思わぬ痛み アンドゥー
何だろうと思い、周囲を見回してみるが異常は見受けられない。夢の中の出来事だったのだろうか。私はユリアを見るが、立ち上がって空を見ている。エリーザも同様である。
私も見てみるが、ファルコパイパー飛んでいるだけである。私は座り休むことにする。
「あれを見なさい! アンドゥー」
私はユリアの指さしている方向を見る。すると、ファルコパイパーに向けて光の球が迫っている。それを回避した後に、それは爆発した。しばらくすると、またファルコパイパーに向けて打ち上がっている。
おそらく、他の班の生徒が悪ふざけでやっているのだろう。しかし、その行為は愚行としか言い様がない。自分の魔法力を班の生徒に見せつけたいのだろう。そんなことをするのは悪いが、上級コースの者しか考えられない。
その魔法力は、ユリアの足下にも及ばない。自分より力の無い者に見せつけるなんて、自己陶酔以外の何ものでもない。その者は現実逃避して成長する事を諦めたのだろう。
ファルコパイパーが、その付近に降下しているが上昇する。そこは木々が茂っているので近づけないのだ。
そこに、いたことを感謝すべきだ。でなければ、その者は自業自得であるが、何の非も無い者を傷つけていたのかもしれない。最悪、命に関わる事だってあり得る。
ファルコパイパーは上空を旋回している。まだ機会を窺っているのかもしれない。その班が、その場にとどまっていることを願う。平地にでたら、一網打尽なのは間違いない。
それは進路を変える。どうやら、その班は命拾いしたようだ。私は安堵しその行方を見守っている。私たちの上空を通過して巣に戻るようである。
しかし、湖の中央までくると急降下してきた。私たちの元へ向かってきている。降下速度は、かなりのものである。
「エリーザさん、こちらへ早く!」
彼女は慌ててこちらへ駆け出すが、転んでしまった。かなりの所まで、それは迫っている。
「アンドゥー!」
その言葉とともに私は、剣を抜き彼女の元へ全速力で急ぐ。彼女には間に合ったが避けられない。ファルコパイパーは、あしゆびを広げ襲いかかろうとしている。
私は剣を握りしめ全身全霊を込めて、そこに打ちつける。それは腕が痺れるほどであったが、剣を掴まれた。そうすると上昇し剣を離した。落下した剣は地面に深く刺さる。
「エリーザ様、早く!」
私は彼女を起こそうとするが出来ない。体の力が入っていないので重く感じる。振り返るとファルコパイパーは、急旋回してこちらに迫ってきている。ここは、思い切って彼女を抱え上げようとするが、うまくいかない。
「アンドゥー! 間に合わないわ! エリーザさんを守るのよ。私が攻撃するから身構えていなさい!」
ユリアの両手には、すでに光の球が出現している。私はエリーザに覆い被さりながら、ユリアを見ている。私は背中に風圧を感じている。それが迫ってきているので覚悟を決める。
「いくわよ! アンドゥー」
彼女の手から魔法が放たれる。上下で、こちらへ向かっている。下の球は、このままでだと私すれすれで通過しそうである。万が一、エリーザが傷付くと大変である。私は右腕を突き出し球を受け止める。そして、それを打ち消した。
そう一つの球は、私たちの上で炸裂している。しかし、ファルコパイパーが、どうなったのかは確認できない。私はユリアを見る。
「大丈夫よ、アンドゥー。もう行ったわ」
私は安堵し体の力が抜ける。
「ちょっと重いんだけど、アンドゥー」
「すみません」
私は地面に両手をつき、起き上がろうとする。しかし、左腕にうまく力が入らない。私は何とか立ち上がり上空をみるが、ファルコパイパーは見当たらない。
エリーザに手を差し出す。彼女の反応が気になったが、素直に手を取ったので起き上がらせる。その直後、背中の左側に激痛が走った。
「アンドゥー! アナタ背中が裂けているわよ!」
エリーザの言葉に背中を触る。その手を見てみるが赤くなっている。ユリアが、こちらへ近づいてくる。




