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鷹弘短篇集  作者: 鷹弘
5/15

『闇』

小さい頃の 邪気の無い遊び

 ポツン。



 それは小さな穴でした。


 それを見つけた時、私はまだ小さな子供でした。最近、自転車を補助輪付きで乗れるようになりました。


 穴は、公園の隅っこに居ました。上から覗き込んでみるけれど、どのくらい深いのか、もしくはどのくらい浅いのか、分かりません。


 私の小さな体の小さな指は、ポッキーみたいに細いのです。どうやら、小指だったら穴に入りそうだったので、取り敢えず突っ込んでみました。


 すると、ワサワサと黒い粒が大量にそこから溢れ出してきました。私は酷く驚いて、涙目になりながら尻餅をつきました。


 大好きなスカートが汚れてしまったこと、急に驚かされたこと。私は様々な要因に憤怒し、涙を乱暴に拭って砂場へ走りました。


 放置されていたバケツを手に取ると、次は噴水に駆けました。


 小さな両手で、バケツ一杯になった水を穴の場所まで運びます。



 そして、一思いに水を穴に流し込みました。



 やがて穴からは、許容量を遥かに超えた水と、憎き黒い粒たちが、哀れに無様に溢れ出しました。


 私はそれを見て、一気につまらなくなりました。


 ……何も面白くないじゃないか。


 私は立ち上がると、空のバケツを手に、最近乗れるようになった補助輪付自転車に向かいました。穴がどうなったかなんて知らないし、興味もありません。


 え、今、穴を見つけたらどうするかって? ……私はもう二度とあの穴を見つけることはできませんよ。



 だって、公園になんて行ったら、汚れるじゃないですか。汚い。

土汚れは 嫌ですよね

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