29 問いただします
突然現れた《断頭台》と、逃げることのできない恐怖に男は青ざめます。
「もう一度、聞きます。これは、熊の毛皮ですか?」
「ち、ちがうんだ!俺が悪かった!だからこいつをしまってくれ!」
「…この依頼主にはなんと言いましたか?」
「その、毛皮を見せてよぉ。見つけたそばから殺したって言ったんだ!」
「…危険は無いと伝えたんですか?」
「あ、あぁ。ちぃとばかし悪いことしちまったな。も、もういいだろ?熊ぁやったってのは取り消す、だから、助けてくれぇ!」
「…」
虚偽、この男は平和を乱した。
《審判》は
下される
この男の
罪ハ
断タレル…
ギリリリイリリリリリリイリリリリ
ガツン
首に刃が届く寸前、刃の通り道を邪魔するように、台を変化させて遮ります。
深々と、木でできた台に刺さった刃は男に届くことはありませんでした。
「そうですか、では虚偽報告をしたということで処理しますね。二度と、こんなことしてはいけませんよ?」
《断頭台》をしまうと、空気が少し暖かくなるように感じました。
私も気づかないくらい、身も心も冷え切ってたようです。
あの男は逃げるようにして帰って行きました。
「シャルちゃん!大丈夫だった!?」
別の場所で仕事をしていたらしいサーナさんが飛んできました。
「あ、はい。私は大丈夫です。それより、この依頼主さんに知らせるのと…あ、あの人も逃しちゃいました…」
「…とりあえず、今のことを聞きたいので、あの部屋行きますよ?」
《 》『…………』




