4 いわゆるつよいスキルです
大昔の話になるが、ごく稀に、みんなの生活に悪影響のあるスキルが生まれることがある。木や作物ごとあらゆる植物を枯らす、魔物を無自覚に引き寄せるなど。こういうスキルを持ってしまうと、その効果が無いような場所に隔離されたり、ひどい時には殺してしまうこともあったらしい。
昔はスキルの調整があまり出来ず、自分のスキルに振り回されることも少なくなかったそうな。
「本人にしたら、たまったもんじゃ無いね…」
忌避されたスキルか。こういうスキルも使いようによっては誰にも負けないことができるじゃない。根っこごと木を枯らせれば森を拓きやすいし、魔物を誘導してまとめて叩くなんてこともできるかもしれない。今だからこそ工夫するってことが考えれるのかな。
そんな危険なスキルと悲しい背景がいくつかまとめられていた。パラパラとめくりながら、眺めていると…
「うそ、見つけちゃった…」
『処刑スキル』
そこには、これまでのスキルの分け方とは別の方法で見ており、さまざまなスキルがそのまとまりに書かれていた。
本人すらも制御できない強すぎるスキルには何かしらの対象には非常に効果があるという仮説。植物を枯らすというスキルは植物に限定される分効果が絶大であり、魔物を引き寄せるスキルは本能という精神に非常によく干渉しているという考察が添えられている。
処刑スキルもある対象に対して効果が跳ね上がるものを総じて名付けていた。それは…
「『王族、英雄、力のある者に対してのみ行使された記録がある』って…あ、断頭台もある…」
しかも、過去の大きな国や戦争の終わりには《断頭台》さんが見られることが多かったらしい。そのせいで、処刑スキルに挙げられたスキルを持つ人たちを家族ごと殺したなんて国があったようだ。
「…見なきゃよかった」
こんなの誰にも言えない。私には血の繋がる家族はいないけど、村の人たちはそれ以上に大切に思ってる。これが知れたら、ただじゃ済まないかもしれない。私がここにいるだけで…
それでも、せっかく見つけた私の力なんだ。私にもできることがあるかもしれないなら、
やってみたい。
一歩先へ昇華する、どころじゃないスキルです。