落ちていく 落ちていく
「…《断頭台》」
私が言葉を紡ぐと、ワイバーンを縛っている拘束が姿をあらわす。ちょうど首のあたり、そこからまっすぐ上に仕掛けが伸びている。その断頭台は、ところどころ赤く汚れ、何年も経っているように古ぼけている。しかし、捉えた首は決して離さない。
その真上、今も、チリリ、チリリ、チェーンが巻き上がっていく。ゆっくりと、確実に、首を、命を、断つために上がっていく。
がこん、と断頭台の動きが止まる。私は、ワイバーンをまっすぐ見つめる。
「ごめんね」
一言つぶやいた。
まっすぐ、まっすぐ、落ちていく。
じゃららら チェーン、落ちていく。
あっという間に、落ちていく。
ざくり、どたんと、落ちていく。
どすん、ぶしゃりと、落ちました。
今日の処刑はだーあれ?
役目を終えた断頭台はふっとその姿を消した。
残ったのは私と首と体だけ。
私は静かに手を組み、ただ彼の魂に祈る。どうか、どうか…
「じゃあ、あとはよろしくお願いします」
呆けて見ていた兵士さん達に一声かけて、元来た道を歩きだす。
兵士さん達は、はっと我に帰り慌ただしくいろんな方向に走っていった。適当に売ってくれればいいからね。
「あ、あの、シャルさん、待ってください!」
姫さんの声は少し震えていた。私は足を止めて振り返る。
「じゃあね、姫さん。もう会うこともないけど。
…お姫様にギロチンなんてもってのほかですから」
微笑みながら別れの挨拶を済ますと、姫さんはその場でしゃがみこむ。口を動かしているけど、何も言えないまま悲しそうにこっちを見ている。
ごめんね。
シャルやりすぎだ!ステイステイ!!!!
シャル「うるせー!こうでもしないとまた来ちゃうかもでしょ!!!!わーーーん!!!!!!」




