27 もう隠す必要ないです
「簡単な試験です。ここにある薬草の中で、一番効果の高いものはどれですか?」
出された薬草は全部で5種類、色や形が似てるのもあれば全然違うのもあります。
えっと、サーナさんこれって…
「さあシャルちゃん!どんどんスキルを使っていきましょー!」
はい…やります…
人に見せないように頑張ったのにすぐ見せびらかすことになるとは…
でもこれも必要なこと、ちゃんと自分のできることを示して信頼を得よう!
「じゃあ、《審判》」
キラン
私の目が薬草を見通すべく光る。多分。
ちなみに、《審判》のことを先生呼びするのは私から処刑スキルに仲良くするための一歩だったりする。
それで、結果は…
『薬効は確認できません。強いて言えば、一番右はお茶にすると美味しい』
…薬草じゃない、ですとぉ!?
《審判》の言うことを疑うわけじゃいけど、そんなことってあるー?
この人一番礼儀正しいかもだけど意地悪な人です?
「どうですか?」
「えっと…どれも普通の草です、よね?あ、でも一番こっちのは美味しいお茶にできるって…」
正直に答えると、横でサーナさがドヤ顔してる気がする。
こちとら今日の先輩に反対するようなこと言ってんですよー!
「ふむ、これがただの草と?」
表情を変えずに聞き返してきた。あーこの人ちょっと怖い人だ。
「…はい。なので、一番効果の高い薬草は、ありません」
言い切ります。
薬草じゃないもんね。
多分食べても大丈夫なのではあった気がするけど。
そりゃ私も田舎育ちですし、食べれるか食べれないかくらいはなんとなくわかります。
「…すごいです。あと、すいません。とても意地悪でしたよね」
申し訳なさ全開で謝られました。やっぱりいい人でした?
「パッと見ただけでそれだけわかるなら問題なくウチでやっていけますね。そこらの半端者よりもよほど目がいいです」
「どうです?シャルちゃんがすごいことは納得できました?鑑定・仕分け・解体・記録、あと受付なんでもできますよ!」
なんでも!?流石に雇われ初日の田舎娘に気合しすぎですよ!?
「解体、ですか…それは実際に見ないと任せるわけにはいきません」
おぉ、今までになく真剣な顔です。
それもそう。
上手に狩れても解体が下手だと使える部分が減るし、状態も悪くなります。そんなわけで責任重大だし、それこそここでも解体を実際にする人は少ないらしいです。
「さっき、オオカミの皮と肉がそちらに届いたと思いますけど」
「えぇ、あれほど手際も保存も良いのは驚きましたね」
「あれシャルちゃんの持ち込みです」
親方sまたもやざわざわ。
「そうでしたか。私たちもさっきまでそのことで話してたんですよ。あれは誰が持ってきたものか、誰が処理したのか、と」
ええぇぇ…歴戦の職人がこぞって探り出すくらいですって。
うちの《断頭台》はすごいね。
えぇ他人事ですよ。
私はお願いしただけですもん。
だから私じゃなくてそっちを見てください…
なんなら今から出しますんで…
「文句なしです。それほどならいっそのことずっとうちにいてほしいですね」
「それはシャルちゃんの希望があれば、です。でもしばらくは色々回ってもらいますしー」
なによりも、シャルちゃんを知ってもらうことが大事ですから、と言ってサーナさんはどこかへと行ってしまった…
何はともあれ、今日はここで頑張ろう!
シャル「ほかの子もまとめると
《断頭台》は相棒
《鉄処女》はメイちゃん
《審判》は先生
《看守》はワーちゃん
《監獄島》はプリちゃん
です」
サーナ「相棒なんですね」
シャル「そりゃ最初に来た子ですもん」




