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あれが私の道標  作者: ぶくっと醤油
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1.全ての始まり

この世界には3つの並行世界がある

神やその子孫が住まう神界

人族、獣人族、森人族、土人族が住まう現界

魔人族のみが住まう冥界


冥界の深層にある冥府、そこは魔人族の頂点である冥王が統べる地

そこより浅い層である地獄は多種多様な魔人族が暮らしている

中には極稀に地獄に引き込まれた人族の姿もある

地獄は冥王の配下である魔王達が管理し日々魔人族達の暮らしを良くするために尽力している

街には笑顔が溢れて活気があり平和な日常が続いていたがそれも数百年すれば大きな問題が起きる

死亡者が激減し人が溢れる一方となった地獄は家を持てず金もない貧乏な者が増え始めた

貧しい者は充実した暮らしを送る人々に憎悪し犯罪に手を染めた

すると人々は互いに不信感を抱き始めやがて地獄全土に不信感が広がった

魔王達は同族殺しをしたくないためあらゆる策を講じたが全ては無駄に終わり気づけば人々は争いを始めた

これに困惑した魔王達は仲裁するべく声をあげるがそれは逆効果となり人々は地獄の管理者である魔王を狙った

魔王達と民達で争う中1人の学者が古い文献を読み解き現状を打破する方法を提案した

現界から迷い込んだ人間を喰らうことで現界への扉を開く力が手に入ると

同族殺しをしたくない魔王達はそれをすぐさま公表すると魔人族達は争いをやめ魔王達と協力するようになった

その後始まったのは人間狩り、現界から紛れ込んだ人間を喰らうのだ

魔人族達は人間を捕え魔王に献上し魔王は人の肉を喰らった

現界への扉を開く力を手に入れた魔王達は早速魔人族を集め現界への扉を開き地獄から初めて別の世界へと足を踏み出した

突如として現界に姿を表した魔人族という勢力を前に現界の各種族は大慌て

魔王と名乗る魔人が大陸全土に向けて宣戦布告し計らずも大規模な戦争が開始された

最初は優勢であった魔人族だがしかし連合を組み圧倒的数と様々な特徴を持つ大陸の各種族の前に劣勢に追いやられる

なんとか均等を保っていても人族の策に嵌り各個撃破されていく魔人族を前に魔王達と後方に控えていた大勢の魔人は地獄へ撤退

勝利とは言わずとも敵を退けた各種族は連合から同盟へと名を改め共に歩む事を選んだ

長い、長い平和を築くために


「おしまい、ふぅ...」

「シスター、この世界は平和?」

「そうね...破壊王って人が何処かで暴れてるから平和とは言えないかもね」

「ふ〜ん」

「お姉ちゃんがここを出て数年したら現れたから...お姉ちゃん無事かな...」

「お姉ちゃんは賢者様だよ?負けるはずがないよ!」

「そう...だねぇ...」


破壊王...その経歴を知る者は殆どおらずいても姿を見せないか喋ろうとしない

かの偉大な勇者様を殺し神に愛された聖女すらも圧倒的な破壊の力に屈した

男女子供等しく無惨な姿で殺され時には嫌悪感が沸くほど酷い有様の被害者もいる

神出鬼没で目的も分からない

唐突に現れては虐殺を繰り返す厄災...破壊王

あれに家族を殺された人も多く誰もが破壊王に対し怒りと憎しみを抱いている

運良く破壊王の魔の手から逃れた者達は惨たらしい虐殺の前に狂乱し記憶が抜け落ち破壊王の正体どころか性別すら分からない

ただ1つ逃げ延びた者達が共通して話す破壊王の特徴

何も見えていないかのような冷たい目と殺す度に釣り上がっていく...口角

殺しを生としているかのような特徴を知り見えない破壊の影に怯える私達

そう...影だ、私の後ろからゆっくり近づいてくる真っ黒な影

振り返ることが出来ない、身体中が震えて動くことすら出来ない

かろうじて目だけを動かすと辺りには既にバラバラに...あるいはグチャグチャになった子供達だった物

私も...長くはない...






私の親は数年前に死んだ...いや、殺された

誰が殺したか分からない、けれど分かることはある、親は人の形すら成していないことだ

体はグチャグチャに潰れ千切れ飛び散っていた

当時の私はまだ6歳、感情に任せ泣き、怒り、叫び...

確か復讐するとも誓ったっけ

けれど犯人はあっさり捕まった

私の大好きな大好きな大親友...産まれた時から一緒にいた双子と言っても過言でないほど一緒に遊んでいた幼馴染が犯人だった

私はあの子が大好きだったのに...あの子は私が大っ嫌いだったって

失意に暮れていた私は親がいないので当然孤児、孤児院に預けられた

最初は何やかんやあって大変だったけど今となってはいい経験だと思っている

5年が過ぎちょっとは見栄を貼りたいお年頃、孤児院のシスターさんにいろいろ仕込まれ今となっては立派な淑女...とまでは行かないけど昔みたいな荒れた性格ではなくなった

炊事洗濯などの家事も出来るし昔冒険者をやっていたシスターから槍と魔法を教えてもらった、今となっては孤児院の仕事の手伝いもしている

数ヶ月前から村の周辺に小さな魔物が現れるようになってからは暇であれば狩りにも出かけるようになった

このココリキ村の中で家でも外でも戦えるお姫様なんて呼ばれ始めたのはその頃だ

最近では文字の練習をして将来に備えて猛勉強中だ

ココリキ村の近くにあるレンブルス王国の王都レッガーのアナレイト魔術学園に入学してみようと思っている

最初は村の人達は反対していたけど私の勉強中に意見がすっかり変わっていたのはびっくりした

幸い私には魔法の才能があるようで元冒険者のシスターはいい弟子を持てたと張り切っている

そうこうしている内にあっという間に5年が過ぎ16歳になった今

王都レッガーの魔術学園の入学試験を前に私はゲボ吐きそうなほど緊張していた

王都レッガーの東側を丸ごと使用した広大な敷地

最新の魔法をありったけ使用した最先端施設の数々

3万人は容易に収容出来る無駄に巨大な青色を基準とした校舎

勉強は...しっかりやった

文字も覚えた...単語も...意味も...

けどいくら準備しようが本番でミスしたら意味が無い

そして周囲を見渡さなくても伝わってくる殺伐とした雰囲気

度々視線を向けられる筆記試験担当官の教師の鋭い目付きも相まって余計に私の平常心を削っていく

ゴォン!ゴォン!と外で見かけた校舎の屋根に吊るされていたベルが鳴ったらしい音がして担当官が椅子から立ち上がった


「試験開始!!」


開始の号令が聞こえた瞬間から一斉に答案用紙を裏返す音とペンを走らせる音だけが響いた

問題を一通り見てホッと息を吐く、予習した内容が大半で分からない問題は魔術道具に関することだけ

吐きそうなくらいだった緊張が嘘みたいに弛緩していき余裕を持って問題を解いていった






筆記試験が終了するとスケジュールが詰まっているためか急ぎ足で試験場を出ていく

筆記試験以外に試験はないので急ぎ早に外に出る必要は無い

まあ、王都の学園故に貴族の人が多いから交友を広めるためなのかもしれない

この学園では魔法学園と名乗っているが実際は魔法ではなく魔術に分を置いている

肉体を触媒とする魔法と違い道具を触媒とする魔術は何よりも知識が必要となる

前提条件で魔法の基礎は必要だがそれは誰もが出来ることなので実質個々の特性関係無しに技術を与えられるため実技面の試験はないのだ

今回の試験内容も歴史が1部と残り大半が魔法の基礎に関することだった


「なんか酷く疲れた...宿に帰って寝よっと...」


この無駄に巨大な校舎に無駄に広大な敷地から出るのに数十分はかかる

この学園は寮制だがまだ入学していないから当然利用できるはずがない

それに住宅街のある王都南側は王都民専用で私は村出身だから西側の商業区にある宿住まい

国の中心である王都は勿論レンブルス王国最大の面積を誇る街

反対側まで徒歩で行くなんて面倒極まりない

早めに入学決定...してほしいな...

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