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しゃる・ざ・りっぱー  作者: ゆずこ
ギルドで働きます
34/53

28 にがさんです

なにぶん急な配属な訳でして、選別や解体の作業は普段通りの人たちが優先されるそうです。


ここは仕事場であるのに加えて、技術を鍛える場でもあります。

街の中にあるお肉屋さんや薬屋さんの弟子や従業員が、その目や腕、知識を鍛えるために出入りすることも多いそうです。


なのでそういう仕事はそこから溢れればと言うことになりました。


それまでは、受付の仕事しか残ってないですね。

人と話すのは緊張するけど、初めてのお仕事です!がんばるぞ!ふんす。


「基本は受け取って中に運ぶこと。受けている依頼を聞いておくこと。あとは、その時に()()ください。勘違いや嘘があった時はその場でお断りしてください」


もちろん無理のない範囲で構いません、と。


「では、何かあったら気軽に聞きにきてくださいね」


「わかりました。頑張ります!」


既にギルドには利用者がちらほら来てます。

今はまだ昼前だから、この利用者さんはごく簡単な依頼や朝になって帰ってくるような人たちらしいです。


いくつかある席のうち一つに、サーナさんが座っていました。ここで交代するようです。


「それじゃあシャルちゃん、頑張って!」


「はい!」







「確認しました。では、こちらは預からせてもらいますね」


「うん!おねーちゃんありがとー!」


小さな女の子が庭で育てた野菜を持ってきていました。

小さくて野菜屋さんには出せないかもしれないけど、こういうのは集めて孤児院に持って行ったり、やギルドで振る舞うこともあるそうです。

食べても大丈夫かどうか判断するためにギルドを通すとか。

そういうのもありなのかー。


今のところはさっき聞いたみたいに、大きく分けて2種類の人が来ています。


一つは、少しの間に終わる依頼を受けていた人。

こっちは子供やお年寄りが街の中でお手伝いをしたり、庭の畑の薬草をちょっと売りに来たりなど。

スキルに頼らない依頼が本当にさまざまで、それだけでも勉強になります。


あと一つは、朝帰りの依頼。

少し離れていたり、何日かかかるような依頼は朝に終わることもあります。大抵は危険も多く、その分持ち込むものも高かったりします。

稼げるのです。

そうなると、こういう人もいるわけです。


「ん?お前さん見ねぇ顔だな。新入りか?まあいいや。サクッとこいつを持ってってくれ」


そう言って出されたのはいくつかの毛皮、そして同時に提出された依頼は熊を見つけて倒すというもの。

近くの人里で熊を見つけたらしく、その調査と討伐が依頼されていた。

しかし…


「あん?どうした。さっさとしてくれ。こっちは疲れてんだよ!」


「…すいませんが、これは本当に熊の毛皮ですか?」


「それ以外のなんだってんだよ!ちゃーんと見つけて殺してきたんだ!こいつがその証拠だ!」


うん、嘘だ。

審判(先生)》がそう言ってるし、なんとなくこの男の人があやしい感じがする。


『オオカミの毛皮、低品質、虚偽報告と判断』

だそうです。やっぱり。


「失礼ですけど、これ熊なんかじゃないですよね?オオカミじゃないですか?」


「あぁ!?俺が嘘ついたってか!?いいから持ってけっつってんだろ!?」


その男はバァンと机を叩く。

隣の先輩たちもびっくりして動こうとしてくれてます。

でも、もう少し、やらせてください。





これは、オオカミの毛皮。

つまり、熊なんか倒されてない。

じゃあ、この依頼を出した人たちは?

今も危険かもしれない。

嘘を信じて、生活しているかもしれない。

いるはずのなかった熊に、

襲われるかもしれない。

そんなこと、だめだ。

この男の欲で

誰かが傷つくかもしれないなんて。

私は、相当怒っている。


私は目の前でまくし立てる男を押した。

不意なことで、男はあっさりと転げた。


「いってーな!何すんだ…「…《断頭台》」


隠して、使ってなんてあげない。

ちゃんと見えるように、それでいて恐怖するように。


現れた《断頭台》は、日常には、異質だった。


鎖や台は黒く汚れて

あちこちにべったりとした赤

上りゆく刃だけが

ギラリギラリ光っていた


ガッチリと首を嵌められた男は必死に抜け出そうとするが、《断頭台》の全てが、無慈悲に、冷たく、ただその役割を果たそうとしている。

ぶ ち ぎ れ た ー !

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