小さな穴でした。
それを見つけた時、私はまだ小さな子供でした。最近、自転車を補助輪付きで乗れるようになりました。
穴は、公園の隅っこに居ました。上から覗き込んでみるけれど、どのくらい深いのか、もしくはどのくらい浅いのか、分かりません。
私の小さな体の小さな指は、ポッキーみたいに細いのです。どうやら、小指だったら穴に入りそうだったので、取り敢えず突っ込んでみました。
すると、ワサワサと黒い粒が大量にそこから溢れ出してきました。私は酷く驚いて、涙目になりながら尻餅をつきました。
大好きなスカートが汚れてしまったこと、急に驚かされたこと。私は様々な要因に憤怒し、涙を乱暴に拭って砂場へ走りました。
放置されていたバケツを手に取ると、次は噴水に駆けました。
小さな両手で、バケツ一杯になった水を穴の場所まで運びます。
そして、一思いに水を穴に流し込みました。
やがて穴からは、許容量を遥かに超えた水と、憎き黒い粒たちが、哀れに無様に溢れ出しました。
私はそれを見て、一気につまらなくなりました。
……何も面白くないじゃないか。
私は立ち上がると、空のバケツを手に、最近乗れるようになった補助輪付自転車に向かいました。穴がどうなったかなんて知らないし、興味もありません。
え、今、穴を見つけたらどうするかって? ……私はもう二度とあの穴を見つけることはできませんよ。
だって、公園になんて行ったら、汚れるじゃないですか。汚い。
土汚れは 嫌ですよね