1 怖いスキルを手に入れます
ここからが本編です
はじまりはじまりー
人は誰でも、10歳頃からスキルを手に入れる。ある程度はその人が望むものが得られるし、スキルを転機に新しい道を謳歌する人もいるそうな。
しかし、スキルが無くとも剣は振れるし魔法も使える。鍛治も料理も作れる。
スキルは、努力する事でも十分に補える。そして、努力を一歩先へと昇華する。
『処刑スキル《断頭台》が解放されました』
はて、あまりにも物騒ではないかい?
よく晴れた空の下、私ことシャルは薪割り中でした。ひと段落して休憩していた時、ふと声が聞こえてきました。どこから聞こえたのかわからないですが、私ももう13です。もしかしてこれがスキルってやつかな?
私は生まれてすぐに村で拾われたそうです。親もわからない中、村の人たちはとても良くしてくれました。ただ甘やかすだけじゃなく、生活の術を教えてくれたりして私が村の中で一人で生活できるようにしてくれました。今では村のはずれに小屋を貰い、暮らしています。時折、村の方からも差し入れや遊びにきてくれています。少しずつでもお返しできればいいですけどね。私にもスキルがあったら何かできるかな。
村には私のような歳の子供がいないので10歳を超えた頃からなんかスキル出来たかい?と聞いてくることも増えました。今は手に入れましたけど。やっぱり遅かったのかな…
で、ようやく手に入れたけどあまりにも物騒です。でも、うん、戦闘向きのスキルなのかな。森の中で動物を狩れれば、恩返しチャンス到来ですね!
「ものは試しです。ふぅ…《断頭台》!」
ちょうど薪割を終えて空いた場所でスキルを使ってみた。
出てきたのは、一枚の壁でした。いや下には丸い穴が開いていますし、上の方はもう2本の棒が伸びてます。もしかして、罠のスキルなのかな?
まじまじ見ていると、いつのまにか真ん中に黒い鎖が下がっていました。引っ張るのかな…と思っているとチリリチリリと音を立てながら巻き上がっていきました。下から出てきたのは…
「あわわわわ…こっわ…」
大きくて重そうな刃でした。料理用のナイフとも薪割りの斧とも比べ物にならないほどです。刃先はギラギラと光を返しどんなものでもスッパリ切ってしまいそう。
ゆっくり上る刃を目で追ってると動きが止まりました。罠なら何か入れないとダメかな、手元にあった薪を大きな刃の下に投げてみました。
チリリリリ、ドズン!!!!
糸の切れた人形のように、まっすぐ落ちた刃はあっけなく薪を両断しました。それどころか刃が落ちた衝撃が大きくて飛び上がったちゃったよ…