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非礼な男 アンドゥー

「アンドゥー、どうしたんだい? 彼女が、人と話しているのを初めて見た気がするよ」


「本当ね」


 私は、彼らに彼女とのやり取りを話す。彼女から剣術の稽古を頼まれた事を話す。すると、ローレンスは、私の実力が評価されていると喜んでくれている。


 私は、彼女が周りの生徒に良く思われないと話す。すると、彼は語りかける。大人しい彼女が、勇気を振り絞り依頼したはずである。だから、私は彼女の期待に応えて、しっかり教える必要があると。


 クリスティーナは、見ている人は見てると話してくれる。それなので、私に自信を持って彼女に教えてあげてと励ます。


 私がソフィアを見みると目が合う。彼女は恥ずかしそうにして俯く。私たちが気になっていたようだ。私は、彼女の思いに応えたいと思う。その一方で、不安を感じている。


 剣術の授業になる。先生より二人一組で練習試合するよう指示がある。彼女と視線が合っているが、躊躇してしまう。ローレンスに優しく背中を押される。それで、彼女の元へ向かう。彼女は俯いてしまう。


「ソフィアさん、よろしくお願いします」


「はい、お願いします」


 彼女は顔を上げる。その表情には恥じらいが感じられる。私は試合をしようと彼女に促す。そして、お互いに構える。私が試合開始の合図をすると、彼女の表情は一変して気迫に満ちている。その変わりように驚かされる。


 お互い見合っているが、彼女は、すり足で間合いを詰めている。私は、敢えてそれを受け入れる。彼女が踏み込んで打ちかかってくる。私は素早くかわす。すると、彼女が剣を横に払ってきたので、体をくの字にして避ける。私は彼女の攻撃をことごとくかわす。


 さすが、学年三位だけあって筋が良い。準決勝では、ローレンスに完敗したが、彼女の実力は二位の者より上だと思う。あれだけ攻撃を繰り出しても、彼女は殆ど息があがっていない。かなり鍛錬しているはずだ。私が休憩を提案すると受け入れてくれた。


 私は練習場の端に座り込む。彼女は剣を振りながら、私との試合の反省点を振り返っているようである。それを終えると、なぜか彼女は私のすぐ横に座る。周囲の目もあるので、私は気恥ずかしい。


「アンドゥーさん」


「はい」


「本気で戦って頂けませんか!」


 彼女の声は大きく語気も強い。彼女の表情は真剣そのものである。その声は響き渡っている。それで、周囲の生徒の注目を集めている。


「……」


 私は、あまりの落差とその表情に声を出すことが出来ない。彼女の声を聞きつけて、ローレンスが私たちの所へ来る。


「アンドゥー、全力で向かってくる者には、全力で応えないといけないよ。君は気を遣いすぎだよ。僕は、その性格が嫌いじゃないけどね」


「ソフィアさん、すみませんでした」


「いえ、とんでもないです。ただ、私は本気のアンドゥーさんと戦ってみたかったんです」


「じゃあ、僕は戻るよ」


「再開しましょうか?」


「はい、お願いします」


 彼女と対峙する。先程の試合で彼女の間合いを把握した。彼女の間合いに入れないように後退したり、回り込んだりして外す。痺れを切らせたのか、彼女は剣を振り下ろすが私の前で空を切る。


 私は、素早く間合いを詰め剣を振り下ろす。彼女は、それを寸でで受け止める。私が手を休めることなく再び振り下ろそうとした時、彼女の手から剣が落ちる。


 それで、私は剣を止めようとする。しかし、勢いが付きすぎて無理だ。私の剣は、咄嗟に自分を守ろうとした彼女の右腕を捉える。


 彼女が倒れ込んでいる。私は屈み彼女の様子窺う。彼女の表情は、痛みで表情を歪んでいる。もしかしたら、腕が折れているかもと不安に襲われる。


「ソフィアさん、大丈夫ですか?」


「大丈夫です、アンドゥーさん」


「治療室に行きましょう?」


「結構ですよ。折れてはないと思うので」


「念のため行きましょう」


「そうですか?」


「そうです」


 私は彼女に手を差し伸べる。彼女は起き上がるが、右足を気にしている。彼女に聞くと足を捻ったようだと言う。私は、彼女を背負うために背中を向ける。


「乗ってください」


「でも」


「早く!!」


 振り返ると、彼女は私の背中に遠慮がちに乗る。私は立ち上がり歩く。先生に事情を告げて許可をもらう。もう少しで着きそうである。


「あのぅ、アンドゥ-さん」


「何ですか?」


「本気で戦ってくれて、ありがとうございます」


「最初、手を抜いて申し訳ありませんでした」


「ローレンスさんに、あのようなこと言われてしまって申し訳ないです」


「彼は優しい男です。私を思ってのことです。私のあなたへの非礼を正してくれたのです。お気になさらないでください」


「そう言って頂けると気が楽です」


 治療所に着く。先生は、腕の骨に異常はなく足も軽い捻挫だと言う。私は少し気が楽になる。彼女も気にしないでと気を遣ってくれている。


 私は治療の終了を待っている。彼女は、しばらく休むという。そうなので、私に戻るように勧めてくれる。私は、彼女に挨拶して練習場に向かう。

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