11 断頭台式落ちる移動法です
オオカミと戦ってそれなりに時間が経ってしまった。どれもこれも悪名高き処刑スキルのせいですよ。ただ、このままのペースだと街に着く頃には日が沈んでるかも。微妙な時間だ。うー、使いたくなかったけど暗くなると危ないからちょっとズルするか。
「地面に沿って横に、一人分で刃を潰して…《断頭台》!」
作るのは私が座れるくらいの金属板。少し地面から浮かせるように出す。《断頭台》さん失礼しますよっと。ちょこんと座って板の前の方をぎゅっと掴む。
「よいしょっと。それじゃあ、しゅっぱーつ!!」
掛け声とともに金属板は地面に沿って落下していく。少しの上下や右左に沿って軌道を変えながら滑り落ちる。
わ、わ、はやーーーい!!!どんどん進むよう!踏ん張ってないとおちるううううぅ…!でも、たのしいーーー!!!
大きな刃が落下する速度で道を駆ける。止まることも減速することもなく、揺れも無い。ただ、風を切る感触と後ろへ流れる景色がとても心地よく映った。
しばらくすると、目的の街が見える。もうすぐこの旅も終わりかとしみじみ…ん?街?
「やば、早くこれしまわないとバレる、あ、わああ!!!!」
慌てて《断頭台》をしまってしまう。落下する速度のままで。
当然、放り出された体はそのまま地面にぶつかりゴロゴロと何度も転がった。ぽーん、ばさぁごろごろごろごろ。
「うぅ、痛い…つちまみれ…」
ついさっきまで楽しかった分気持ちの落ち込みがすごい。なんだか、しっぺ返しをもらったような、そんな気分だ。
しかし、すごい速さで道を駆け抜けたことで、歩いて行くよりも早い時間で街に着くことができた。
土まみれだけど。
隠す気あるのかいシャルちゃん




