新しい友人 ソフィア
三人で食堂に来ている。すると、ソフィアが足を引きずりながら入ってきて、注文をしている。済ませると、彼女は私たちから少し離れた席に腰掛ける。私たちは食事と取りに行き席に戻る。
私は彼女のことが気になって、時折見ている。食事が出来上がった様で立ち上がる。彼女が他の生徒とぶつかり倒れる。
「行かなくて良いのかい? アンドゥー」
私は彼女に駆けより、腕を抱えて立たせて席で待っているようにつげる。私は彼女の食事を取りに行き、テーブルに置いて戻る。やはり、彼女のことが気になるので見ている。
「アンドゥー、そんな気になるなら言ってきてはどうだい?」
「そうよ、アンドゥー。アナタが彼女の所に行ってる間に、事情は聞いているわ。いってらっしゃいよ」
私はお盆を持って彼女の所へ行く。
「ここ良いですか?」
「どうぞ、アンドゥーさん」
私は彼女の向かい側に座る。私は彼女に怪我の具合を聞いている。足はそれほどでもないが、やはり手は痛むらしい。上級コースには専属の治癒魔法士と医者がいるが、ここにはいない。彼女は応急処置で手に包帯を巻いている。
彼女はスプーンでスープを口元に運ぼうとしているが、うまくいってない。スープがこぼれ落ちている。その光景が心苦しい。そのことで沈黙が続いている。
「ソフィアさん、僕たちもいいかい?」
「えぇ、どうぞ。こちらの方は、確か……」
「私は、魔法科のクリスティーナです。よろしくね」
「ソフィアです。よろしくお願いします」
クリスティーナは彼女の横に座る。彼女はソフィアのことを心配そうに見守っている。すると、彼女はソフィアのスプーンと取り、スープをすくって口元まで運んでいる。
「こんなんことしてもらうなんて申し訳ないです」
「困ったときは、お互い様よ。ソフィア」
彼女が粘り強く勧めるので受け入れて飲んでいる。ローレンスは温かく見ている。私は何とも言えない気分である。クリスティーナは他の料理も食べさせてあげている。それが終わると自分の食事をしている。
「アンドゥーさん、質問良いですか?」
「はい」
「大変失礼ですけど、入学当初は、私でも勝てると思っていました。どうして、こんなに強くなったのですか?」
ローレンスは苦笑している。クリスティーナは声を上げて笑っている。彼女が、そんなことを言うなんて意外だった。私は屋敷で指導してもらっていて、あるときから心構えが変わったことを教える。
「彼を指導しているのは、元親衛隊長の方だよ」
「へぇー、そうなんですか? 羨ましいです」
敢えてヨハンさんの名前と過去については言わなかったのに、どうして彼は言ったのだろう。
「ローレンスさんにもよろしいでしょうか?」
「どうぞ」
「アンドゥーさんの腕前をどう思っているのですか?」
「ライバルです。親友だけど」
「そうなんですか」
彼女は剣術について詳しく彼に尋ねている。彼は、その一つ一つに丁寧に答えている。彼には誰にでも優しく誠実である。私には出来ないことであるので、改めて尊敬している。質問を終えると彼女は、クリスティーナをチラチラ見ている。
「ソフィア、私には、ないのかしら?」
「いいんですか?」
「もちろんよ」
「クリスティーナさんは、ローレンスさんのことが好きなんですか?」
「そうみえるかい?」
「もう、ローレンスったら。好きよ、でも友人という意味です」
私は体中が熱くなってきている。彼女は思い切った質問をしたもんだ。この質問をするということは、彼女たちのことをよく見てくれていたのだろう。
「そうなんですね」
「私からもいいかしら?」
「はい」
「ソフィアは、アンドゥーのことをどう思っているのかしら」
「素晴らしい剣士だと思います」
「あら、高く評価してくれてるわ。良かったわね? アンドゥー」
「……そうかな?」
そう思ってくれるのは、大変光栄のことであるが照れてしまう。ローレンスは微笑んでいる。私のことも見ていてくれたのに全く気付かなかった。彼女は我に返ったのか俯いている。私は喉がカラカラなので水を飲む。
「アンドゥー! 謙遜してはいけないわ! 答えてあげないの?」
「ソフィアさん、このように思ってくれてありがとうございます」
「……」
「ほら、ソフィア。顔を上げて何か言ってあげたら?」
彼女は、そう言われ顔を上げるが視線を合わせてはくれない。私は彼女の気分を害してしまったのだろうか。ローレンスは相変わらずである。
「いえ、心からそう思っております」
「さすが僕の友だよ。鼻が高いよ」
「皆さん、本当に仲が良いんですね? 羨ましい限りです」
「あら、ソフィア。あなたは、もう私たちの友人よ。そうでしょ! 二人とも?」
「もちろんさ」
「……そうだね」
彼女が、いきなりそんなことを言うので戸惑った。同時に、それは彼女らしいなとも思う。
「本当ですか?」
「もちろんよ」
ソフィアの頬から涙がつたっている。私は胸が熱くなる。こうして、新しい友人が出来た。




