33 解体のお手伝い?です
「お、お腹いっぱいです」
「大満足ですねー。お値段からも考えられない満足感ですー」
お腹いっぱい元気いっぱいです。
それじゃあまたお仕事を頑張って…
「おい!シャルってやつはいるか!」
食堂に大きな声が響きます。
声の主は、誰ですか?
声も息も荒げて食堂に飛び込んできました。
これ、答えなきゃいけないです、よねー…
「あの…」
「あ!?お前かシャルってやつは!!!」
はいいぃぃぃぃ!そうですうううぅぅぅ!!!!
「ちょっと、ちょっと。いきなりこんなところで騒がないでくださいー」
「あ…わりぃ…でも、それもこいつが!あーもーとにかくこっち来い!」
何がどうなってるんです!?また迷惑かけてます!?今度はどのうちの子です!?あーそんなに引っ張らないでー!!
着いたのは、買取のとこの作業場でした。行くとこおんなじじゃん!引っ張らないでも来たよ!
「先生!連れてきたぞ!!!」
先生?どの人が先生?というかこの子なんでこんなことしてるの?
「ねぇ、私なんで引っ張られてきたの?」
「なんだミア、もう戻ってきたのか。ってそいつがシャルってやつかい?」
先生と呼ばれた人は手に刃物を持ったままこっちに来ました。
ぎゃー赤いです!怖いです!
「ミア、またお前勢いだけで連れてきたな?すまんね、うちのが」
「あっいえ…それで、私はなんで連れてこられたんですか?」
「先生が、お前が解体したやつを見てすごいって褒めてたんだよ。俺だってあんなにいわれたことねーのに…」
羨ましいとかずるいとかそういうのです?
いやいや、ありゃうちの子がやったことですから、うちの子に言ってください。
「だから、お前の解体を直接見たいんだ!見せてくれ!」
まさかのお手本だったー!この子ちょっと乱暴だけど、すごく頑張り屋さんです。
でも、うーん…私自身の力じゃないしなぁ…
「良ければ、俺にもみせてくれないか。あれだけ無駄のない解体ができるやつはそうそういない」
先生さんにも頼まれてしまいました…
そうですね…
そうだ。《看守》ちゃん《看守》ちゃん。私の代わりに動きだけでもやってくれない?ほかの子とも協力してさ。
『受理しました。《看守》が代行します』
よし、いっしょにがんばろ!
「わかりました。私もスキル頼りですが、話せることは話しながらで。いいですか?」
「ああ!ありがとう!よっしゃー!」
お礼もできるいい子です。お弟子さん。
それで、運ばれてきたのはオオカミがいくつかと、シカかな?どれも魔物だそうです。血抜きはされてるから、前やった血ぃどばぁはしなくていいですね。
オオカミはともかくシカってどうやるんだろう、おんなじじゃまずいかな。
『《審判》より、オオカミとシカの解体情報を取得。これより代行を開始します』
早速、解体用の刃物を《看守》ちゃんに動かしてもらいながら、私は《審判》の説明を伝えます。
今回は《断頭台》も《処刑人の剣》も無しです。いい道具じゃなくて技術が見たいんだもんね。
「…だいたいこんな感じです」
いくつかの解体を終え、話せる事も一通り話しました。
「なるほど、刃物の動きに無駄がない。余計に力も入ってない。いい腕だ」
先生にも褒められました。
みんなで頑張ったからだもんね。嬉しです。
「…なぁ、お前、もっと上手くできるだろ?それもみせてくれねーか?」
え、なんのこと?
もしかして《断頭台》のやり方です?でもあれは私本当に何もしてないし…
でもでも、やらないと引かなそうですね…
「あーじゃーはい、わかりました。でもこれはほんとにスキル頼りですからね?」
オオカミを一つ持ってきて。
さあ《断頭台》、やっちゃいましょう!
縦横無尽に、中を刃が走ります。
チリリ、チリ、と鳴って、はいおしまい。
さすが《断頭台》です。手際も器用さも最強です!
シャル「ミア君は言葉遣いが直ればもっといい子です」
ミア「親父ゆずりだし変えねぇよ。それに君ってなんだ」
シャル「・・・え?」




